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姫と従士の思い出旅行 《メモリーズ・トラベラー》  作者: 月城 裕也
1章 時計塔の街 ルルシャルナ
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プロローグ


 世界に災い来るとき一人の魔王が生まれる。

 赤き月が浮かぶ世に黒の髪をした少年現る。

 大地、魔界、天界、時界の四世界を巡り力をつける。

 旅の道中で仲間を集め、苦難の果て八年の月日を経て魔王の居城に辿り着く。

 死闘の末、黒の髪をした少年魔王を打ち破る。

 かくして魔王は消え、世界は平和になった。



 街を歩いていると、吟遊詩人が広場で遥か昔に起きた英雄譚を語っていた。

 どこの街に行っても聞くその話は耳にタコが出来るほど聞いている。

 ただ共通しているのは吟遊詩人の耳が長いということか。

 長寿で有名なエルフ族だ、見たところ彼女は1,200歳前後というところか。

 ここに来る前の街では齢5,000を超える老人が歌っていた。歌の中には蹂躙されたエルフの街を救い、捕らわれていたエルフすべてを救ったという一節もある。

 それに恩を感じたエルフの民は皆、この英雄譚を語り継いでいるという。

 こういった話はだいたい脚色されているのが大半だが、今まで語っていたエルフたちは当事者たちだからそれはあり得ないだろう。昔は森の中から出てくるエルフなんてほんの一握りしかいなかったらしいが、今ではこういった昔語りをするエルフが多く出てくるらしい。

 さて、この街には人探しで来たのだがまずは宿を探すとしよう。

 四ヶ月ほど歩いてきたから久しぶりにベッドのあるところで休みたい。今のご時世、下手に浮遊魔法を使うと目立ってしまうから使えないし友人に頼むともっと大変なことになる。

 だからこそ歩いてきたのだが、道中は随分と懐かしかった。時間は経ってもところどころ変わらない風景、旧友との再会。この広い世界をすべて回るのは人間の一生でも足りるであろうかというほど広い。

 友人もだいぶ先立っていってしまった。今探している人も生きているかどうか分からない、それでも一言言ってやらねば気が済まないのだ。

 そうこう考えているうちに宿についた。

 ひとまずは夜になるまで散策するとしよう、この街に来るのも五百年ぶりだ。


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