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「ログイン!」
翌日、金曜日正午。私は『CMW』にログインした。
「さて……」
真っ黒な空間に白い足場だけが浮いているという状況でまず行われたのは本名の入力と脳波測定。これは本人確認とパスワードとして、今のフルダイヴ式VRゲームでは割と一般的な物である。と言う訳で、私は名前の欄に本名である神楽坂 淵輝と入力、脳波を測定させる。
「ようこそ、神楽坂様」
名前を入力すると、何処からともなく整った容姿のメイド服の女性が現れる。身長は高く胸はちょうどいい膨らみであり
ヒップは大きい。妙に聞かれるところがあるが、油断はしてはらないAIだと直感が伝わってくる。
「私、神楽坂様のアバター作成をサポートさせていただくAI、アルワッサと申します。この場のみでの付き合いとなるでしょうが、どうぞよろしくお願いします」
「えーと、よろしくお願いします」
AIの活用は最近のデータ量が膨大なMMOではよくあることだ。と言うか、人間の手作業で管理できるほど、世界は狭くない。
「丁寧な対応ありがとうございます。では、まずは神楽坂様がアチラで名乗られる名をお示し下さいませ」
「んー、エンキで」
「エンキ、でございますね。間違いはありませんか?」
「はい、間違いありません」
「禁止事項にも抵触していません。無事に了承されました。では、今後はエンキ様とお呼びさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「問題ありません」
捻りも何もないが、捻った名前を一々考えるのも億劫なので、これでいい。
「ありがとうございます。では続けて、エンキ様のアバター作成に移りたいと思います。本ゲームではシステムの仕様上、基礎の体は出来るだけ現実に近づける事をオススメ……早いですね」
「本番はこれからなので」
「なるほど」
鏡が出現し、現実の私を多少デフォルメした姿が現れる。
此処については身長や体の各部の大きさを弄っても碌な事にならないし、大して弄れもしないので、エンキの言葉を待たずに進めてしまう。
「では、エンキ様の言うところの本番、代償を支払って貰いましょうか」
「はい」
さて、ここからが『CMW』のアバター作成の本番である。
「ふーむ、そうですね。エンキ様もしよろしければ私から代償を選ばせてもらっても構いませんでしょうか?」
「うーん。本当はどのように決めるの?」
「決め方は3種あり マニュアル セミオートマ オートマ」
マニュアルは、自分自身が姿を変えたいように変える事だ。他のゲームでは、もしかしたら大丈夫かもしれないがこのゲームでは独自のシステムを使っているためあまりおすすめはされていない。セミオートマは、AIと相談しながら作れる体だ。オートマは運営が用意した体を使う。
「簡単に説明するとこうなりますね」
「それで私の場合だとオートマと変わらなそうだけど?」
「確かにそうと捉えられるますが、実は運営からサプライズとして何万に1人は祝福として、体を用意させて頂いております。神楽坂様はご当選しました」
「じゃあその特権を利用しようかな」
そう言うと目の前に誓約書と書いてある紙が現れそれを読むと。
・最悪キャラクターロストします
・1度限り変更は出来ません
・高難易度になります
悪く言えばゲームの進行が著しく悪くなる、よく言えば
他のプレイヤーとは雲泥の差で強くなれるだろうか。
現実と同じで150cmの身長でやや痩せ型だ。
現実と違うとすれば光を全て吸い尽くしてしまいそうなほど黒い髪に骨に覆われた片目と蛇のような黒の瞳そして、第三の眼のような金色の瞳。そして背中から生えた骨型の3対6枚の血のような深紅の液体が垂れている翼。腰には業物のような刀がぶら下がっていた。脚はなぜか肉と皮がなく骨で出来ていた。
「うん気に入ったよ。ありがとう。アルワッサ」
「光栄でございます。ではこれで決定でよろしいでしょうか?」
「うん」
「ではエンキ様。どうか心行くまで楽しむと共に……」
ボタンを押すと同時に鏡の外に居る私の身体も、鏡の中の私に合わせるように変化を始めていく。同時に、鏡も地面も周囲の暗闇も砕け散っていく。アルワッサが私に向けて一礼する。
「悍ましき世界にお怯え下さいませ」
そして、目の数が数倍に増えたアルワッサの顔を私が一瞬だけ見ると同時に私の意識は一度途切れ、『CMW』の世界に生まれ落ちた。
≪称号『堕落の天上の人』を獲得しました≫
「さぁどのような物語が見れるか見ようじゃないか!」
さあ、正常な者と狂った者の物語を始めよう。




