前へ目次 次へ 6/12 最後の歌 銀色の翼を持つ鳥人族イルは、この世に生き残った最後の一人だった。 かつて百の集落が栄えた山脈には、今は崩れた石壁だけが残る。 旅の途中、ある村の子供が、「あなたは何の種族ですか?」と問いかけた。 イルはしばらく考えてから答えた。 「昔は、たくさんいた。今は、私だけ」 子供は、「寂しいですか?」と重ねた。 イルは銀の翼を広げ、夜空に向かって一声高く鳴いた。 その声に、応える声はなかった。 それでも、イルは歌い続けた。