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追 章  2-  8/11 高校一年生・初夏 

         5


 利沙が家に帰ってから、すでに一週間が経過したにも関わらず、いまだ登校していなかった。

 三枝が同じクラスの生徒に確認しても、いつ登校してくるのかは、分からなかった。


 そう言っている間に、利沙が登校してきた。


 三枝達は、その日の昼休みに利沙を呼び出した。

 あまり人がいない場所を選んで、三人が揃うと、いきなり利沙に頭を下げた。


「「ごめん! 本当にごめん。俺達、まさか、あんな大きな事になるなんて思わなかったんだ。ごめん」」


「いいよ。別に、頭あげてよ。なんかこっちが悪い気がするから」

「あ、ごめん」


 利沙と顔を見合わせると、ちょっと、ほっとした表情を見せた。


「でも、なんで学校に来なかったんだ? 一週間以上になるだろ? 家に帰ってから」

「え? なんでいつ帰ったとか知ってるの?」


「あ、それな? それ、えっと、……」

「行ったんだ、あの日。友延が家に帰る日、警察に」


「あ、あの日? よく分かったね。私が帰れるって分かったの、前日だったのに」


「ちょうど学校に連絡が来た時、職員室にいて、先生達の話を聞いたんだ」

「学校で? そう、そうだったんだ。

 それで、今日は何、謝ってくれるだけだったの? 何か用があったんでしょう?」


「まあ、そうなんだけど。それが、その……」

 二人が言いよどむ中、二人の年長者が現れた。


「あ、先輩!」

 そこには、あの、パソコンの持ち主だった。


「そう、あの依頼をしてきた、三年生の棚元(たなもと)君と戸野(との)君か」


「なんで、知ってるんだよ。まさか、お前等話したんじゃ……」

「違うよ、二人は何も話してない。

 それに、あのパソコンを私に触らせたんだよ。隠せるとでも思ってるの?」


「なんだって?」


「パソコン、私が触ったんだよ。簡単に誰のかなんて、見れるでしょ?」

 利沙は明らかに挑発している。


 何か気がついたらしい。

「それで、私を呼び出したのは、三年生達ってことか。

 何の用なの? それとも、……警察に捕まっちゃった?」


「! な、……お前、まさか?」

 そこにいた四人が、一瞬で固まった。


「あれ? 当たったの? おかしいな。

 ねえ、三枝君井東君、あの伝言、ちゃんと伝えてくれた?」


 利沙が二人を見ると、二人は怯えたように、大きく頷きながら、

「「も、もちろん、伝えたよ。言われた通り、「ハッキングはしないように」って」」


「そう、じゃあ、なんで捕まっちゃったの?」

 今度は、棚元と戸野に向き合った。


「何? しちゃ悪いかよ。お前だってやったんだ。俺達がして何が悪い」


「開き直っちゃって。それで、捕まったんだ。ふうん」

「でも、なんでそんなこと知ってるんだ?」


 三枝が何気なく口にした。

 それには棚元が、


「こいつが、何かしてたのに決まってるだろ!」


「え? 友延が?」

「お前らバカか? 今までの話聞いてたのか? 

 どう見たって、こいつがやったに決まってんだろ」


 それを聞いていた戸野は、


「何したんだよ。なんで俺達が捕まるんだよ」

 利沙に詰め寄った。


「それは簡単。

 だって、あのパソコン、何回もハッキングしてたでしょ? 

 そのデーターをコピーして、しかも、今度ハッキングしたら、警察に通報するようにしておいたもん」


 利沙は、なんでもないように、「それがどうした」とでも言うように。

 簡単に言い捨てた。


 棚元と戸野は、自分達は「出来るハッカー」だと思っていた。

 だから下級生にハッカーがいると知って、「試してやろう」という、

 お遊び的な甘い考えでさせてみたところ、


 実は、自分達の上をいくと知って驚き、会う手配をさせていたのだ。


「何って、誰もしていいなんて言ってないだろ! 人の物に、よくそんなこと出来たな。

 しかも勝手に調べやがって! 通報だと!」


 戸野が、利沙の胸元を鷲掴みにした。体が大きい戸野に係ると、一瞬で利沙の体が宙に浮いた。


「う、く、……苦しい、って」

 利沙が本気で苦しがっているのを見て、


「それくらいにしとけ、戸野」


 それを合図に、利沙に自由が戻った。

 と、いっても、そのまま地面に崩れ落ちた。苦しそうに(むせ)ている。


 それを介抱するように、三枝と井東が駆け寄った。

「何するんですか?」

 井東が、戸野に言い寄った。


「い、いいよ。井東君、ありがとう」

 復活した利沙は、井東に礼を言うと、改めて棚元と戸野に、


「でも、とんでもないことを言ったのは、そっちだからね。

 こっちもただで引き受けたりしない。


 それに、自分のパソコンに何かされてるとも気づきもしない。お粗末もいいとこよ」


「なんだと!」


「こっちは、あんた達みたいな、たいしたことないハッカーのお遊びになんか、

 付き合ってられないって言ってんのよ。

 保険かけて何が悪いの。分かった?」


「勝手にそんなことして、しかも俺等を売ったんだぞ。それを……」

「ハッカーが仲間を売るのかよ」

 棚元と戸野は興奮している。


「誰が仲間? ハッカーがつるむなんて初めて聞いた! 

 一人では出来ないからって、人に頼むなんて。


 どうせ、私がしたログ(入力記録)をまねしてみる気だったんでしょう? 

 人を利用しようなんて、都合が良すぎると思わない?」


「な、なにを!」


 学校編は、あと一話です。もう少し、お付き合い下さい。

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