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ゆるふわ怪奇譚  作者: 灰猫と雲
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其の六『合わせ鏡』

全てのホラーが怖いなんて思うなよっ!

神八代 祝人は後悔していた。

彼は昨日伸びすぎた髪を切りに久々に理髪店に行ったのだが、馴染みの理容師との会話のノリでパーマネントを当てることにした。が、それがあまりにも似合わず翌朝鏡の前で自分を見た時に愕然としていたのだった。

ドラッグストアでストレートパーマ液を買って自分で戻すか…

だがそれでは昨日このパーマネントにかけた2時間と1万円が無駄となってしまう。鏡の前で思案したが思うように決断できず、とりあえず彼はパソコンを立ち上げマイページを開いた。

彼はあまり長い時間考えることが苦手だった。

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『合わせ鏡』

俺の通っていた中学はとても心霊現象の多い学校だった。大小様々ないくつもの怪談奇談かあって、七不思議で収めるのは容易ではなかったほどだ。

その中でも俺が1番不思議だと思っていたのがトイレの鏡の話だ。

うちの学校のトイレは手を洗うための洗面台が向かい合わせで2つあった。当然洗面台の上には鏡が設置されている。なので必然的に合わせ鏡になってしまう。

合わせ鏡には色々な話がある。

死者を写す、とか

自分の死に顔が見える、とか。

不吉な話が数多くあるのが合わせ鏡だ。


3階にあるトイレの鏡に霊が写るという噂話は何年も前からあった。そこで俺が入学する何年も前に当時吹奏楽部だった先輩たちが夜中トイレにビデオカメラを設置し合わせ鏡を録画するというアタックを敢行した。早朝に回収し放課後1人の先輩の家で上映会を行なった。

最初は何も写ってはおらず、暗闇にうっすらと三脚に立てられたカメラ本体のみが写っているだけだった。しかし、録画時間も残りわずかとなった頃に画面に異変があった。

「なんか変じゃね、コレ」

と1人が言うと皆一様に画面に食らいついた。

「なにこれ?揺れてる?」

そこには合わせ鏡の中、何重にもなっている世界の奥の方で、何か小さなものが揺れていた。注意深く見なければわからないくらいに小さな異点だった。

画面を食い入るように凝視していると、その揺れていたものの正体が段々とわかってきた。

「これ、人か?」

最初は奥の奥の方から小さく揺れていたものが段々と手前にゆっくりと移動してきていた。目で確認できるようになると、その揺れていたものが昔、戦時中に白の帽子に白い服を着た従軍看護婦の姿だとわかった。

誰も何も発することなく、動くことも出来ずに画面を見ていたが何の予兆もなく画面は砂嵐に変わった。録画時間が過ぎてしまったのだ。

「やべぇな、これ。本物写っちゃった」

以来これは吹奏楽部が新入部員を勧誘する時の切り札として活躍することになり、新入生もこのビデオが観たいがために入部するとのが後をたたなかった。

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神八代 祝人は更新ボタンを押した。

彼の世代の吹奏楽部は2軍まであるほどの部員数を誇っており、部活動では頂点に君臨していた。

コンクール金賞は当たり前で全国の常連でもあった。

しかし当時の顧問がかなりのスパルタで退部するものも多かった。


管楽器隊が肺活量向上や持久力つけるのに走るのはわかるけど、何もパーカッションまで走らせる必要なくないか?

神八代 祝人は今でもそのことが腑に落ちない。

このビデオを見た時には旋律を覚えました。

「ホンマもんだ…」

と夜思い出しては怖かったですね。なのになぜか人間はそのテープが欲しくなるという矛盾。

そしてこのテープのさらなる不思議現象は、ダビングしたテープには従軍看護婦が写っていないんです。トイレや鏡は写っているのに、白い人のような姿が写っていませんでした。

マザーテープにのみ現れる不思議なお化けさんです。

まだあのビデオはあるのでしょうか?

このdvd全盛の時代にマザーのビデオテープにしか写っていないあの霊は、ダビングしても映らないその特性を持ってしてこの世から消えてしまったのではないかと推測しています。

お化けも時代の流れには勝てないんだな、と思うと感慨深いです。

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