1のクノイチ
「あぁ、今日も暇潰すか」
「...」
玄関を開ける。茶の間に誰かいる。
知らない人がいるのが1番怖い説。
「ぎゃあああっ!!」
ななななんで人がいるんだ勝手に人ん家にっ。
そう、俺の日常はもう、戻っては来ないのだった。
「そ、それで? あなた、どなた」
恐る恐る声をかける。
「...」
ぴっちりとしたタイトな服に口まで隠すマスク、服に強調されたちょうどいい凹凸、クノイチ。
意味が分からん、なんでそんな奴が家にいるんだ。勝手に。
そう、俺に日常はとある奴と肩をぶつかってから壊れたのである。あぁ壊れたのは肩じゃなくて人生の方。肩もちょっと壊れたけど...別にいい。
そのとある奴はだれか分からない、目出し帽に深緑のコートを着ていたとしか。
「...」
とりあえず玄関入ってすぐのキッチンで茶を入れて、四畳半へと進みちゃぶ台に置く。優雅に忍者とシバきアフタヌーンティータイムと洒落込む。
シュッーーー
つもりだったが、お茶がなくなる。
「オイオイ、まじもんの忍術かよ...」
特に何か見えたわけでもないが、茶の中身がなくなっていた。
いや絶対あついだろ、淹れたてだぞ。(もし飲んだのだとしたら大火傷だけど...)
口に手を当てる。表情は分からないが、なぜか熱さで悶絶しているのがわかる。
もう一回注いでみる。
湯気がたつ。
ッシューーーッ
そして消えるクノイチ。
「なんか言ってけよ…」
そうして俺の日常が今日も始まる。




