宴会
「おお、これうまいな♪」
「それ私にもちょうだい」
「たくさんあるから、喰え喰え♪」
水上都市の一室では食事会が開催されていた。
その面子は、
うちの魔導少女シフォン。
黄金都市の長、アルフォートさんの娘、ソニア。
変態勇者ハルこと、白金級の勇者、魔剣ハルクライム。
水上都市の学術師エクア。
白金級の勇者ロンギヌス。
ロンギヌスの使い手マリア。
俺は、それらを見ながら、皆に料理を進めている人物に声をかける。
「なあ?」
「どうした、恭介?」
その人物は何でもないかのように給持をしなが小首を傾げる。
「なんで、ミリ-がすでに動き回ってるんだ!」
俺が、厨房で全員追い出して調理をしている間にミリ-が復活していた。
精神体そのままの少女の姿。
しかし、実体があった。
「エクアに復活の方法を教わったのよ」
「エクアに?」
「あたしが、魔性石を埋め込まれているのはご存じですよね。人体に埋め込む技術開発の過程で、魔性石自体に魂と肉体を持たせる研究も行われていたんです。その方が、より管理しやすいですから」
エクアが事も無げに話してくれたが、それってすごいことではないのだろうか?
「まあ、人の魂じゃ魔性石に吸収されただけで消滅しちゃいましたし、実用化には至ってなかったんですけどね」
「魔王の魂で試せるとは贅沢な奴だな♪」
ミリ-が偉そうにいってくる。
「おっと、また薄くなってきたな。やはり、シフォンの魔力だけでは長時間の具現化は難しいな。恭介、魔力の補充を頼む」
どこで、その方法を聞いたのかミリ-が唇をつきだしてきた。
「え~と、ここでか?」
「ここでじゃ♪」
戦闘中は慣れてきたものの、やはり普通に人前でのこういう行為は恥ずかしい。
「はあ、我が魔力の一部を譲らん」
俺が、ミリ-の唇に重ねる。
実態でないのに、実態のような柔らかさ。
恥ずかしさはあるものの、不思議と安心感があった。
どこかで求めていた光景なのかもしれない。
「おお、やはり、元々自分のものだった魔力は馴染みかたが違うな♪」
ミリ-が満足そうに頷く。
勇者なハルとロンギヌスを除いて、ヤローは俺一人。
ちょっとしたプチハーレム気分。
…………と思いきや、この女子たちよく食べる。
「ねえ、恭介。このカラアゲ? もうないの?」
「このイモの細ぎりを揚げたのも追加で!」
「飲み物も全然足りないわよ♪」
「トロっトロのピザを頼む♪」
「了~解…………って、あれ?」
たしか俺って、こんなことをしに来ていたんだっけ?
ミリ-の奴もいつのまにか食席に移動し、お客さん気分だ。
俺って結構頑張って、それなりに活躍した功労者だったよな?
そんな疑問が起きなくもないが、みんなが幸せそうに食べてくれているのは嫌ではない。
「いっちょ、やってやるか」
3時間後。
嵐のような宴会時間が終わる。
俺も最後の方でようやく食事にありつくことができた。
「これからどうする?」
「私は王都に帰ろっかなぁ」
「自分もマリアとともに行動する」
「ふーん、そうなのか」
マリアたちは王都に戻るらしい。
何でも、マリアとロンギヌスは日本にミリ-を探しに来たのは王国の王子の差し金だったらしい。
姉の婚約がどうとか言っていたが、何か弱味を握られているのかもしれない。
「あのバカボンと刺し違えてでも殺してやるぅ」
「…………」
マリアの口から物騒な言葉が聞こえた気がするが、深く聞いたら絶対不味い事態に陥るだろう。
ここは心を鬼にして無視だ。
「あなたたちはどうするのぉ?」
「俺は、もとの世界に戻ろうと思うんだが」
「じゃあ、私たちの目的地も王都ってことね」
シフォンがそう言ってきた。
えっ、なんでそうなるんだ?
「キョースケのいた異世界に戻る方法は、唯一王都にある世界門だけだし」
「そうなのか……」
俺が落胆したのを見ても誰も気にしてくれない。
「それでは、あたしも魔性石で具現化した魔王さんの肉体がどうなるのか確認したいので一緒にいきます」
「えっ、でもエクアはこの水上都市を離れられないんじゃ?」
「地下室に行って、補助用の魔性石を起動させることに成功しました。私ほどの高効率のエネルギー変換は無理でも、最低限沈まないくらいのエネルギー効率はいけます。それで、当面の魔力の補給なのですが…………」
エクアが突き上げるような視線で見てくる。
うん、そんなことだろうと思っていた。
「わかったよ」
これから王都にみんなで向かうことが決まった。
俺が日本に戻るまで絶対に、また一波乱ありそうではあるが、みんながいればなんとかなるのではないかと思う。
読んでくださったかたありがとうございます。




