見間違い
時間を戻してとイフに言う希亜。はじめてもらった弁当をかばんにいれて小走りで学校に飛び出すも、学校に着くと授業が始まっていなかった。友達に話しかけられあせる希亜だった。
目を覚ましたベットの上。
「太陽こんなところまで来てるね。」
あ、ほんとだ。だからやけに明るいって感じた…って!?
「希亜、ほい。これみて。」
えーと、十一時八分か…って
「完全に遅刻だ!」
「そーだねー。」
なんてゆるゆるな…。自分の子が遅刻していいんだろうか…。何より僕がいえたことではないと思うけどね。
「いふ姉おこしてくれたっていいじゃんかー!」
「私そこまで声上げられないんだから。それにさすってもゆすっても効果無いみたいだし…。そんなこといわれてもー。」
日付変わってもおきてたのは悪いと思ってるけどさあ、でもがんばっておこしてよぉ…。
「今から急いでも時間は戻せないからね。」
「いふ姉ならできるっ!」
ぐっ!親指を立てた手をいふ姉に近づける。
「確かに紺色魔術書には時間の神様がイフというのは聞いたことがあるけど…。」
「ならなお更できるね!やったよ!」
あきれたようにため息と一つ。
「時間の神様であろうと時間を動かして良いとは限らないし、そもそも神様じゃないので!」
両手開いてベットに倒れこむ。またため息。
遅刻したくないもーん。
「とりあえず…、はい!これもってって。」
視界を防ぐように憧れてた物が。
「え?もしかして弁当?」
嫌だったかしら。と嫌々そうにいったいふ姉。
え、まぢで弁当なの!?
「全然嫌じゃない!」
「じゃあいってらっしゃいね。」
「うん!いってくる!!」
太陽の照り日下がり、アスファルトは触れれないようになってきている。
よーし、いっくぞー!
今日はやけに気分がいいからスキップでもしよっかなー!
跳ねるように学校に向かった。
太陽は昨日の方角にある。
校舎に着くや否や可笑しなことに気づいた。
「何でこの時間なのに校門空いてるのかな。」
不思議に思っただけだが、声に出てしまった。
それに二人程度まだきていない。いつも遅刻していない二人だ。
「どうしたのかな。僕とほとんど一緒のことしてたのかな。」
小声だけどなぜ声に出てしまったのかな。何でだろう。
とりあえず生徒玄関の靴箱から自分のスリッパを引っ張り出す。そして脱いだ靴を入れる。靴下が下がっているのに気づいてすぐさまあげる。そのまま教室に向かう。
「どうしたのかな…。わ…たし…。」
頭の中で始めて言う言葉を繰り返す。
遅れてすみません…。遅れてすみません…。と何度も何度も繰り返す。
ひたすらに繰り返して周りの音が聞こえてなかった。
「遅れて…。」
誰も聞こえることのない小声だった。教室の中はまだ騒がしく、休み時間かと疑った。
しかし時計は八時を指す。
「え…?」
小声ではあるがさっきより聞こえる。
「何、葉桜?どうかしたんか?」
急いで取り償う。
「なんでもないよー。ちょっと時計見間違えてたみたいで、昨日より遅れたって思って。」
「昨日より遅れたって…、全然昨日と一緒ぐらいだと思うけど!?」
「え…!?そっ…そうかな…?」
動揺する。
「まぁいっか。」
「そこまで気にしないで大丈夫だろ。」
「そうだよね。」
切り抜けた感じがすごい…。なんか疲れた。
一休み、ため息。
自分の席に座ってかばんを机に置いた。かばんが結構重かったので多少開放感はある。何より疲れたよ。
『朝の休み時間が終わります。自分の席につき、朝の読書の用意をしてください。』
放送が入った。放送委員の委員長だっけ。えーと、麻井さんだっけ?
騒がしかった教室がすっかり静かになった。みんなもう席についていた。急いでノートの束を引き出しにいれて、かばんのチャックを閉めた。小走りで自分のロッカーに入れる。ぐちゃぐちゃでなかなか入らない。とりあえず突っ込んで後にしよう。
また小走りで席にも戻る。後ろでかばんが落ちた気がするが気にせず本を引き出しから出す。でもなかなか本が見当たらない引き出しの中をのぞいてみても見当たらない。急いでロッカーのかばんの中をあさった。本を見つけて急いで席に戻った。
途中でチャイムがなって、すごくあせったけど先生はまだ来てなかったから安心した。椅子を前にひいて昨日しおりを挟んだところを開く。
読み始めて五分くらいでチャイムが鳴った。
え?と心の中で一瞬疑問に思ったが、すぐに納得した。
さっきのチャイムは予鈴だったのか、はぁ…、あせった。
そのまま次のチャイムが鳴るまで本を読み続けていた。
夕日が見える。