第Ⅰ幕.サボリと演劇部。
ナレーション そう、あれは、私が中三の時だった。私達3人は面白半分である村に向かっ
(off) たのだ。あの雪降る冬休みに。謎に満ちた渦に巻き込まれたのだ。
私達は何も知らずに……。
「1」 幕が開く。
*三人組は部活を終え、教室にいる。3人とも椅子に座っている。郷実は手
orポケットにケータイを所持している。
関元 あーっ疲れた。それにしても今日の部活しんどかったなー
武野 演劇部なのに外周を何回も走らされるとは思わなかったよな・・・
関元・武野 キツかった~・・・(だるそうに)
郷実 そんなの2人が部活サボった上に嘘を付いたからじゃん。
関元 それはぁな、えーと――
武野 猫がこの寒さの中で捨てられていたんだよ。それで助けて――
郷実 ウソ言いなさい!
武野 うっ、ホントはゲーム買いに行ってましたー。(ホントから棒読み)
関元 今日が発売日だったので。 ( 〃 )
関元・武野 それが何か!?
郷実 あんた達ねぇ……
武野 まあまあ、次からは、ちゃんと参加するから、さ。たぶん。
郷実 たぶんって何?たぶんって。
関元 いや、絶対に行くから、おそらく。
郷実 おい、いい加減にしないとチクルよ?
関元 はいはい。
武野 わ、わかったって。
関元 行くから、行くから。
武野 だって、先生より内田のほうが怖いし、ちゃんと行くって。
郷実 なによソレ。
関元 まあまあ、それじゃあ内田が今したいこと、出来ることならおれら何でもする
からさ。許してやれって。
郷実 え、いいの?じゃあ、この話題に乗ってくれる?
*郷実、カバンから雑誌を取り出す。
郷実 (雑誌を見せつけながら)見て、コレ。ね、面白そうでしょ?
関元 (雑誌を見て)『ミステリアス~これでアナタも信じる~』……。
郷実 どう?
関元 胡散臭ェー!(リズム良く)
武野 何だよそのタイトル。
郷実 けっこう流行ってるんだって。一部の女子の中では。
武野 それって、マニアックな奴らって事か?
郷実 さあ・・・私の場合、友達に薦められて買ったんだよ。
関元 内田ぁなんかおれ、お前に同情したくなってきた。
武野 ボクも。
郷実 なんで?
関元 (聞き流して)前から思っていたけど、何で女子ってこーゆーのが好きなワケ?
郷実 皆が皆そうじゃないと思うけど、うちの場合、これが作り話でも本当にあったら
面白いし、なんかこう、引き付けられる、というか・・・。
武野 まあ、気持ちは分かるな。 (この後に関元、頷く)
郷実 取り敢えず見てって。
*郷実、2人に雑誌を渡す。
関元 しかたないなぁ。
武野 で、中はどう?(興味なさげに)
*関元・武野、 雑誌をめくり何秒か見る。その間、郷実、ケータイと取
り出す。いじってる。
武野 て、言うかこの記事、ていうより全体的にやっぱり怪しくねェか。
郷実 そう?
関元 そんなの、表紙からしてそうだよ。分かりきっているし。やっぱ胡散臭ぇ。
郷実 でも、面白いじゃん。ホントに起きたら、さ。
関元 起きねぇよ。
郷実 夢がないねー。(可哀想と思いながら)
関元 オカルトで「夢がない」と言われてもなぁ……。
郷実 ハハハ、そうだよね。
*郷実、ケータイに向き直る。その間、関元・武野は何かを喋っている。
郷実 (ケータイを見ながら)ねぇ、これちょっと気にならない?
武野 (ケータイを覗き込んで)ん、サイトか?
郷実 そう。
関元 今度はなんだ?
郷実 えーと。『今宵、貴方は奇怪かつ不思議な体験をする』――。
関元 これもオカルトか?
郷実 多分。
武野 で、本文は?
郷実 ンー、と。『我らが故郷、イシナカ村に残されし暗号と我が村の廃校の校歌に
潜む謎を解きし者求む――』・・・
関元 おい、武野、こいつ目がヤバイぞ。
武野 ああ、何かキラキラしてる・・・。ヤバイ。来るぞ、来るぞ、来るぞ・・・。
郷実 ねぇ、『参加』しようよ。
関元・武野 やっぱりかぁ……。
郷実 だって、面白そうじゃない?クイズ的要素もあるし。ねぇ、やってみようよ!?
武野 あぶないって、それ。絶対に。やめとけって。ボクはイヤだからな。
関元 そうだぜ、面白半分でやると、えーと、よく、うん、アレだ。ドラマや映画とか
マンガとかであるだろ?ヘンなことに巻き込まれる、とかさ。後悔する前に、
諦めろって。勿論、おれも不参加だからな。
*郷実、うつむく。
関元 (焦って)ご、ゴメン言い過ぎた。ゴメンこの通り。
*この直後、郷実、顔をあげてパァと明るくなり、ニッと笑う。
*関元、後悔する。
郷実 (陽気に)だからいいんだよ。・・・遭ってみたいな~。そーゆーの。
*関元・武野、少し引く。
武野 (ヒソヒソ声で)一番危険なのは、じつはコイツじゃあねぇか?(関元に向かって)
関元 確かに。
郷実 お願い、一生のお願いだって! (顔の前で手を合わせて)
関元・武野 (キッパリと)絶対に断る!!
郷実 (嫌そうに)ええー。 (溜め息を付く)
*郷実、顔をさげ、ケータイをいじる。何かを見つけた様子でその後、顔を上げる。
郷実 ふ~ん。残念だなー。賞金付きなんだけ・れ・ど……。
関元・武野 (ふっと顔を上げて)えっ!
関元 そーれーはー・・・どのくらい?(恐る恐る訊く)
郷実 えーっと。いち、じゅー、ひゃくぅ・・・・・・
武野 (がっついて)おいおい、そんなにか!?
郷実 130万円……。
関元・武野 うっそ~
郷実 ホント。
武野 欲しィー
関元 是非とも。
武野 遊び放題!
関元 買い物し放題!
*関元・武野、ニマッとする。
関元 でも、13って縁起悪ッ
武野 そこはまあまあ。
郷実 じゃあ、参加するってことだよね!?
関元 えっ、でも・・・
武野 よろしくない気がするンだけど・・・
郷実 えっ、でも、もう送信しちゃったけど。『3人で参加』、とサイトに(スラッと言う)
関元・武野 勝手だぁ!!
郷実 いいじゃんいいじゃん!
武野 はぁ、あーあ、送ったからにはもう引き返せないぜ。
関元 ああ。仕方がない。でもさぁおれらだけで行って良いものか?真面目にとか
そーゆーのじゃなくてさ。
武野 うん、そうだよな。聞いたこともないし、『イシナカ村』ってトコなんか。
関元 それに、賞金、多いし。
武野 解けたらの話だけどな。
関元 ハハハ、そうだな―――…
で、どうするんだ。内田ぁ。親はうるさいからダメだし、先生になんて以ての外だし。
あてが無いぞー。んー、仕方がない、ボクらだけでいくか?(少し悩みながら)
*郷実いきなりフフフと笑い出す。
郷実 心配御無用!うち、あの先生の弱味を握ってるんだよねぇ・・・
*関元・武野、興味を示す。
関元 誰の?
郷実 森口センセーの。
関元・武野 はぁ?
関元 おれらとよく喋ってて、周りから好かれている、あの副担の!?
武野 あのいい先生が隙を見せるような弱味なんかあんの!?
郷実 そう。
関元・武野 ありえん・・・
郷実 それがさあ、この前の塾帰りに森口っさんを見かけたんだけど、何か様子がお
かしくってさ、気になって後をつけたんだけど、そしたら――
関元・武野 そしたら?
郷実 『ギラめくピンクのSM~あなたのハァトにごーるいん~』って店に入って行った。
関元・武野 えええー!
武野 それホントか?
関元 ものすごいイメージダウンじゃん。
郷実 だって、ホラ。
*郷実ケータイを見せる。
関元・武野 うっっそ~~ん!!
郷実 証拠あるし。コレ使って頼んでみる。
武野 お前はモンスターペアレント以上に悪魔だ。
関元 武野、お前ッなんかツッコミどころズレてる。
郷実 こういうのは、プロフェッショナルというの。(無邪気な笑みで)
関元 お前の笑みが一番怖い・・・・ (引く感じで)




