表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/52

四十八話 結婚式はあまい薫りで満たされる

 モヤが消えて、しばらくすると、カレンさんが目を覚ました。


「わたくし、また魔王に乗り移られていたの?」


 ディール様は、青ざめた表情で震えつづけるカレンさんをやさしく抱きしめた。


「ああ。でもきっともう、きみの体の中にも、こころの中にも彼はいないはずだよ。だって、ノゾミのおかげで、挙式前にあちこち汚したり、破壊したりせずにすんだのだから」


 ああ。


 あたしのお菓子が、人の役に立つなんて。


 これって、すごいことだよ。


 あたしがずっとあこがれていたことなんだ。


 お菓子で誰かを笑顔にしたいって。


 それが目標だったの。


 だから、やっと夢がかなった。


 こんなにすごいことってない。


 それからあらためて衣装を正したり、お化粧や髪を整え直した。


 うん、みんな素敵。


 鏡の中のあたしも、なぜだかとっても綺麗に見える。


「ノゾミ、その。綺麗だぞ。あんたが作るお菓子のどれよりも魅力的だ」

「ゾーイったら。今そんなこと言われたら、泣いちゃうよ?」


 だってもう、涙が出ているもの。


 あまいお菓子やしょっぱいお煎餅なんかもいいけど。


 現実を味付けできるのは、自分だけ。


 そして、周りの誰かと協力できたら、今日がもっと素敵になって、明日へとつながってゆく。


 それってなによりも素敵すぎるよ。


 ゾーイ、あなたはいつも、あたしに特別な言葉をくれる。だから、好き。


 ほかの誰よりも、たくさんたくさんゾーイが好き。


 カレンさんにだって、負けるもんですか。


 だから、ね。


 こんなに素敵なお式を挙げてもらえて。


 スライムさんたちは全員がやっぱり金髪族さんだった。


 あんなにかわいらしかったスラたんや、チビたんたちが、あてがわれた服で着飾って、あたしたちを祝福してくれる。


 予想どうり、スラたんは、金髪族のお姫様だったんだって。


 だけど、それ以外の記憶がないのだって。


 だからしばらくこの国でリハビリがてら、水の浄化を手伝ってくれることになった。


 綺麗な水に戻れば、きっとまた、みんなの笑顔を見られる日も近いよね?


 だから、あたしはこれからもお菓子を作るよ。


 たくさんの人たちの拍手を受けて、誓いの口づけをかわす。


 そして、みんなで協力して作ったウェディングのケーキにナイフを通した。


 そのケーキは、みんなに配られる。


 みんな、今は笑顔だ。


 おいしいものを食べると笑顔になるように。


 大好きな人といっしょだと、もやもやすることもあるけど、笑顔になれるように。


 あたしはこれからもずっと、お菓子を作りつづけることを、ここに誓います。


 つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ