第八十五話 謎のダンス競争
そして、いよいよワース商会と関連施設を捜索する日になった。
とはいえ作戦決行は夕方以降になるので、夕方までは普段通りに過ごす事になる。
なので、朝の魔法訓練もいつも通りに行います。
勿論、馬もしれっと参加しています。
「あの、だからといって昨日と同じく魔法一斉射撃をする必要はないと思うのですが」
「なので、今日は精度を高める為に標的に正確に当てる訓練となります。まあ、ぶっちゃけ昨日と同じですが」
「マリリさん、ぶっちゃけないで!」
ズドーン、ズドーン、ズドーン。
そして、昨日と同じく俺が魔法領壁を展開して他の人が俺に向かって魔法を放っている。
気のせいか、昨日よりも皆が放つ魔法の威力が上がっている気がするぞ。
遠慮なく降り注ぐ魔法を全力の魔法障壁で受け止めた為に、俺はまたもやくたくたになってしまった。
「はあ、いつまであの朝の魔法障壁に目掛けての訓練は続くのか」
「恐らく、今日までじゃろう。明日は今夜の後始末で、魔法訓練を行う暇はないはずじゃ」
「だと良いんですけどね」
オース商会でのレジ打ちの合間に、俺はビアンカ殿下に愚痴っていた。
流石に毎日俺が的にされる訓練をするとなると、魔力よりも精神力が持たないぞ。
因みに、俺の魔法障壁を破る事ができなかった従魔達は、その悔しさを今日のお手伝いにぶつけると言っていた。
そして馬も二日連続で俺の魔法障壁を破る事ができないのが相当悔しかったらしく、いつの間にかリーフとタラちゃん達と街の巡回に繰り出していた。
馬の馬上はリーフとタラちゃんだけど、あの馬は特別賢いから兵に任せておく事になった。
「「「うりゃー!」」」
因みにシロとミケとエステル殿下には、またもや別の商会から荷物運びのオファーが来ていた。
三人も体を動かすのが好きだから、喜んで商会からの依頼をこなしていた。
因みに、シロとミケと一緒にエステル殿下もお嬢ちゃんと言われて喜んでいるのは内緒の話だ。
「お兄ちゃん、やっほー!」
「お、リーフか。巡回頑張れよ」
「任せて!」
そして、店先から俺を呼ぶ声がするので顔を上げると、馬に乗っているリーフの姿があった。
リーフは小さいから、気をつけて見ないと馬が勝手に歩いている様にも見える。
ともあれ、巡回部隊にも頑張ってもらいたいものだ。
そんなこんなで、今日の手伝いも終了。
冒険者ギルドで手続きをして、屋敷に戻ります。
「「イェーイ!」」
屋敷の応接室に入ると、何故かリーフとタラちゃんとホワイトが謎のダンスをしていた。
今日巡回に参加したチョコとプリンも、リーフとタラちゃんとホワイトと共に触手をフリフリしながら謎のダンスをしていた。
そんなリーフ達を、ラムネを始めとするスライム達が悔しそうに見つめていた。
俺には何が何だか分からないので、ここは事情を知っていそうな人に聞いてみよう。
「いやあ、防壁の警備についた従魔達も頑張ってくれたのだ。しかし、それ以上に巡回に参加した従魔達が大活躍してな。お陰で、闇組織が陽動の為に暴れるのをほぼ阻止できそうだ」
と、ラルフ様のお話です。
今夜の陽動を防ぐだけの働きをしたのもあって、リーフ達は喜びの踊りをしていたのか。
そんな事を思っていたら、ビアンカ殿下の話が飛び込んできた。
「因みに、フランソワは闇組織と繋がってると思われる貴族のリストを見つけたのじゃ。既に父上に報告済みで、明日朝には王都にある対象貴族の屋敷の捜索が行われるそうじゃぞ」
「イェーイ」
「「えー!」」
俺も、まさかワース商会にこんな重要な書類があるとは思わなかった。
しかも、誘拐した子どもを違法奴隷にして貴族の屋敷に送るという、とんでもないものだった。
リーフ達も思わずびっくりしてビアンカ殿下の肩の上で謎のダンスをしているフランソワの事を見ていたが、これはフランソワの大手柄が上だろう。
「「今夜頑張もん!」」
そしてリーフ達は、今夜は絶対に活躍すると誓っていた。
因みに今夜出動するので夕食は軽めなのだが、従魔達にはご馳走のスイーツが振る舞われていた。
「えー! 今日は私にご馳走ないの?」
「エステルお姉様、当たり前なのじゃ」
エステル殿下はご褒美がでない事に文句を言っていたが、ビアンカ殿下以外はツッコミはしなかった。




