お客さん、いかがですか? その5
「ですが艦長、十倍の戦力というのも考えようですよ?」
副長の乙姫が提案するように言う。
しかし顔面は脂汗が流れている。
きっと苦しい言い分なのだろう。
でも一応聞いておいてやろうか。
「じつは先程駆逐艦を一隻沈めましたが、これで艦長には撃沈ポイント1が入りました」
フムフム。
「ちなみに軽巡洋艦だとポイントは3。重巡洋艦を沈めるとポイントは5。戦艦はポイント7、空母は10ポイント入ります」
それで?
「稼いだポイントによっては最新装備を優先的に配備されたり、艦長が退役される折には俸給の評価対象になったりするんです」
つまりは?
「十倍の戦力というのは、狩りのやり放題、稼ぎ放題とも考えることができます」
なるほど、頑張れば頑張った分だけ退職金がウハウハ、ということか。
それは悪くない。
しかし『美女をはべらせ豪遊する自分の姿』を思い描いたんだけど、そのはべらせた美女が全員乙姫だったりするのは、僕の発想が貧困なのだろうか?
「しかも、しかもですよ艦長! これからおもむくアルファ星系衛星要塞オーキーには、敵の艦隊がこれでもかとばかり待ち受けているそうです」
「どのくらいいるの?」
「空母四○、戦艦百ニ○。重巡洋艦四八○、軽巡四○に駆逐艦四八○。さらには駆逐艦と同じポイントのレーダー艦が四○○」
「それを乙姫一隻で相手しろと?」
「さすがに司令部もそこまで鬼ではありません。現地には三○○○を越える航空機が控えていますし、本星から艦隊も進軍中だそうです」
「作戦としてはどうなるのかな?」
ちょっとその気になってしまう。
乙姫は狭い発令所の中でテーブルパネルの電源を入れた。
敵の艦隊がいる。その先には衛星要塞オーキー。かなり距離が離れている。僕たち乙姫の進路は敵艦隊の脇腹を突く恰好だ。
「まずは私たち乙姫が敵のレーダー艦、あるいは防空駆逐艦を沈めることにより突破口を開きます。そこへ現地待機の航空機が多数突入。敵艦隊を殲滅するという運びです」
「このレーダー艦っていうのは気になるねぇ」
「はい、レーダー艦を撃沈すると同時に、敵は空母から航空機を発艦させるものと考えてください」
「じゃあ僕らは飛行機にボコボコにされるってこと?」
「チッ……」
乙姫は立てた人差し指を振った。
「チッチッチッ……艦長、要は弾幕です。どれだけ航空機がよく見えるか? そしてどれだけ大砲を速射できるか? ここに対空戦闘の肝があります」
自信満々な眼差しだ。
「ということは、乙姫にはそれだけの性能が?」
「あります! 爆弾や魚雷を抱えた蚊トンボごとき、乙姫の敵ではありません」
ずいぶんな自信のようだが、どれほど働けるのだろうか?
乙姫の未知数な実力に疑問を感じていると、またもや警報がカンカンと鳴った。
「総員対艦戦闘ヨーイ!」
テーブルのパネル画面が外の様子と切り替わる。
電探要員の黄色セーラー服を着た乙姫から報告が上がる。
「敵輸送艦隊発見! 距離、九○宇宙キロ!」
「軽巡一隻に駆逐艦十二隻の護衛ですね。輸送艦はニ○隻います。……おそらくは要塞オーキーへの上陸部隊を載せた揚陸艦でしょう」
「いけそうかい、乙姫?」
「まず艦長にはヘルメットを被っていただいて、欲望エネルギーを艦に注入します」
この狭い発令所に据えられた艦長席に座らされる。
「潜行、潜望鏡深度」
乙姫は命じると、潜望鏡を天井から引きずり下ろして覗き込む。ちょっと突き出したお尻が僕の目の前に迫った。
お尻から目を逸らそうとすると、肩幅に開いた長く形のいい脚が目に入った。黒いハイソックスのおかげで肌の白さが際立つやら、形が格好良く見えるやらで、砲雷長はまたまた大興奮。
「副長! 欲望エネルギーの充填率がハンパないぜ! こりゃ魚雷無しでも輸送艦を沈められるぞ! すっげぇな地球人の欲望ってのは!」
褒められてるのかスケベ扱いされてるのか?
僕としてはお恥ずかしい限りであった。
ここまで書きましたが、まだまだ練りが足りていないので明日から仕切り直します。




