新しい波
『リング』
『呪怨』
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』
『パラノーマル・アクティビティ』
これら四作品が現在のホラーに多大な影響を及ぼしたのは御理解いただけるかと思います。
一頃ネット等で話題となった『恐怖映像』を観てみれば、これら四作品の手法を用いているのがよく解りますね。
これらに共通する『恐怖の対象』それは心霊現象。
幽霊は基本的に見えない存在です。
映像ではそれを『可視化』する事に腐心しています。
例えば屋内で、誰も居ない場所からボールなどが転がってきたり、鏡に居ないはずの人影が映ったり、ですね。
こうした演出は日本ではお馴染みなものでしたが『リング』『呪怨』以降ジャパニーズホラーの演出が海外でも使われる様になってきました。
それは『手で触れる』怪物から『こちらからは触れない』霊的なもの────つまりこちらの攻撃が効かない相手に『恐怖の対象』がシフトしたという事です。
通常武器で倒せたゾンビものからの脱却・反動と謂ってもいいでしょう。
またこれは悪魔を対象としていたオカルトホラーからの進化、と謂ってもいいと思います。
海外オカルトホラーでは悪霊=悪魔の一形態、もしくは悪魔の手先という形でしたが、悪魔とは別の存在として認知されてきたという事です。
『ライト/オフ』では光の当たらない場所にのみ姿を現す霊。
『MAMA』では二人の女児を育て、二人から引き剥がそうとする相手に危害を加える霊。
こういった霊的存在をモチーフにした映画が増えてきています。
ゾンビから心霊への転換点となったのは『REC』シリーズからでしょうか。
この作品はアパートメントの中でゾンビが発生する話から始まりますが、ゾンビを発生させている原因はウィルスではなく悪魔憑きとされる女性によるものです。
つまりゾンビものとオカルトの融合ですね。
この作品ではまだ悪魔を取り扱っている訳ですが、以降ゾンビものの映画が極端に減った印象があります。
心霊現象を題材に用いる場合、古くからの日本ホラーでは因果を念頭に入れています。
怨みのある相手を呪う訳ですね。
が、『リング』『呪怨』では作中人物達が貞子・伽椰子の死に様を知るまでは行き着きますが、何故人々を呪い加害するかの理由については謎のままです。
これが最近の『新しい波』と謂えるかもしれません。理解の外、解らない恐怖という訳です。
この因果を無視した手法は受け入れ難い読者もいるかと思います。
因果を無視して悪霊がとる行為にどう意味合いをつけるかが、作品をまとめる助けになるかと思います。
これにてホラー映画の変遷を辿り終えました。
上映された時期に若干のズレ・重なりはありますが、概ねこの様な流れになっています。
書きたかったのはホラーの手法でして、1ページ目に書いた手法の実際例としてあげてみた訳です。
それぞれのジャンルでどの様な怖がらせ方を用いているか?それを自分の作品に昇華出来るか?
これからホラーを書く際の参考として、この覚え書きを残したいと思います。
どうです?貴方も一つ書いてみませんか?
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