追 章 2- 7/11 高校一年生・初夏
利沙の父親が登場します。
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翌日、学校では、様々な形で噂がされていた。
一つには、全くのデマもあったが、それ以外はどこかに事実が含まれていた。
ただ一つ、全てに共通していたのは、利沙が関わっているという内容だった。
どこから漏れたのか?
それは簡単だ。
三枝と井東に利沙に作業させるように言いつけた、先輩の方々だった。
それというもの、あの時結局パソコンは一時押収されていた。
その腹いせでもあった。
翌日には返されたものの、どこか納得がいかなかった。
その場にいなかったのに、事情を聴かれたことも関係している。
「俺達は、何も強制なんてしてないよ」
そう言っただけだった。
しかし、後輩達には、させなかったら、ひどい目にでも合わされるのではないか、
という恐怖から、利沙に対して強く出たのだが、本人達が認めるはずもなかった。
しかし、これについて、教師達からひどく説教されたため、
しばらくは大人しくしておくしかないのも、納得できるものではなかった。
上級生二人と三枝、井東に関しては、登校は許されたが、しばらくの間、部活動を禁止された。
それくらいで、特に何もなかった。
では、利沙は?
公園から車で警察署に連行された後、事情を聞かれた。
そこで、利沙が事実を認めたので、その事実を確認するため、
押収されたパソコンとメモリーを解析された。
パソコンについては、それ程の時間は要さなかったにもかかわらず、
メモリーには、なかなか手こずった。
が、なんとか解析すると、見事な内容を見つけた。
「へえ、出来たんだ。まあ、大した鍵はかけてなかったから。でも、……さすがですね」
「何を言うか! 大人を馬鹿にするんじゃない。
自分の立場を分かっているのか? いい加減にしろ!」
「……それで、私はどうなるの? あれ(メモリー)見たなら、それと交換。で、どお?」
「交換条件か?」
「まあ、そんなとこ。
でも、もう、絶対しない。これからは手を出さないから。帰してほしい。
これ以上、家族に迷惑かけたくないの。
それに、今回は自分で始めたんじゃない。
それに、もうこんな思いしたくないから、絶対手は出さないから」
「判断は、私達がするものじゃない。しっかりと、自分のしたことを認めるんだな?」
「そんな……。本当にしたくてしたんじゃないよ。
気がついたら、こんなことになってたの」
利沙は、明らかに処分を免れようとしていた。
そのために、さっきから同じことを主張していた。
「自分からは、何もしていない。やらされただけだ」
と。
数日後、判断が下された。
今回に限り、事情が特殊なので、いったん帰宅していいと。
そして、それが学校に知らされ、ちょうどその時、職員室にいた三枝と井東の耳に入って来た。
いつ、という内容まで。
そして、利沙が釈放されるその日、三枝と井東は利沙のいる警察署に来ていた。
気になって仕方なかったのと、何より、早く謝りたかったからだ。
警察署に来ていたのは、二人だけではなかった。
利沙の父親である、駿也も来ていた。
利沙を引き取るために。
しかし、警察署に入ると、三枝と井東には、大声で警察官に訴えている駿也がいた。
「……もう結構です! 利沙はそちらで預かって下さい。
もう私達に、利沙を見張れません。
あの子は、……利沙は、私達家族を騙してばかりいる。
今まで散々付き合ってきた。
でも、もう限界です。
そちらは、随分前から、あの子の技術を買ってくれてるんでしょう?
だったら、もう……、そちらでお願いします」
かなり興奮しながら、頭を下げて訴えていた。
スーツを着こなし、明らかに紳士に見えるのに、かなり取り乱している。
それだけ本気。と、いうことだろう。
三枝と井東は、改めて、とんでもない事をしてしまったと思い知った。
いたたまれなくなり、気がつくと、警察署を飛び出していた。
その様子を見ていたのは、三枝達だけではなかった。
利沙だ。
利沙も、迎えが来るというので、部屋を移動していた。
そこに、駿也の必死の声が聞こえてきた。
自分を拒絶する、その声を。
それを聞いた利沙は、表情がなかった。
ただ、涙が頬を伝った。
「分かったか? お前は、自分が考える以上に、いろんな人に迷惑をかけている。
特にお父さんや家族にだ。
それを自覚するには……、いい時だったかもしれないな?
でも、もう最後だ。
これ以上はない。いいな。今だけだ。二度と言い訳は聞かない。
もう、これが最後だ。
……ただ、このままじゃ、今回でさえ帰れるかどうか?」
そう言うと、市塙は部屋を出た。
「お父さん。利沙さんは、十分反省しています。だから、今回はお連れになって下さい。
大丈夫、もうこんなことはないですよ」
「そんなこと言って、他人事だとお思いでしょう?
もう限界だったんです。もう、私達に、あの子の面倒は見られない。
私達自身が、あの子を、利沙を信じられないんです。
自分の娘です。信じたい。
でも、信じられないんです。信じたいのに……!
娘なのに。
……どうしたらいいんですか? 私達が信じようとしても、こうして、また裏切られる。
どうせまた、同じことの繰り返しだ。もういい、もういいんです!」
体裁も何も考えず、ただひたすら、あの父が、自分のために頭を下げる。
涙を流している。
その光景は、利沙には衝撃だった。
その事実に、利沙の流す涙は止まらなかった。
「お父さん。頭を上げて。さあ……、ほら、娘さんも見ていますよ。
もう、十分反省しています。
裏切られても、また信じてやって下さい。
娘さんには、お父さんやお母さんが必要なんですよ。
大丈夫、お父さんの気持ちは、十分、伝わっていますから」
「利沙が?」
「ええ、そこに」
利沙の姿を見つけると、足早に近づいて行った。
「お父さん、ごめ……」
言い終わらないうちに、駿也の平手が、利沙の頬に勢いよく舞った。
「……いい加減にしてくれ。もう、お前と暮らせる自信がない。もう、……」
言葉にならない俊也に、利沙は、
「ごめんなさい。でも、私、したくてしたんじゃない。させられたの。本当に……」
「もう聞きたくない。言い訳はもういい。こんな繰り返しは、もう、たくさんだ!」
俊也は、もう、利沙の方を見ていなかった。
そのまま立ち去ろうとする駿也を、慌てて警官が引き留めた。
「お父さん! 待って下さい。もう少し、話しましょう。一緒に!」
その後、何とか説得して、利沙は家に帰る事が出来た。
ただ、その後一度も娘の方を見なかった。
その様子を見ていた警察官は、
「これから、厳重に監視しろ! あの状態なら、近いうちに何かしでかすかもしれない」
そう指示していた。
利沙が、近いうちに何か起こすのではないかと、そう思わせる光景だった。
初めて家族がどんな関係か、うっすらと見えてきた感じでしょうか。
ここで、一旦家族からは離れます。
次回からは、また、学校内になります。




