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トウメインとイボジン
いや、正確に言うと少しだけずれていた。
イボジンの研究が認められて、製薬会社の研究チームの長として配属された私は、
時の政権と癒着した政治団体からの依頼で、とある成分開発の指揮を執ることとなった。
それは、特定の人種集団が持つ遺伝子に反応し、
ある種の病原体に対する体内の免疫応答を弱体化させる成分だ。
そうだ、私はこの会社で働いていたのだ。会社は戦争で滅んだわけではない。
実験データの存在を突き止めた人権団体の抗議と破壊活動により、機能停止状態に追いこまれてしまったのだ。
私はトウメインを使って逃げようとしたのだが、その前に捕まってしまった。
そうして私は牢屋に入れられ、そのまま裁判にかけられ、数十年後、私は解放された。
そうして私は自由になったのだ。しかし、私には何もなかった。
いや、金だけはあった。でも、それだけだ。
私にはもう何もなかった。
そして、街をさまよい、気がついた時には、私は製薬会社の前に来ていたというわけだ。
これが真実だ。君たちだけには信じて欲しい。
と、思ったがやっぱりやめた。
誰が信じるものか。
私は透明になるんだ。
透明になることにしたんだ。
私は透明になったのだ。
カラスウリ、私はお前と一緒に行くことにするよ。
私は東明。
私は公園に戻った。




