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異教の食卓、最後の名前
異郷の食卓
転移から一年が過ぎた。
言葉も通じず、帰る術も見つからないが、レンは毎朝欠かさず料理をする。
異国の食材でつくる、故郷の味。
「美味い」と言って泣く村人の顔を見るたびに、彼は思う。
腹を満たすことだけは、どこの世界でも同じなのだと。
最後の名前
精霊に自分の名を渡すとき、ティアは一瞬も躊躇わなかった。
名を失えば、もう誰にも人として認識されなくなる。
それでも、腕の中で息絶えそうな精霊を見捨てることなどできなかった。
「君の名は今日からティア。俺が守る」
精霊の声は、思いのほか柔らかかった。




