あい
驚きに目を見開くことも声を上げる時間もなく急激に私を襲う痛みに体がぐらつく。
体が後ろへと倒れて行く、このままでは海へと沈んでしまうその思いで必死に手を前に伸ばして何かを掴もうとするがその手は虚を掴むだけで意味が無い。
背中からお腹にかけて生暖かい何かを感じる、その間にも色々な記憶が鮮明に頭の中を駆け巡る、後悔も、苦しみも、幸せも、初恋も。
あぁ神様、これが天罰なのですね。
女である私が自由を望んだ罰、刃向かった罰、救うために学びを取った罰、そしてあの人を好きになった罰。
あぁでも神様、私の神様…
「あ‥は…」
口から赤色の液体を吐き出しながら小さく笑う、涙が溢れて恐怖と不安で胸が一杯になる、視界がぼやけたとき目の前に一瞬黒色と緑色が見える私はそれに向かって必死に手を伸ばす、途端まるで赤色のジャムをこぼしたようにそれが塗り潰されるように視界に埋まる。
こんな理不尽は酷くないですか?私はただ普通の女の子のように恋をしてそれでただ本当に幸せになりたかった…。
あぁそうか、こんな自分勝手で身勝手だからこんなこと望んだからダメなんですね。
だけど赦して下さい、この言葉を告げる事だけどうかお許し下さい。
「……あ…‥い…し…‥‥て……る」
バチャン!!!!!!
急な衝撃に体が強ばる、瞬間包まれるような冷たいような温かいような感覚に息を呑む、苦しいはずなのに何も感じない不思議な空間。
落ちる、堕ちる、墜ちる。
死んだら何処に行ってしまうのだろう、私は一体何になるのだろうかそれともただひたすら何も無い世界を永久に彷徨い続けるのだろうか…。
まるで底なしの穴を覗いてるような恐怖に空に向かって伸びる手に自然と力を込めてしまう恐怖により太陽に手がちぎれるほど手を伸ばす。
海に差し込む光がまるで包帯のように見える、生暖かい熱を帯びる手がまるであの断面に触っているようで手が震えた。
身近にあったはずの馴れたはずの死が私の脳を狂わす。
しかしそれは視界に突然写った赤色の液体がその感覚を…私に合った生へのしがらみを取り除く、諦め、拒絶、失望。
『……ウ‥ラ』
懐かしい友の声が一つ二つ私の後ろから聞こえる。
あぁ彼女達は私を迎えに来てくれたのか、いやまだあの2人は死んでない、じゃあはるばる私を送りに来てくれたのか。
ゆっくりと瞼を下ろす、あぁこれが私の最後かこれが私の死かこれが私の…
メシッ……
メシッ………
…パキンッ!!




