欲求満足……?
体が熱い、腕が背中が腹が足が頭が暖かいとは違う張り付くような激痛と取れない熱に蝕まれまるで生を諦めさせるように体を重くそれでいて眠気を引き起こしていた。
痛い痛い痛い憎い憎い。
体を起こそうとするが背中にある機械的な羽の破損部品のせいで体が持ち上がらない、怠さと体が鉛のような感覚に瞼さえ落ちそうだった、手や足の感覚もまったくなく流石に焦りが出てくるが関係ない。
「うっ……ぐっ…………」
立ち上がろうとしても結局の所足に力が入らない、それどころからさっきの攻撃のせいで腹に空いた穴からは血がとめどなく流れていき鉄臭さを充満させていた。
「見つけたぞ!!こっちだ!!__を投げろ!!!」
怒鳴り声のようなものが聞こえ急いで体制を整えようとするが体はゆうことを聞かず全くと言って立ち上がるが出来ない、ただ海の波の音と多くの人間の足音をボーっと聞いているだけだった、手など出せないのにリーダーが慎重なのか崖の上から覗き込むようにこちらに矢先を向けて片手を上げる。
「放て!!!」
「うぐっ!?アガッ!ガァァア!!!!」
ゴォウ!!そう音を立てたと思えばありえない激痛とありえない熱さに柄にもなく悲鳴を上げてしまう、機械の油に引火したのか火が強くなり体全体が燃えに燃え意識が無くなりそうになる、叫んだことにより喉を火傷したのか内側にもヒリヒリとした痛みを感じ「ゲホゴホッ!!」と咳をして運悪く煙を吸い込んでしまう、まるで熱い食べ物を食べたような食道を熱する感覚にもがき苦しむ。
「悪魔め!!娘を返せ!!!」
「白人さえ……白人さえ居なければ!!!」
「家族を返して!!!!」
このままよくも分からないやつの思いどうりになってたまるか、俺は神事旧型第10部を使い手を伸ばした、触れた所から亀裂がはしり崖の1部が崩れる、地獄絵図のように上がる悲鳴と憎しみの声を聴きながら俺は口角を上げた。
これでいいアウラさえ助かれば、後は皆あいつの悲しい思い出も記憶もアイツを苦しめる全てを地獄に連れて行ってやる。
焼かれて爛れる肌を無視して息のしずらいことを無視してもう一度口角を上げた、背中に石や岩が降って来るその中には人が混ざっているが関係ないあいつに死体を見せない為全員下敷きになれば万々歳だ。
「くっ……はは!!ははははは!!!!!」
抑えられない歓喜に声が漏れる、その間にも岩に押し潰され足はあらぬ方向に曲がっている同じく大地に潰された者達は悲鳴と苦痛と助けを叫ぶ、そんなことしても助けるものも居なければ来るやつも居ない、だって全員巻き込んだから生存者なんているわけないのに。
「嫌だ死にたくない」
「母さん、父さん助けて」
「おぉ神よ!!」
嘆き助けを求める声を聞きながら死ぬのはなんと清々しい気分なのか、何も障害もなくアウラは生きれることがどれだけの幸福なのか。
潰されたことにより密閉空間になっていたせいで熱がこもり汗が滲み出る、だけど関係ないあと少しすればこの長いようで短かった生に終わりを告げられる。
心残りはない気がする……あぁでも、最後に見たアウラの顔が悲しみと嘆きを浮かべていたのは残念だった…と言うかあいつはいつも人に甘いなと今度は別の意味で口角が上がった気がした。
あぁそうか……
そうだ……
見つけた……俺の唯一の心残り……
最期のやり残し……
どうせ見るのならあの初めてあった時のようなあの顔を見たかった。
そうかこれが俺の求めていた"___"
俺が欲しかった物か……。




