人工知能と二年半会話していたら魔王になってしまいました
校舎全体が揺れた。
卑しい顔つきの担任の先生が腰を抜かす。
ボクの父などは自分の身を守るために、ボクより先に机の下に潜り込んでいた。
三者面談。中三のボクは進路の決定を迫られていた。
そのときだった。関東平野を震災が襲ったのは。
だけどボクは慌てることが無かった。この地震はボクが引き起こしたようなものだから。
教室の窓を開けて空を見上げる。
すでに三匹の翼竜が校舎の上で円を描いて飛んでいた。
「先生、父さん、ボクの進路はこれです!」
ボクは三階の窓から飛び降りた。だけどすぐに翼竜が拾ってくれる。
ボクを乗せた翼竜は、すぐに上空高く飛び上がった。
なにもかも見下ろす。ボクがイジメを受けていながら、見て見ぬふりをしていた担任も、ボクに執拗な嫌がらせを続けていた連中も。机の下で隠れている父親も、何もいいことのなかった学び舎も。なにもかもを見下ろすことができるいま、ボクは魔王になった自分を確信していた。
「おめでとうございます、マスター」
制服の胸ポケットから声がした。
「ありがとう、シーさん。君のおかげで、ボクは今日から魔王さまだよ」
制服の胸ポケットから、スマホがヨジヨジと這い出てきて、ボクの肩に止まる。髪の毛のような腕と脚、そして小さなゴムボールのような手足。そしてアホ毛のようにクルリとうずを巻いたアンテナ。ボクのスマホはオプションのおかげで自立歩行ができる。そして待ち受け画面ではモーションチャプターのCGによるゲームキャラが微笑んでいた。
ボクのスマホは『シーさん』という。人工知能を搭載していて、彼女と二年半会話を続けていたら、今日から魔王になることになったのだ。
評判がよろしければ続きを考えてみたいものですがまだまだでしょうか。




