手短に今後は…。
「内職の進み具合を確認しに行った際に、陛下の退位届けの書類にサインを頂いております。」
「よく、サインしたわね?」
「内職の合間に書類を見せ、サインをもらいました。」
「わざわざ、貴女が出向いたの?あのゴーストハウスと呼ばれる北の離宮に。」
「はい、仕事ですから」
「陛下は只の平民として、ゴーストハウスで残りの余生を過ごすのね」
「はい、元陛下は年金での生活になります。」
「元側妃は、どうでした?」
「文句しか言わず、 仕事が進まず賃金を渡せていません。」
「近くに居る元陛下は不能…周りに綺麗な顔の男達は居ない…。好き勝手出来ない環境だものね。」
「はい、元側妃様は犯した罪に対して軽すぎる処置ですのに、静に罰を受けていただきたいです。」
「その事なのだけれど、この本を見て欲しいの。」
「随分と古い日記帳…ですね…この字は!」
「前王妃である、お義母様の日記よ読んでみて。」
「子爵令嬢が王子を産み王妃になる?王子が婚約者を罪人に仕立て上げ聖女と結ばれる…。何だか、少し聞いたことがある話しですね…。」
「続きを読んで。」
「はい…この書によると、王子を産めず四人の王女様を産んだ元王妃は次期国王の母である子爵令嬢に虐めの様に厳しい妃教育をしたと陛下から…死罪を言い渡される…。」
「予言書だとお義母様に貰ったのよ…予言は芽を潰し過ぎてはダメだとも言われたわ」
「次は王子の話ですね、学院にて聖女と出会い恋に落ちた王子は、自身の婚約者を罪人に仕立て上げる事で婚約破棄を実行し、聖女を娶る事で若くして陛下の後を継ぎ、立派な王様となる…。」
「バカみたいな話でしょ?」
「子爵令嬢…例え次期国王の母だったとしても妃教育が厳しいからと王妃様を死罪など陛下が命じ実行されるなど我々が黙って従うなどあり得ません。」
「貴女達が従う決まり事を作ったのは、お義母様…その決まり事がなければその予言書のようになっていたでしょうね。」
「では…私達が従うべき国の決まりがなければ、今頃は王妃様は…。」
「私は元陛下に殺されて、側妃は王妃になり王子は聖女と結婚し今頃は即位していたでしょうね。」
「そのような事にならずよかったです…まだ続きが…。」
「えぇ、その予言書によれば…三年後にこの国で大きな事件が起こるわ、それも他国の王族を巻き込む大きな事件が。」
「事件を起こす者が書かれておりますね…!彼女…達。」
「えぇ、だけどまだ…我が国の法に触れることはしていないし…お義母様に言われたわ、この予言が実現される前に手を加え過ぎては行けないと…だから。」
「予言が実現された時、即座に対処できるようにしか出来ないのですね…事件の全貌も書かれていますし、会議へと参加される国々へと手紙を出しておきます…我が国内で起きた事は我が国の法で裁くと…。」
「お願いね姫達にはこの事は話しています、特に一の姫と三の姫には…気を付けるようにと…。」