追 章 2- 8/11 高校一年生・初夏
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利沙が家に帰ってから、すでに一週間が経過したにも関わらず、いまだ登校していなかった。
三枝が同じクラスの生徒に確認しても、いつ登校してくるのかは、分からなかった。
そう言っている間に、利沙が登校してきた。
三枝達は、その日の昼休みに利沙を呼び出した。
あまり人がいない場所を選んで、三人が揃うと、いきなり利沙に頭を下げた。
「「ごめん! 本当にごめん。俺達、まさか、あんな大きな事になるなんて思わなかったんだ。ごめん」」
「いいよ。別に、頭あげてよ。なんかこっちが悪い気がするから」
「あ、ごめん」
利沙と顔を見合わせると、ちょっと、ほっとした表情を見せた。
「でも、なんで学校に来なかったんだ? 一週間以上になるだろ? 家に帰ってから」
「え? なんでいつ帰ったとか知ってるの?」
「あ、それな? それ、えっと、……」
「行ったんだ、あの日。友延が家に帰る日、警察に」
「あ、あの日? よく分かったね。私が帰れるって分かったの、前日だったのに」
「ちょうど学校に連絡が来た時、職員室にいて、先生達の話を聞いたんだ」
「学校で? そう、そうだったんだ。
それで、今日は何、謝ってくれるだけだったの? 何か用があったんでしょう?」
「まあ、そうなんだけど。それが、その……」
二人が言いよどむ中、二人の年長者が現れた。
「あ、先輩!」
そこには、あの、パソコンの持ち主だった。
「そう、あの依頼をしてきた、三年生の棚元君と戸野君か」
「なんで、知ってるんだよ。まさか、お前等話したんじゃ……」
「違うよ、二人は何も話してない。
それに、あのパソコンを私に触らせたんだよ。隠せるとでも思ってるの?」
「なんだって?」
「パソコン、私が触ったんだよ。簡単に誰のかなんて、見れるでしょ?」
利沙は明らかに挑発している。
何か気がついたらしい。
「それで、私を呼び出したのは、三年生達ってことか。
何の用なの? それとも、……警察に捕まっちゃった?」
「! な、……お前、まさか?」
そこにいた四人が、一瞬で固まった。
「あれ? 当たったの? おかしいな。
ねえ、三枝君井東君、あの伝言、ちゃんと伝えてくれた?」
利沙が二人を見ると、二人は怯えたように、大きく頷きながら、
「「も、もちろん、伝えたよ。言われた通り、「ハッキングはしないように」って」」
「そう、じゃあ、なんで捕まっちゃったの?」
今度は、棚元と戸野に向き合った。
「何? しちゃ悪いかよ。お前だってやったんだ。俺達がして何が悪い」
「開き直っちゃって。それで、捕まったんだ。ふうん」
「でも、なんでそんなこと知ってるんだ?」
三枝が何気なく口にした。
それには棚元が、
「こいつが、何かしてたのに決まってるだろ!」
「え? 友延が?」
「お前らバカか? 今までの話聞いてたのか?
どう見たって、こいつがやったに決まってんだろ」
それを聞いていた戸野は、
「何したんだよ。なんで俺達が捕まるんだよ」
利沙に詰め寄った。
「それは簡単。
だって、あのパソコン、何回もハッキングしてたでしょ?
そのデーターをコピーして、しかも、今度ハッキングしたら、警察に通報するようにしておいたもん」
利沙は、なんでもないように、「それがどうした」とでも言うように。
簡単に言い捨てた。
棚元と戸野は、自分達は「出来るハッカー」だと思っていた。
だから下級生にハッカーがいると知って、「試してやろう」という、
お遊び的な甘い考えでさせてみたところ、
実は、自分達の上をいくと知って驚き、会う手配をさせていたのだ。
「何って、誰もしていいなんて言ってないだろ! 人の物に、よくそんなこと出来たな。
しかも勝手に調べやがって! 通報だと!」
戸野が、利沙の胸元を鷲掴みにした。体が大きい戸野に係ると、一瞬で利沙の体が宙に浮いた。
「う、く、……苦しい、って」
利沙が本気で苦しがっているのを見て、
「それくらいにしとけ、戸野」
それを合図に、利沙に自由が戻った。
と、いっても、そのまま地面に崩れ落ちた。苦しそうに咽ている。
それを介抱するように、三枝と井東が駆け寄った。
「何するんですか?」
井東が、戸野に言い寄った。
「い、いいよ。井東君、ありがとう」
復活した利沙は、井東に礼を言うと、改めて棚元と戸野に、
「でも、とんでもないことを言ったのは、そっちだからね。
こっちもただで引き受けたりしない。
それに、自分のパソコンに何かされてるとも気づきもしない。お粗末もいいとこよ」
「なんだと!」
「こっちは、あんた達みたいな、たいしたことないハッカーのお遊びになんか、
付き合ってられないって言ってんのよ。
保険かけて何が悪いの。分かった?」
「勝手にそんなことして、しかも俺等を売ったんだぞ。それを……」
「ハッカーが仲間を売るのかよ」
棚元と戸野は興奮している。
「誰が仲間? ハッカーがつるむなんて初めて聞いた!
一人では出来ないからって、人に頼むなんて。
どうせ、私がしたログ(入力記録)をまねしてみる気だったんでしょう?
人を利用しようなんて、都合が良すぎると思わない?」
「な、なにを!」
学校編は、あと一話です。もう少し、お付き合い下さい。




