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獣人に物理ゴリ押しで圧縮する

 ――それは、一瞬のことだった。


 十歩以上間合いが開いていたはずのシャウラが、間合いを詰めてモミジに斬りかかっていた。


 モミジが咄嗟に盾を構えて、振り下ろされる刀を防ぐ。


 モミジが盾で殴って反撃するが、その時にはシャウラは既にモミジの間合いの外に逃げていた。


 一瞬で繰り広げられた攻防。あまりの速さに、コロンには森の落ち葉が宙に舞ったことと甲高い金属音が響いたことしか認識出来なかった。


 シャウラが更に猛攻を仕掛ける。凄まじい速度でモミジの側面に背後に回り込み、鋭い斬撃を繰り出す。


「クレハの盾、形態変化」


 盾がモミジの全身を覆う鎧に変形し、背後からの斬撃を弾き返す。


「ほう、変形する盾とな。それがモミジ殿の能力か」


「いや、これは貰ったアーティファクトだよ。私の能力はこれ、単純なパワーと技!」


 モミジが振り向きながら繰り出す手刀を、シャウラが下がってかわし、木が生えているエリアに逃げ込む。


 そして身軽な動きで木に登り、次々と他の木に飛び移っていく。


(パワーと技は私の方が圧倒的に上。でも、スピードはシャウラちゃんの方が速い。このままじゃこっちの攻撃が当たらないし。うーむ、どうしたものか)


 モミジが考えていると、突如矢が飛んできた。モミジが腕の部分の鎧で弾く。


「村一番の弓取と呼ばれた私の矢をそうもあっさり弾くか、流石だなモミジ殿!」


 木の間を飛び回りながら、シャウラが次々と矢を放つ。そのすべてをモミジが防いだ。


「そうだ、良いこと考えた。今度はこっちから行くよ!」


 モミジが木の生えたエリアに突撃する。


「危険です、モミジ様! 木に囲まれたエリアではシャウラさんの方が有利です!」


「左様! 森の中は我らが独壇場! 例え異世界人でも防ぎきれまい!」


 シャウラが立体的に飛び回り、攻撃を仕掛ける。鎧の隙間を狙う刀による斬撃。それが防がれると下がり、木々を飛び回りながら弓を放つ。


 そして死角に回り込み、再び刀による斬撃。


 モミジは絶え間なく繰り出される攻撃を防ぐ一方だった。だが、決して押されている訳ではない。モミジは反撃のための一瞬のチャンスを狙っていた。


 そして、その瞬間は訪れた。


 シャウラが木から木へ飛び移る、その寸前。モミジが手刀でシャウラのいる木を両断する。


「なんだと!?」


 足場を失ったシャウラが体勢を崩して落下する。モミジがその体を両腕で抱えた。


「よし、捕まえた!」


「なんのこれしき!」


 シャウラが拘束から逃げ出そうと全身に力を込める。そしてその瞬間、それがどれだけ無謀な事であるか理解した。


 渾身の力をふり絞ってもびくともしない、圧倒的なパワーの差。今モミジは全力を出すどころか自分の身体を潰してしまわないよう手加減しているのだろうという事をシャウラは理解した。


「……お見事。私の負けです!」


 諦めた様な、それでいて清々しい笑みを浮かべてシャウラ宣言した。

 モミジはそっとシャウラを地面に降ろす。


「木を両断するほどの技の冴えと、猛牛以上の怪力。お見事でした。これでは村の戦士たちが歯が立たないはずです」


「いや、だから人違いだってば」


「なるほど。確かに、人違いのようですね。村の戦士は全員大怪我を負っていましたが、モミジ殿は私が怪我をしないよう手加減して下さいましたから。この度はとんだご無礼を」


 シャウラが地面に手をついて頭を下げる。


「いいよいいよ、分かってくれたなら」


 モミジは軽く笑って流す。


「許していただけるのですか。なんと懐が広い。ではこれで、思い残すことなく私もこの世を去れるというもの」


 シャウラが軽鎧を脱ぎ、その場で正座する。そして懐から短刀を取り出し、腹に当てる。


「え、シャウラちゃんなにしようとしてるの……?」


「当然。切腹を致します」


お読みいただきありがとうございます!


【読者の皆様へのお願い】


少しでも面白いと思って頂けたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!


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これからも面白い物語を提供していきたいと思います、よろしくお願い致します!

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