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1.始まり

私は全てを統べる者として生まれてきた。

強大な力と、世界一と言われる外見。

そして何よりも、天界で最高権力を持つ天使族、魔界で最高権力を持つ悪魔族、この二つの種族の女王という絶対的な権力。


天使族も悪魔族も、王が死ぬと新たに王となる者の体に特別な紋章が浮かび上がり、その紋章を持つ者が王となるという決まりがある。

例外はない。

例え、1人の少女の体に両方の種族の紋章が浮かび上がってしまうという異例の事態が発生したとしても。


その少女と言うのが私である。

そのため、天使の(おさ)のみが使うことを許される『寿命管理』と、悪魔の長のみが使うことのできる『黒き血の契約』という、本来決して交わるはずのない二つの対になる能力を持っている。


悪魔と天使は対となる存在であり、力も性格も外見も正反対である。

天使の長の持つ『寿命管理』は、その名の通り全ての生物の寿命を管理することができる。

例えて言えば、自分以外の生物全てを一瞬で殺してしまうことも可能、死者を甦らせることも可能ということだ。


そして悪魔の長が持つ『黒き血の契約』は、どんな願いでも叶えられるという能力。

ただし、願いと同等の対価を払わなければ使えない能力だ。

例えば寿命を差し出せば誰かの寿命を減らすことができるし、命を差し出せば誰かの死を願うことも可能となる。


天使族の能力はノーリスクで使えるが、悪魔族の能力は対価を支払わなければいけない分ハイリスクとなってしまう場合がある。

が、そのハイリスクも、私の場合は全くなくなる。

誰かを殺したい時は『寿命管理』で殺せばいいし、生死以外の願いを叶えたい時は自らの寿命を増やし、その寿命を対価に『黒き血の契約』を使えばいい。

……自分で言っておいてなんだが、流石にこれ強すぎないか?

できないことがないじゃないか。


とまあ、一旦力のことは置いておいて、次は私の外見の話だ。

私の外見は右半身が悪魔の体、左半身が天使の体となっている。


右の髪は艶やかな黒、目は深い藍色だ。

爪の色が黒で、蝙蝠(コウモリ)の翼のようなものが生えている。

左の髪は美しい銀、目は薄い水色である。

爪の色はピンクで、白鳥のような翼が生えている。

頭の上には天使の輪っかがついていて、左側は薄い黄色で美しい輪っかの形だが、右側は真っ黒で形がぐにゃりと曲がっている。

そして尻のところに矢印のような形の黒い尻尾がついている。


自画自賛になってしまうのだが、私の外見は全ての生物の中で最も美しいと言っても過言ではないだろう。

よく仲間達からも言われるのだ、『小動物みたいだよね、リリー様は』と。

この小動物が何を指しているのかはわからないが、恐らく白鳥などの美しい動物のことなのだろう。


そんな全てにおいて完璧な私だが、たった一つコンプレックスがある。

なんだか色んな人に見下ろされている気がするのだ。

身長が低いわけでは断じてない。

多分他のみんなの身長が高めなだけだ。


前に『黒き血の契約』を使って身長を伸ばそうとしたことがあるのだが、何故か “身長はそのままがいいと思います“ と願いを突っぱねられた。

能力が反抗してくるなどあっていいのだろうか。


少々不満だが、まあ私の海より広い寛大な心で許してやることにした。


“うわあ、自分で言っちゃう…というか思っちゃうタイプですか。ダサいな〜“


『黒き血の契約』が勝手に口を挟んでくる。

うるさい黙れ。ただの能力のくせに勝手に喋るな。


“あれ? 海より広い寛大な心はどこ行ったんですか? 家出中ですか?笑“


…よし、こいつは無視して次の話に行こう。

何においても完璧な私だが、ついこの間ちょっとばかしやらかしてしまったことがある。

間違えて人間の都市を二、三個破壊してしまったのだ。てへ。


“なぁにが『てへ』ですか! 私が人間生き返らせてあげたんですから、感謝してくださいよ!“


その点に関しては感謝してるけど、建物とかは直してくれなかったじゃないか。


“だってあんな大規模な建物らを直すっていうのは、すっごい集中力のいる精密な作業なんですよ! 嫌ですよ私、そんなのやりたくないです“


ただの能力のくせに選り好みしやがって……。

なあお前もそう思うだろ? 『寿命管理』


【そうですね、選り好みはよくないと思います】


“じゃあお前がやれくださいよ! あんた寿命管理とか言う能力名しておいて結構他にも色々できることあるじゃないですか!“


【お言葉遣いが変になっていますよ、『クロ』さん。あと私の役割は寿命管理です。それ以外のことはあなたの役目なので私はやりません】


“はあ!? 面倒くさがってるだけでしょうが! 本っ当に貴方とは気がまるで合いません! 私はこれでもう失礼します!“


『黒き血の契約』、略して『クロ』が拗ねて黙ってしまった。

『寿命管理』もそれに応じて静かになる。


まあともかく、私は人間の都市を壊してしまったから、責任をとって人間界に赴かなければいけない。

だいぶ面倒だが、元はと言えば私のミスが招いたこと。

世界を統べる者として、責任はきちんと持たねばならない。


あ、ちなみに、やらかす前に戻ればいいじゃないか!と思って時間の巻き戻しをクロにお願いしたんだが、そんな精密な作業絶対やりたくないと断られた。


……能力のくせにほんと選り好みするやつだなぁ。


“うるせえです!!“

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