14/17
引退勇者の農事日誌、受付係の記録
引退勇者の農事日誌
魔王を倒した翌日、勇者はひっそりと山の中に小屋を建てた。
近くの川で魚を取り、野菜を育て、夕暮れ時に静かに酒を飲む。
英雄を求めて訪ねてくる者には、「もう引退した」と答えた。
本当の戦いは、毎朝の雑草取りだと、今は思っている。
受付係の記録
冒険者ギルドの受付係は、今日も笑顔で依頼を捌いた。
名もなきCランクの彼女は、報酬の交渉をし、傷の手当てをし、帰らぬ者の名前を記録した。
英雄は表で剣を振るう。
だが誰かがいなければ、彼らは帰る場所も、祝われる夜も持てなかっただろう。




