前へ目次 次へ 7/17 泥人形の涙 魔法使いのセナは、幼い娘が川に落ちたと聞き、迷わず禁忌の術を使った。 娘の魂を、自分の手で作った泥の人形に移し替え、娘の肉体を水の中から救い出した。 人形は娘の顔で笑い、娘の声で母を呼んだ。 しかし夜が明けるたびに、人形の体は少しずつ形を失っていった。 「お母さん、私はいつまでここにいられるの」 セナは答えることができなかった。 人形の泥でできた涙が、冷たい石の床に音もなく落ちた。 その涙だけが、どこまでも本物だった。