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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ始動編
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決着

そして話は影虎に戻る。

「キャキャキャキャ!」


ボブゴブリンは笑いながら棍棒を振り下ろした。

影虎の前にいるもう一人のゴブリンに向けて。


メキャッという嫌な音が響き、影虎に奇襲をかけたゴブリンは息絶えた。


「え……? あれ……何でこいつ味方殺してんだ? 俺を狙ってたんじゃ……」


ボブゴブリンの方も手ごたえがあったのに影虎が生きているのを見て不思議そうな顔をした後、配下のゴブリンが倒れているのを見付け、一体何をしたお前とばかりに影虎に棍棒を振る。


しかしどの攻撃も全て空ぶってしまう。


「何これ……どういう事? もしかして失血で視界が霞んでるのか……?」


実際、影虎は何度もボブゴブリンを切っており血もそれなりに出ている為そうなっていてもおかしくは無い。


だがそれにしては不自然な所があった。

ボブゴブリンは何故か影虎の一メートル程手前を執拗に攻撃し続けている。


まるでそこに影虎がいるかのように。

「何でアイツ一定の距離で攻撃を外すんだ……? まさか……」


影虎はボブゴブリンの首に刺さっている刀に目を向ける。

「あれの力なのか? 本当に伝説の剣の類なのか? あの刀は一体何なんだ?」


ただ、いずれにしても言える事は一つ。

「とりあえず助かった……首の皮一枚で救われたぜ……」


後は先のゴブリンの攻撃で奪われた体力を回復させるのみである。


「回復薬飲んで……と。あ、でも刀無いから攻撃できないな…まあ足止めでもいいってエルさんは言ってたけど……あの魔族との戦闘で消耗してるかもしれないから一応止めは刺しておきたいなあ。何か武器無いかな」


影虎はバックを探った。

そうして影虎が見つけ出した物は……

「武器に……なるのかな……」

塩だった。


そう、準備の時にミコモに押し付けられたあの塩だ。

他には特に何も無かった。


「いやさ……何でこんなピンチに俺塩しか持ってないんだよ神様……」


戦いの場に置いては唯の重り。

の筈だったが、影虎は妙案を捻り出した。


「はっ! 閃いた! 武器になるわこれ!」

そして影虎はニヤリと笑いボブゴブリンに向かってこう言った。


「おいそこのアホなボブゴブリン、お前が聞いても分からないだろうがよく聞け! 俺の名前はなあ、あの上杉謙信の初名からとっているんだよ。親が歴史オタクでね。

上杉謙信と言えば、あの話が有名だよなあ? そう、敵に塩を送るってな!!!」


影虎は棍棒を空振りし続けるボブゴブリンに向け塩を思い切りかけた。


「ギャアアアアアア!」

「傷口に超しみるだろ?」


刀でいくら切っても倒れなかったボブゴブリンは。

遂に倒れた。

そして首に刺さっていた刀がさらに深く潜り込み。

それが戦いの終止符を打った。


「あれ…もしかしてこいつ死んだ? 勝てたんだな……俺。命奪ってる以上喜ぶのはアレだけど。

まさか本当にこれが止めになるとは……孫子もびっくりだぞ。ミコモに感謝だな」


影虎は今度ミコモに何か奢ってやろうと思った。

「まああの変な力のおかげなんだけどな。刀の能力なのかな? 隠行といい、謎が多すぎるぜ……」


影虎が推測するにどうやら切った相手の視覚に狂いを生じさせるといったような能力のようだ。

今度色々実験してみようと影虎は思った。


「それにしても俺は隠行といい刀といい隠キャっぽい能力しか持てない呪いにでも掛かってるのかな……どんだけ隠キャ認定されなきゃいけないんだ……それにそんな能力あってもボブゴブリン相手にこんなに苦戦するとは……やっぱりチートみたいなの持ってても自分自身を強くしないと戦えないんだな。エルさんに今度鍛えてもらおう」


影虎はそう決意した。

しかしこの決意が後に新たなる恐怖への幕開けとなるのだがこの時の影虎は知る由も無かった。


「あ、そういえばあの二人は大丈夫かな……魔族大分やばい相手とか言われてたけど……」


影虎がそう思っていると、

「お~いカゲトラちゃん、あ、いたわ!」

「おっ、エルさん! ご無事だったんですね!」

「私は?」


二人がやって来た。

エルドレットは鎧がひしゃげている所があったが、二人ともそれ以外に怪我らしい怪我も無く無事なようだ。


「大丈夫カゲトラちゃん? 怪我とかは無い?」

「見ての通り大丈夫です。危うく死に掛けましたが……」


「ええ!? 本当に大丈夫!? 無茶はしちゃ駄目よ! 無事なら良かったけど……でもすぐに来れなくてごめんなさいね」


「いえいえ、魔族がいたんじゃしょうがないですよ。エルさんこそ鎧……」


「ああこれね。もう大丈夫よ」

「それなら安心しました。そうそうミコモ、お前のくれた塩がまさかの大活躍だったんだよ」


「本当に? ほ~ら私のお告げは当たるんだから」

「むしろ怖えーけどな」


「あとカゲトラちゃん、刀はどうしたの?」

「おっと、忘れる所でした。ボブゴブリンの首に刺さったまま抜けないんです…」


「あらあら。じゃあ首からひっこ抜いてあげるわね」

「ありがとうございます」


エルドレットはボブゴブリンの首から刀を抜いて影虎に渡すと、おもむろにボブゴブリンの耳を剥ぎ取った。


「何でゴブリンの耳を?」

「討伐した証拠に持って帰るのよ。そうしないと討伐報酬が出ないのよ。依頼だけ受けて逃げる人とかもいるから」


「なるほど~」

そうして三人はゴブリンの耳を集めてギルドに戻り、報酬を受け取った。





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