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朽ちない心臓、星を渡る根
朽ちない心臓
埋葬されたはずの俺は、土の下で目を覚ました。
身体は腐りかけているのに、胸の奥の心臓だけがうるさく脈打っている。
村に戻ると、恋人は喪服を脱ぎ捨て、新しい誰かと笑っていた。
嫉妬で心臓が暴れ、土の匂いをまとった腕が震える。
それでも扉を叩かなかったのは、彼女の涙が、確かに俺のためだったと知っていたからだ。
星を渡る根
村の井戸の底には、小さな光る根が伸びていた。
祖母は、それが世界中をつなぐ大樹の枝だと教えてくれた。
干ばつの年、誰もが空を呪うなか、祖母だけが土に祈りを捧げる。
翌朝、枯れた畑一面に、見たことのない芽が揃って顔を出した。
僕はその日から、空より先に足元の土に「ただいま」と声をかけるようになった。




