本音と妥協
「ちょ、待ってよ!」
私は彼を勢いで止める。
「なんだよ、俺は忙しいんだよ・・・」
「私、家なし金無しって今言ったじゃん!?それなのに好みじゃないからって見捨てるのはよくないと思うんだけど・・・」
言ってて思う。自分が言えることなのか・・・
「あー、まぁ好みじゃないって言ったのが悪かったな・・・」
・・・・・・?
「本当の理由的には、お前が助けろって感じじゃないのが決定的だな、うん」
・・・はああああああああああ!!?
感傷に浸りかけていた自分が一気に現実へと引き戻される。
「何を言ってるの・・・?私の今の状況は結構絶望的なんだけど・・・好み関係なくない?」
「あぁ、関係ないよ。だって別にお前人を頼りにする時の態度っていうか・・・とにかく助けを求めてる感じじゃないから・・・あと、俺にあって少し会話した時にお前自分で何言ったか覚えてるか?」
「・・・・・・『私と一戦やる?』」
「そう。助けて欲しいやつに戦い挑んだらダメだろ。」
・・・よく考えてみたらそうだ
「確かに俺も挑発した。悪かったが、その後だ。挑発に乗ったと思えば助けてくれ。都合がいいんだよ、お前。どこから来たか知らないがそう世界は甘くない」
・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・るよ」
「なんだよ?」
「・・・知ってるよ!!私は、すぐ相手の挑発に乗って気に入らないことがあれば暴力を振るう。でも、そういう生き方でしか今まで生きてこなかったから!!人に何か頼るなんてしたこと無かったし・・・!!!・・・ぐすっ」
気付けば頬に涙が流れていた。
「・・・もう、いいよ。あなたに頼ることはしない。私の態度が悪かったし。ごめん・・・。」
「ちょ・・・急に泣いて止めろって!なんか俺が泣かしたみたいになるし、それにお前そういうガラじゃなさそうだし・・・」
「あぁ、ガラじゃない。だが、スッキリはしたかな・・・」
「あー、クソ!こんなことなら素直に助けとけば良かったぜ・・・」
彼はため息をつく。
「・・・いいぜ、とりあえず。お前ここがどこかも分からないようだし、ある程度の事とか寝床とか・・・」
「ホントに!?ありがとう!」
「えぇ!?あぁ・・・お前なにその空元気・・・さっきまで泣いてたじゃん」
「そうだなーははー」
棒読みで答えてやる。なんでこんな初対面の相手、しかも名も知らぬ男に色々今までのこととかを泣きながら叫ばなきゃならんのか・・・一度落ち着くとそんな気になった。
だけど、私にはそんな相手が必要だったと後からちゃんと分かるのだろう。
「そういえば・・・名乗ってなかったね。私、戸塚 玲 レイでいいよ」
「俺は、キルト・ディナール キルトでいい」
「そう、よろしく・・・キルト」
「あぁ、よろしく・・・レイ」




