第一話 目を開けたら変な夢の中でした
私はミヤ、魔法学校に通う女子高生。
この国には魔法が当たり前に存在し、魔法学校も数多く存在している。
私が得意とする魔法は『白魔法』だ。
その中でもヒール(単体回復魔法)やエリアヒール(中範囲回復魔法)は大得意だった。
また、魔法とは別に私には特殊な体質がある。
患部に手で触れるだけである程度の怪我や痛み、それから骨折等までも治すことが出来る力があった。
この特殊体質を活かして、将来は医療系の仕事に就こうと考えて魔法学校に通っていた。
学校を終えて帰宅すると、実習の疲れからか睡魔に襲われた。そして、知らぬ間に眠りについていた。
◇◇◇
『ゔぅっ…………』
『はぁ………っ……。い…てぇっ……はぁ…はぁ……』
微睡の中で苦しむ人の声がする…。
これはーーーー、夢なの?
ぱちり。
瞼を押し上げて目を開くと、包帯を巻かれた男性達がベッドに横になっていた。
辺りを見渡しても見覚えのない場所だった。
病棟にしては高級そうな壁と窓。上質なベッドが四つ、それぞれに横になる男性。
やはりこれは夢なのだろうか。
実習の課題が頭から離れず、こんな夢を見ているのだろうか。きっと夢なのだろう。だけど………。
(夢であったとしても、目の前に苦しんでいる人がいるのなら助けたい…!)
そうなれば……、することは一つ。
恐る恐る、一番近くの男性が横たわるベッドへ歩く。
男性の前に立つと、視線がばちりと合った。
「う、うわああああ!!誰だあんたは!!!それに、な、何だその短い丈のヒラヒラした服は!!!」
突然悲鳴を上げられて、大声を出された。
さり気なく、短い丈のスカートも馬鹿にされた?
(誰だはこちらのセリフなんだけどな…)
夢でなかったら、きっと言い返していただろう。
でも、これは夢だ。
そう言い聞かせて男性の全身を見る。
肩から右腕にかけて、血に染まった包帯が巻かれていた。
(これくらいなら、簡単に治せそうだわ)
怯えきった顔の男性にそっと近付き、回復魔法を唱える。
「ヒール!!」
……………?
(あれ?いつもの光が出てこない?これはヒールが効かなかったってこと?)
男性の包帯が巻かれた腕にそっと触れる。
ぽわっ………。
患部に小さな光が飛んだ。
(私の特殊体質は効いている……?)
さわさわと男性の肩から腕の患部を触った。
ぽわっ……、ぽわっ………。
触った箇所から小さな光を放っている。
やはり、私の特殊体質は効果があるみたいだ。
それではさっきのヒールは、たまたま効かなかっただけなのだろうか。
(そういえば、大声を上げて怯えていた男性がやけに静かになったな…)
気になってそっと視線を上げると、そこには真っ赤な顔をした男性がいた。
(もしかして、熱がある…!?)
体温を測るために男性の額へ手を伸ばす。
ぱしり。
その手は男性の手に止められた。
「あんた何者だ…?腕の痛みが引いたし、さっきの光は何だ?」
真っ赤な顔で、問われる。
「ただの学生です!今のは私の特殊体質です。人の怪我や痛みをある程度なら治すことが出来ます」
質問に答えると、男性はぽかんとした顔でさらに問う。
「ガクセイ?何だそれは」
(学生が伝わらない…?これが夢だから?)
「まあ、いいか。それより、あんた名前は?」
「ミヤですけど……」
「ミヤか……。なあ、あんたさ俺と付きーー」
「うわあああああああ!!!誰だお前は!!!!ロッディ先輩に近付くな!!!!」
男性が何かを言おうとしたところに、隣のベッドに横になっていた男性が起きて悲鳴を上げた。
その悲鳴に残りの二人も目を覚まし、悲鳴が鳴り響いた。
「だだだ誰だ!?ロッディ、お前何を連れ込んだ!?」
「いやあああーーー!!!誰!?ほんとに人!?」
「おい、お前らうるさいぞ!!こいつは俺の腕を治してくれたんだ!」
男達三人の悲鳴が飛び交う中、ロッディと呼ばれている男性が私が治療した腕を動かして見せた。
「「「…………………………へ?」」」
男達の間抜けな声が重なった。
騒ぎ立てていた男達が唖然として静かになる。
また悲鳴を上げられて騒がれても困るので、今のうちに残りの三人も治療することにした。
「いまから皆さんも治療します!少し、じっとしていて下さい………。エリアヒール!!」
……………………。
何も起こらない。中範囲に光が浮かばない。
(やっぱりヒールは効かないのかな…?)
静まり返った部屋に、気まずさを感じながら彼らの顔を窺うと、全員真っ赤な顔をしていた。




