↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/90

最後の一頁

 この物語から、多くの時が流れた。


 私がこの話を書き残そうと思ったのは、 一人の男を見送った日がきっかけだった。


 その最期は、戦場を駆けた人間とは思えぬほど静かだったと聞く。


 弔いの日。

夫を見送ったコウと、その娘の姿を見ているうちに、ふと、あの日々を思い出した。


 不思議なものだ。

とっくに終わった話のはずなのに、あの日だけは、まだどこかで続いているような気がした。


 それから考えた。


 語れる者がいるうちに、

残せるものは残しておかなければならない、と。


 この話は、私が見たものだけではない。


 小郡(おごおり)に残った者。

岩倉を生きた者。

旅を共にした者。

それぞれが胸に抱え続けた記憶を、少しずつ繋ぎ合わせたものだ。


 とりわけ一人だけ、あの日々を誰よりも鮮明に覚えていた者がいる。

私は、その者の話を何度も聞いた。


 忘れぬように。

忘れさせぬように。


 もし、この物語が誰かの心に残るなら、

それは私の筆ではなく、あいつらが生きた証のおかげだ。


 ……さて、煙管の火も尽きた。


 また、どこかで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。