息子と髪の歴史
今日の散髪で、息子は一般的な高校生の髪型になった。
息子と髪にまつわる話は、腐るほどある。
保育園時代は、バリカンで坊主頭。
「今だけ」と思って、遊び心のある髪型にしたこともある。本人の了承を得てのことだ。
小学校に上がると、私が「似合っている」と思っていた坊主頭を、クラスメートに揶揄われた。
それがきっかけで、息子は髪を切ることを異常に嫌がるようになった。
その「切りたくない」という気持ちは、私の想像を超えていた。
とはいえ、髪は否応なく伸びていく。
キタローになる前に、なんとか説得して床屋に連れて行っても、切ったとわからないくらいのカットしかしない。
顔剃りがあるから、まだ連れて行く甲斐はあったものの、もどかしいまま数年が経った。
中学入学のタイミングで、校則もあるだろうと、息子にしては嫌々ながら比較的すっきりとした髪型にしてもらった。
だが、その後、不登校に。
完全に殻にこもり、引きこもり気味になった。昼夜逆転、風呂にも毎日入らない。
三日目になると、髪は痒くなくなるらしい。
そんな状態で、もともと嫌いな床屋に行くわけがない。
髪も、不登校の月日と同じだけ伸びていった。
中2の文化祭の日、それまで1日も登校しなかった息子が、先生の助力があって登校した。
伸び放題の長髪で、我が子ながらちょっと汚らしい風貌だった。
文化祭では先生の隣でずっと見学していたらしいが、ある意味目立ったようで、保護者席からは「あの髪型はないでしょ」と噂されていたという。
その後、中2のスキー学習にも参加。しかし髪型は変わらず。
中3になると、毎日登校するようになった。
ただし髪は伸ばしたまま。ただ、一つに括るようになっていて、それだけでずいぶん清潔感が出た。年齢不詳な雰囲気だったが。
ちなみに中学校は、息子の長髪を受け入れてくれた。
以前、不登校の子に髪型を注意したら登校しなくなったらしく、「ロン毛でも登校してくれる方がいい」という方針らしい。
昭和の私は、「今の時代だなあ」とつくづく思った。
そして息子も、徐々に髪を切りに行くようになった。
ただ、「せっかく伸ばした髪がもったいない」と言って、毛先を揃えるだけのカットを何度か。
高校受験も、長髪をひとつに束ねたスタイルを貫いた。
当時の私たちの会話は、私が若かりし頃にしていた「何センチ切った」「毛先が傷んでるから整えたい」みたいな話と変わらなかった。
そんな息子の逆を行くように、私はショートカットですっきりした髪型を好み、長らく続けている。
「短いのは洗うの楽」と言ってみたが、息子には響かないらしい。
中学卒業式の直前、息子はイメチェンを決行。
髪を括れないくらいまで切った。柔ちゃんくらいの長めではあるが、これは周囲をかなり驚かせた。
心境は、よくわからない。
そして今日、息子は散髪から帰ってきた。
分かりづらいけど、ツーブロックっていう髪型になっていた。
規則が厳しい私立高校ならダメかもしれないが、私から見れば清潔感もあり、何なら爽やかさも感じられる。
ちゃんと「高校生らしい髪型」になっていた。
やっぱり心境はわからないが。
写真に収めたいけれど、きっと嫌がるだろうと思い、まだ言えていない。
でも、こういう「普通のこと」が、感動になる。
これは、ある意味で私だけが感じられる、特別な喜びなのかもしれない。




