さらば、東明(あずまあきら)58歳。
さて、私はこれから出かける。
私は何しろ58歳だからな。
これで好き勝手にしてやる。エッチなことだってなんだってな。
おっと、私の名前は東明だ。間違えるなよ。
私には妻がいたんだぞ。
カラスウリのような女だった。名前は忘れたが。
あとね、これだけ言えばもう覚えているだろうが、私には息子と娘もいた。
しかし私が捕まり、社会的に大きな批判を浴びたせいで娘は自殺したのだ。
だから私は透明になって、娘を探すことに決めた。
なにしろ透明になればなんだってできるからな。
君たちもトウメインが欲しくなってきただろう?
だがトウメインはもう手に入らないぞ、これからはトウメインリターンズの時代だからな。
薬局の親父に店に置いてもらえるように頼んでみてくれ。
へぇ、博士。こっちのトウメインとこっちのトウメインリターンズは何が違うんでぇ。
まったく、親父ときたらそんなこともわからないのか。ほら、簡単だよ。
まず、トウメインは飲めばすぐ効果があらわれるが、トウメインリターンズは飲む前に効果が現れるんだ。
ほら、この通り。
おお、すげえな。
さらにこのトウメインは……じゃなくてトウメインリターンズは服用してから約2時間も勃起が持続するんだ。
これなら勃起薬もいらないだろ。
そして、透明になると、なんでもできるようになるんだぜ。例えば、そうだなぁ、透明人間とのセックスなんてどうだい。
うへぇー、博士。あんた、まさか俺とやろうってのかい。
冗談、冗談だよ、今のはなんでもできるというたとえ話だからな。
いくらなんでもできるといっても、俺はあんたとはやりたくありませんぜ。
そうだな。あーあ、どっかに若い女はいないもんかねえ。
いるじゃないですか、目の前に。
おしまい
はじめまして。ディクシーコングです。
今回は「透明」というテーマで書かせていただきました。
実は、このお話を書き始める前、私は「透明人間は存在するのか?」ということをずっと考えていました。
そこで、今回のお話を思いついたのです。
透明人間は存在しているのか?
存在していなければ、存在しないお話を書くことができます。
しかし、もし存在した場合、そのお話はどのように展開していくでしょうか?
例えば、もし仮に本当に万が一、透明人間が存在するとすれば、
透明人間はどのような行動をとるだろうか?と考えました。
結論から言うと、私は何もしないのではないかと思いました。
それがこの物語の最後のシーンです。




