ウワサ
蓮くんの好きな人、わかっちゃったぁ。
おバカな蓮くん、恋をする。
そんな蓮くんは、わたしのことを大嫌いみたい。
なぜだろうなあ?
自分から好きって告白してきたくせにさ?
「ねぇ、蓮くんっていっつもこっちみてるよね♡」
わたしは、けっこう大きな声で蓮くんにそう言葉を投げつけた。
「はあ?ふざけんなよ」
「ツンデレさんだね♡」
うわ、教室でいちゃついてる。
すご、元カノ近くにいるのに…あのふたり、ヤバ
と、コソコソ聞こえる。
クラスのみなさんは、嘘告のことを知らない。いや、知っている?
そもそもが、クラスの全員があの告白を聞いていたわけじゃない。
だから、あくまでもウワサで聞いた情報をもとに、受け入れている状態だ。
ウワサでは、彼女をあっさりぽいして、ただ可愛くなったわたしを蓮くんが好きになって告白してきただけって説もあるらしい。
あと、ナチュラルに嘘告説だ。
どちらにせよ、蓮くんのイメージは、急降下だ。
かわいそうに。
蓮くんのイメージは、そこそこ急降下だけど、ミソノンのイメージは…まあまあ急上昇中だ。
そりゃ、そうよね。
彼氏奪われたのに、その彼氏を奪った女と仲良くしているんだから。
でもね、一部の人からは浮気したから、彼氏にポイされたって説もある。
だから蓮くんは、悪くないと。
それぞれ、蓮くん派とミソノン派がいたりする。
外野ももちろんいる。
お互い様のドローだよね?の人もいたりして、それぞれだ。
集団生活ってのは、少し疲れる。
蓮くんが、こちらに近づいてきた。
そしてわたしに向かって、
「もうさ、悪かったって。ごめん。だからやめてくれよ…」
と謝ってきた。
へぇ、蓮くんってちゃんとごめんなさいが言えるんだー。
「蓮くんさ、無くしものみつけたんだね」
「え?なに…?」
「ねえ、ミソノン。蓮くんってよく、なくし物するうっかりさんだよね」
「えっ?そう…かな?」
「うん、そうなんだよ。蓮くんさ、大切なものは、なくさないように大切にしておくといいよ?こまめに把握するとかさ。あ、してたけど、うっかりしちゃったのか」
「なに…言ってるの?」
蓮くんの言葉にミソノンも首を傾げた。
「そのうちわかるんじゃなーい?」
わたしは、二人をみていたずらに笑った。
「ふたりともー、今日一緒に帰れるー?」
ムギ先輩が廊下のドアからひょっこり顔を出した。
ムギ先輩の言葉に、わたしたちは顔を見合わせてから笑顔で
「「帰れまーす」」
とこたえて、三人で微笑む。
この状況は、わかる人からすれば、もっとも気味の悪い光景だろう。
だって、わたしはミソノンの彼氏を奪い、ミソノンはムギ先輩の彼氏を奪ったのだから。
奪ったり奪われたりしているのに、三人とも笑顔で仲良しとか、どうかしている。
そう、どうかしているのだ。
でも、それでも一緒にいられるのは、わたしがとあることを言ったから。
蓮くんは、わたしたちとムギ先輩の繋がりをまだ知らない。
でも、知ったら驚くだろうな。
ミソノンの二股していた先輩の彼女がムギ先輩なのだから。
そんな蓮くんと同じように、鍵を探しはじめたであろう健久先輩。
放課後、ムギ先輩が言った。
最近さ、健久がよくこっちをみてくるんだよねって。
うんうん、でしょうねぇ
健久先輩と別れたムギ先輩は、最近めっちゃ笑う。
まあ、もともとを知らないのだけれど、はじめてあったときよりも、よく笑うし、なんならわたしたちの助言がよかったのか、肌ツヤもよくなってきている。
笑うとかわいい笑顔の破壊力が強いムギ先輩は、よく告白をされているようだ。
しかし、だれともお付き合いをしていない。
なんなら、わたしたちとしょっちゅう一緒にいる。
昔からのお友達かな?
くらい仲良しだ。
ちょうど校門を出るところで、健久先輩がいた。
「ムギ、ちょっといいかな?」
健久先輩がムギ先輩に話があるようだ。
健久先輩は、せっかちおバカさんですね。
かわいそうに。
健久先輩は、まだ鍵を探しはじめたばかりなのに、無理やりこじあけようとする強引さん。
「わたしたち、すぐそこの公園にいますね」
「うん、ありがとう」
ムギ先輩は、健久先輩と話をするために、校舎裏のベンチへと向かっていった。
「なんだろうね?健久先輩…」
「たぶん復縁申し込むんだよ」
「え、なんでわかるの?」
「なんとなく。そして、あっさりフラれるよね」
「でもさ、かなりの執着してたから、もしかしたらってこともありえない?」
「ううん。それは、ないと思うな」
「なんで?」
「だって、健久先輩っておバカさんでしょ?てかさ、ミソノンは…もしかして、まだ健久先輩に未練あったりする?」
「え、未練…?」
「うん」
「未練かー。ない!てかさ…実は好きで付き合ったわけじゃなくて…」
…
「お待たせー」
「あ、先輩。健久先輩は、もう大丈夫なんですか?」
「うん、実はもう一度やりなおしたいって言ってくれたんだ。でも、ごめんなさいしてきた。」
…
ですよねー。
だって、健久先輩…おバカさんですものね。
ミソノンの続きの話を聞きたかったけど、さすがにムギ先輩の前では、話すことじゃないよね。
続く。




