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国民にめちゃくちゃ応援されて旅道具をどっさり貰う

「モミジ様、ききき記念に握手してください!」

 

 二階堂を撃退した後、モミジは群衆に囲まれて握手やサインを求められていた。


(こんなに人に囲まれるの初めてだ、やばい緊張する……!)


 という内心を隠しつつ、モミジは笑顔で応じる。


 人が少なくなってきたのは、30分ほどしてからだった。


「ふぅー、疲れた! お腹もすいちゃった。コロンちゃん、ちょっと早いけどどっかその辺でお昼でも……」


「良ければ、このクッキーを召し上がってください。今度うちのギルドで扱うクッキーの試作品です」


 と、中年男性がモミジに差し入れてくる。


「ありがとう! お、これは焼き立てですな? サクサクです」


「味はいかがでしょう?」


 伺うように男がモミジの顔をのぞき込んでくる。


「甘すぎず丁度いい加減だと思います」


「つまり、”美味しい”、と?」


 男がじりじりと詰め寄ってくる。


「ええまぁ、美味しいと思いますよ?」


「よぉし! ”美味しい”との言葉頂きました! ”モミジ様も大絶賛”の売り文句で、新商品【モミジクッキー】を量産体制に移せ! モミジ様の似顔絵も付けろ! 今なら飛ぶように売れるぞ!」


「「了解!!」」


 いつの間にか後ろで様子をうかがっていた菓子職人たちを引き連れて、男は菓子工房へと駆け込んでいく。


「ねぇ、コロンちゃん。もしかして私、商売のダシにされそうになってる?」


「されそうになっていますね」


「……自分の似顔絵がついた商品が売られるってなんか恥ずいな」


 モミジが複雑そうな表情になる。


「ちなみに、第三王女としては国の経済が活発化するので、どのような形でも物が売れるようになるのはありがたいことですよ」


 コロンが嬉しそうにしているので、モミジはクッキーの売り出しについては大目に見ることにした。


「よぉ、ずいぶんでけぇ面してるじゃねえか、異世界人のガキ」


 大柄でガラの悪そうな男が1人、モミジの前に現れる。


「俺は今来たばっかりでな。さっきのお前の戦いを見てねぇんだわ。お前みたいなほっそいガキが、Bランク異世界人を倒したって本当かよ?」


 男は横柄な態度でモミジを見下ろす。


「ほんとだよー? 何なら今から試してみる?」


「おお、見せてもらおうじゃねぇか。もし本当にお前が本当に強いなら、この盾を殴ってへこませるぐらい、楽勝だよなぁ?」


 といって、男は背負っていた鋼鉄の盾を地面に立てる。


「この盾を殴ればいいんだね? いくよ!」


 ガァン!


 広場にいた全員が目で追えないほどの速度でモミジが盾を殴る。


 盾の中央には、指一本一本がくっきり見えるほどの跡がついた。


「どう、これで分かった? 私がBランク異世界人よりも強――」


「やったー! 拳の跡つけて貰っちゃったぜー!」


「へ?」


 大柄な男が、急に態度を変えて満面の笑みで盾を抱える。そのまま仲間の方へ駆けいった。


「おいおいおいおい見ろよコレ。こんなに見事に拳の跡を付けてもらったぜ! 俺ぁこれを一生大事にする!」


「親方、跡を付けて欲しいなら素直にそう言えばいいじゃないスか。なんであんな喧嘩を売るような言い方したんスか」


「だってよぉ、あんな可愛い女の子に面と向かってお願い事なんてよぉ、恥ずかしくって出来ねぇよ。それでつい……」


 親方がちらっとモミジの方をみる。モミジのと目が合った瞬間、恥ずかしそうに盾を抱えてどこかへ走っていってしまった。


「すいません、ウチの親方が喧嘩を売るような言い方をしてしまって。あの人、もうモミジ様の大ファンなんスよ。それで自分が作った盾に拳の跡を付けてもらいたいなんて言い出しちゃって……」


 モミジとコロンは呆れた顔をしていた。


「あとこれ、親方からの贈り物っス!」


 そういって男がモミジの手を取って、何かを握らせる。


「親方が作った、手を保護する防具”籠手”っス。素手で殴ると痛いでしょうし、戦闘で使ってくださいっス。親方、腕はいいんで品質は保証するっス! では自分はこれで!」


 いうだけ言って、親方の弟子が離れる。


「親方ー! 籠手はちゃんと渡したっスー! あとどさくさに紛れて手に触っちゃいましたー! えっへっへっへ」


 親方の弟子も親方を追いかけて行ってしまった。


「……あー! 思い出しました! 今の2人、さっきモミジ様が戦ってるとき一番前で一番大きな声で応援してました。今来たなんて嘘っぱちですよ!」 


「二人そろって私のファンなんかーい」


 モミジに、今度は中年の女性がリュックサックを差し出してくる。


「アタシの店からは、店で一番高いこの魔法のリュックサックをタダで提供するわ。魔法の術式が編み込まれていて、見た目の100倍の容量があるのよ。ちなみに店での販売価格は80万ゴールドよ」


(コロンちゃん、1ゴールドの価値っていくらぐらい?)


 モミジがコロンにひそひそと耳打ちする。


(そうですねぇ、お昼ご飯を外で食べたら1000ゴールド弱、くらいの感覚でしょうか)


「うーん、大体1ゴールド1円くらいかな? ……ってことは80万円!? そんな高いカバン、貰っちゃっていいんですか!?」


「もちろんだとも。ここに店のロゴを貼っておいたから、モミジ様に使ってもらえば店の宣伝になるし。何よりモミジ様に使って貰えるなら職人冥利に尽きるってものさ」


「スポーツ選手がスポンサー企業のロゴをユニフォームに貼る、みたいなものかな?」 


 確かにリュックサックの一番目立つところには、店のロゴが貼ってある。


「あ、抜け駆けはずるいぞ! うちの店のテントも持って行ってくれ! で、ロゴを貼らせてくれ!」


「ウチの保存食も美味いぞ!」


 店を持つ職人たちが詰め寄ってきて、あっという間にモミジの旅支度一式がそろう。大量の旅の装備が、魔法のカバンに全て収まった。


 そしてリュックサックには各店のロゴがびっしりと並ぶことになった。


(こんなに一杯ロゴを貼ったらどうなるんだろう……って心配してたけど、ストリート感があってオシャレじゃん。いいね、気に入った!)


 満足そうな顔でモミジはリュックサックを背負う。


 こうして支度を整えたモミジとコロンは、他の異世界人を倒す旅に出るのだった。


お読みいただきありがとうございます!


【読者の皆様へのお願い】


少しでも面白いと思って頂けたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!


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ポイントを頂けるとやる気がモリモリ湧いてくるのです・・・!


これからも面白い物語を提供していきたいと思います、よろしくお願い致します!

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