私を追放した大臣、国王からめちゃくちゃ怒られる
その日の夕方。エメラルド王国、異世界人の召喚を行った城。謁見の間でガリエーは国王に報告をしていた。
貫禄ある中年の国王が、ガリエーの報告に耳を傾けている。
「なるほど、ガリエーよ。貴様は優秀な戦力を持つ異世界人を役立たずと追放し、敵に回したということだな?」
「……はい、敵に回してしまいました」
「しかも、連れていったBランク能力者の二階堂が敗北したと?」
「はい、敗北しました」
「そして我が国が所有するアーティファクトまで破壊されたと」
「はい、破壊されてしまいました」
ガリエーは地面に頭をこすりつけている。背中には冷や汗がダラダラと流れていた。
「しかも、追放した異世界人にみぐるみを剥がされて下着姿で帰ってきたと」
「……! はい、下着姿で戻ってまいりました」
ガリエーの顔が恥ずかしさで真っ赤になる。
「そして異世界人を追放した理由が、”能力がFランクだったから”だったと?」
「はい、能力のランクに気を取られ、実力を見誤っておりました」
そこで王は大きくため息をつく。
「お前は優秀だと思っていたが……残念だ。ところでお主、ペットなどは飼っておるか?」
「へ? ペットですか……? 飼っておりません」
「そうか。余は最近ペットを飼い始めてな。ペスと名づけたのだがこれがもう、とてもとても可愛くて」
「は、はぁ……」
突然世間話を始めた王にガリエーは困惑していた。
「だがな、この年では中々世話をするのが大変でな。そこで人を雇って世話をさせておる。ガリエー、お主も余のペットの世話係となって、歯磨きをさせてみぬか? ちなみにペスは体長5メートルのワニだ」
「ワ、ワニの歯磨きですか!?」
「左様だ。可愛いワシのペスと触れ合える楽しい仕事だと思うのだがな。これまで10人にこの仕事をやらせたがそのうち9人は服も残さずどこかへ消えてしまった。しかもその後ペスはしばらく餌を欲しがらない。何故だろうなあ? 不思議だなあ、ガリエーよ?」
「え、ええ。何故でしょうなあ皆さんどこへ消えたのか不思議で仕方ありませんなぁほっほっほっほ。ととととところでわたくしめはそそそそのワニアレルギーですので! そのお仕事は遠慮させていただきたく……!!」
「はっはっは。ガリエー。お主、ピンチになるとしょうもない嘘で切り抜けようとするのは悪い癖じゃぞ。……ペットの世話係になりたくなければ、何をすべきかわかるな?」
「はい、あのFラン……【剛腕武神】を持つ女異世界人を今度こそ倒し、我が国の誇りと、奪われた二階堂の鎧を取り戻して参ります!」
国王は満足げに頷く。
「して、その女異世界人の居所は掴めておるのか?」
「もちろんでございます。クオーツ王国に潜入させているスパイから情報は仕入れております」
「よかろう。直ちに向かうがいい」
「承知いたしました!」
膝をガックガック震えさせながら、ガリエーはAランク能力の異世界人を引き連れて出発した。
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