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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ始動編
15/117

陰キャ立志

ギルドから家に帰った三人は。

「ゴブリン討伐なのにこんなに報酬貰っていいんでしょうかね……三百万メコって……」


「魔族を討伐した分も入っているわよ、それ」

「え……でもその魔族の死体ってすぐに消滅しちゃいましたよね? 討伐した事をどう証明したんですか?」


「私の鎧の壊れ方で十分な証明になるわ。あと私もそれなりにギルドに信用されているし」

「なるほど……」


エルドレットがギルドに魔族が出没したという報告した時、ギルドは騒然としたらしい。


そしてその報告を受けた冒険者ギルドは魔族がこの辺りにまで出没しているという事実から、厳戒態勢で街や周辺を冒険者に見回らせるとのこと。


因みに三百万メコ=三百万円なので、指名手配犯の懸賞金並みの報酬と言えるだろう。


「俺はその現場を見ていないので何とも言えませんが……大変だったでしょう」


「ええ。何回も同じ事を聞かれて大変だったわ」

影虎はギルドの聞き込みが日本の警察みたいだなと思った。


しかしそんな状況でもギルド出禁なミコモは何なのだろうとも影虎は思った。


(そのせいで俺までギルドの報酬受け取る所見れなかったし。ちくしょうちょっと見たかったな……)


影虎もエルドレットに「ミコモちゃんの身に何かあったら心配だから」と言われ、ミコモと共にギルドの外にいる事になったのだ。


まあ無理もないが。

「さて報酬もいっぱい貰えた事だし、今日はごちそうにしましょう! ちょっとお買い物に行ってくるわね!」

「「やったぜ!」」


二人が狂喜乱舞した事は言うまでも無かった。

「買ってきたわよ~」

「何を買って来たの?」

「大トカゲのお肉よ~」

「やった~」

「!?」


影虎はトカゲの大きさに驚いた。

あのコモドドラゴンを連想させる大きさである。


影虎は食えるのかこれ……と半信半疑だったが、ミコモの喜び様と、エルドレットがそのトカゲをてきぱきと捌いているのを見て、だんだんと美味しそうに見えて来た。


内臓などはもう買ってきた時点で取り除かれている上に血抜きもされているようで、捌いている最中に血や内臓が出て以外にも台所がグロテスクな光景になったりはしなかった。


そうして……

「できたわよ~」

「おいしそう……いただきます」

「……いただきます」


トカゲ料理が出来た。

ラインナップは現地野菜をふんだんに使ったトカゲのスープ、質の良い小麦を使用したパン、そして新鮮なトカゲのステーキである。


影虎は美味そうだけどこれトカゲなんだよな……と少し食べる気が沸かなかったが思い切ってステーキを一口頬張った。


「お!?」

味は予想にさっぱりしており、程よい旨みの肉汁が染み出てきた。


これは美味いぞとスープの方も飲んでみる。

トカゲの旨みを野菜が美味く引き立てておりこちらも美味だった。


そしてスプーンが止まらないなか、ふと思い出した事があった。

「あの~エルさん、実は俺ちょっと頼み事がありまして」

「あら何?」

「俺に剣術とか教えてくれませんか」


「ふふふ、もとよりそのつもりだったし、もちろんいいわよ。ゴブリンとの戦いでのカゲトラちゃんの剣捌きはちょっと失礼だけど見ていられなかったわ……基本から教えるわね。今日は流石にやらないけど」


「是非お願いします」

「おいカゲトラ、お前剣術だけじゃなく霊術もやらない?何なら教えてあげなくも無いわよ~」


「えっまじで、お前も教えてくれんの?ありがとう」

「えっ……あっ……そう……じゃあ明日からね」


ミコモはどうせ憎まれ口でも叩くのだろうと思っていたため、影虎が素直な事に少し驚いた。


かくして影虎は窮地を脱し。

明日から修行に励む事になった。

しかしここからが本当の恐怖への幕開けであった……

「国王様……国民に勇者召喚が失敗してしまった事を公表しなくてもよろしいのですか?」


「せんで良いと言ったであろう」

「いや……しかし……」


「構わぬ。公表なぞしようものなら国が荒れる。その上民の不安を余計に煽る事になってしまうわ」


「本当にそれでよろしいのですか!? もし隠蔽している事が民衆に知れ渡ってしまったら…」


「もうどうしようも無い。どの道魔族が攻めてきたら我が国は終わる……」

「………」


メコル国王は部下が黙ったのを見て思わずため息をついた。

勇者召喚に失敗し、他の解決策も見つからない。


そんな状況で出来る事など何も無かった。

だがそんな時。


「国王様! あの神殿を警備していた兵から報告がございます!」

「何じゃ?そんなにも慌てて」


「それが……奇妙な話なのです……」

「申せ」


その兵の報告はこうだ。

突然神殿の扉が開き、驚いて扉の中を見たが、何もいなかったという。


そんな摩訶不思議な報告だった。

国王はその話を聞いた後、こう結論を出した。


「もしやそれが翳の勇者なのではないか? そんな芸当が出来るのは勇者くらいであろう」


「な……何ですと……」

「一先ず、文献をもう一度見直せ。もし翳の勇者である可能性があるならば国の兵士を総動員し捜索を開始する! 賭ける価値は十分にある!」

「はっ!」

もちろん、この事を影虎が知る由も無かった。





ここで第一章完でございます。

ここまで読んで下さった読者の皆様、本当にありがとうございます。

そして、物語はまだ始まったばかりです。

作者はまだ未熟者ですがこれからも読んで頂けると幸いです。

では、二章もお楽しみに!


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