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泥の子の朝、百年目の春
泥の子の朝
「お前には魂がない」と錬金師は言った。
泥と魔法で生まれた少女は、静かに頷いた。
それでも朝になると、師の粥を温めた。
理由は分からなかった。
ただ、誰かが寒そうにしていると、胸の奥が痛んだ。
それを「感情」と呼ぶと知ったのは、ずっと後のことだ。
百年目の春
魔法の封印が解けたとき、彼女が見たのは見知らぬ街だった。
百年前に別れた恋人の名を口にすると、老婆が驚いた顔をした。
「あの方のひ孫が、今も剣を継いでおります」と老婆は言った。
彼女はその言葉を聞き、はじめて眠りについた意味を知った。




