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異世界転生して、猫耳少女にビキニアーマーを!  作者: ノベル・スタッカート
第一章

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魔貨

箱から体を抜いたキャットは自分の身体についた汚れを払った。


「全く、ひどい目にあったにゃ……」


「君の自業自得じゃないかな?」


相も変わらず薄暗くて、大通りの喧騒が嘘のように静かな路地裏で、聞こえてくるのは微かな声と、偶に少しの足音と――


まあ、路地裏と言っても街中だからそりゃ誰かいる


……かな。


「それで、何にゃ?」


そう言われ、僕はキャットに振り返った。


「……ん?あ、いやさ。コレ」


そう言ってさっきキャットに見せようとした銀色のコインを見せた。


「……ん~?にゃにゃっ!それはっ!」


そう言ってキャットは目を輝かせた。


「魔貨にゃっ!これどこにあったにゃ!?」


「へ?何、そんな驚いて?」


いきなりググッと鼻先まで顔を近づけてきたキャットに僕は尋ねた。


「そりゃ驚くにゃっ!魔貨ってのは、凄いレアにゃ!ダンジョンのボス魔物がたまに落とす……百回戦って一回落とせばいいくらいの確率にゃ!」


「へぇ……」


「魔貨の価格は、魔貨に込められた魔力によって違いがあるにゃ……が、少なくとも、買い取りしてもらえれば、金貨数枚は貰えるはずにゃ」


「そうなんだ?」


そう言って銀色のコインを僕は見る。

魔力がこもってる……らしいが、見た目は普通の古いコインだ。


現代社会でも昔の国の貨幣が、現代でお値打ち品として取引されたりとかはしてたが……


「……これがねぇ。コレクターがいるとか?」


「コレクターより、冒険者の需要にゃ。にゃんたって、魔貨は飲み込めば簡単にスキルを手に入れられるにゃ……って言っても、どんなスキルかはランダムけどにゃ」


「ふーん……飲めば……飲む?」


僕はキャットを二度見した。


「飲むって……ふぉう?」


「装にゃ、口に含んでごっくんって……」


「ごくん」


「そうそう……」


そう言ってキャットは「うんうん」と……


「にゃああああ!?お前何飲んでるにゃ!?ぺっしろにゃぺっ!」


「え?もう飲んだ後だよ?あーん」


「早いにゃっ!何飲んでるにゃぁア……にゃあぁ」


……うーん、スキルが手に入るって話だけど。


そう思いながら手を振ったり、足を振ったりしてみるが……


身体的に何か変わった感じもないし、脳内にアナウンスが流れる訳でもない。


と思ったら。


≪スキル≪軽業Lv.1≫を獲得しました。


というアナウンスが流れた。


「時間差?」


こういうのってリアルタイムで……もしかして、消化時間?とかなのかな?

にしては早い気もするけど……ま、いっか。


「それにしても、軽業ねぇ……」


軽業っていえば、結構異世界物の主人公が持ってる必須能力的なあれだよね。

走ったり跳んだり……


今のところ実感はないかな?

ちょっと走ったりしてみれば分かるかもしれないけど。


……ん?


「なに落ち込んでるのさ?」


僕はそういえばと、さっきから地面に倒れているキャットにそう言った。


「お前が、お前が魔貨飲んだせいでお金、お金がにゃぁ……」


ああ、そういう。


「まだ何枚かあるから、問題ないよ?」


「へ?そうなのにゃ?」


「ほら」


そう言って僕はジャラっと、六枚のコインを見せた。


「……なぁんでそんなに持ってるにゃ?」


「さあ?強いて言えば……運が、良かったんじゃないかな?」


「そういう物にゃ?」


「そういう物としか言えないんじゃない?」


ジト目になったキャットに僕は手を差し伸べる。


「さ、そんなところで座ってないで、さっさとコレ売りに行こうよ……野宿は嫌なんでしょ?」


「にゃ、それは……まあ……」


そう言ってキャットは僕の手を使わず立ち上がった。

ありゃりゃ?


「さ、さっさと売りに行くにゃ……一枚だけ」


「一枚だけでいいの?」


「せっかくにゃ、他は私たちで使うにゃ」


「そう……あ、これどこで売るの?」


「うーん、今回は早くお金が欲しいにゃから……冒険者ギルドに売るにゃ。あ、お前に立てにゃ」


そんな話をしながら、僕とキャットはさっき路地裏に入った道を引き返す。


「……にしても本当、どこで手に入れたにゃ?そんなにたくさん」


「え?ほら、地下のスライム倒したときに……宝箱の中に入ってたよ」


「あーそれにゃ……」


僕がそう答えるとキャットは立ち止まった。


「ん?どうしたのさ?いきなり立ち止まって」


そんなキャットに僕が振り返って尋ねると……


「それ、にゃーの物じゃにゃいか!???」


あーそういえば、倒した魔物の宝箱から出た物って倒した冒険者に所有権があるんだっけ?


「ま、眷族の物は僕の物だからさ」


僕はそう笑顔で返したのだった。



◆◆◆



白髪のビキニアーマーを着た猫耳少女が、桃色髪の少女のような少年に文句を言う。

そんな情景を、彼らの後に入った一人の男は……


「……ちょっと、ここはまだ大通りに近いか」


と、釣り竿片手に……


鋭く光る小さな針を揺らして眼鏡越しに呟くのだった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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