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18.天界

み、短い…っ!

街の一角が真っ黒な黒煙に包まれている。魔力を大量に孕んだ爆発系魔法特有の煙だ。本来ならすぐに空気中の魔力と混ざって消えるこの煙だが、こんなにも残っていると言うことはこの煙に含まれている魔力は異常な物だろう。


「そこらの魔王の矢にワシの魔力を上乗せしたのじゃ。ただの鳥ならこれで終いじゃろうが…そうもいかんじゃろうな。」

そう言うとクロナは爆発の跡の方を見る。周囲には瓦礫や泥が飛び散り、広範囲で地面に亀裂が入り、中心に近づくほどに地面が陥没している。一見すれば生存などあり得ない。


「全く…魔王というのは面倒ですね。その上、上位の悪魔まででしゃばって来るとは。召喚されたのは下位だけじゃ無かったなんて報告、受けてませんでしたよ。」

「仕方ないじゃん。僕だって始めて知ったんだ。流石に上位悪魔の魔力は体に堪えるねぇ。」

だが、見た目とは反対に煙の中から出てきたのは傷を負ってはいるものの、五体満足で立っている烏と鷺だった。肩や背に矢がいくらか刺さってはいるが決定打にはなっていないらしい。


「まだやるか?」

俺は半ば諦め気味に聞く。烏と鷺の目はまだまだやる気であり、少なくとも負けるとは思っていないと言った顔だ。

「えぇ、もちろん。と言いたいところではあるけれど…。烏、撤退するわよ。」

「え~何で?」

「主の意向よ。何でも気が変わったらしいわ。」

2人はそう言うと体に刺さった矢を魔法で全て抜き、宙に舞う。すると2人のちょうど後ろに純白の渦の様な物が出現する。恐らく転移の類いの魔法だろう。

「また会える日を楽しみにしてるわ、コウタ。」

最後に鷺がそう言い残し、2人は渦の中に消えていった。


───────


[side烏]


転渦を抜けると見慣れた部屋につく。真っ白な床、壁、天井が目に眩しいが、それ以上に部屋中が大小様々な玩具で埋め尽くされている。玩具と言っても大半がぬいぐるみの類いのもので、特に鳥を模したものが多い。部屋の一番奥には白色のクイーンベッドがあり、その上には僕たちの主である1人の少女が座っている。


「今戻ったよ、アラエル様。」

「同じく戻りましたわ、アラエル様。」

僕たちが声をかけるとアラエル様は背中の翼を羽ばたかせ、僕たち2人に飛び付いてくる。

「おかえり、リグル、ヘレン。急に呼び戻したりしてごめんね。」


鳥使いの天使であるアラエル様はここ天界に住む10人の天使"十角(じゅっかく)"の1人で、主に下界の人間たちの動きを下界の鳥を使って監視する、天界でも重要な役割を持つ天使だ。その為、生活のほとんどの時間をこの部屋で過ごしている。


天界というのは主神であるアラザラス様とそれを主とした10人の天使、そしてその配下で構成させる下界の管理を目的とする神の国だ。昔は八百万とも言われるほどの神が住んでいた天界だが、人の誕生と同時に起きた"表裏分裂(ひょうりぶんれつ)"によって裏側(こちらがわ)に残った神はアラザラス様だけとなった。そしてそのアラザラス様が十角と呼ばれる天使を創造し、僕たちが創造された。


「大丈夫だよ。僕たちは貴女様の配下、貴方の手足なんだから。」

僕がそう言うとアラエル様はニッコリと笑みを浮かべてからまたベッドの上に戻る。

「リグルとヘレンもおいで。」

僕は鷺と顔を見合せると同時に頷いてベッドに飛び込む。すると、さっきまで身体中にあった矢傷や、打身(うちみ)が時間が巻き戻るかのように消えていく。


「感謝します、アラエル様。」

鷺が感謝の言葉を延べ、それに続いて僕も頭を下げる。アラエル様はもう1度笑みを浮かべるとベッドに仰向けで倒れこむ。


「はい、これでお仕事の関係は終わり!今からは友人として、ね。」

そう言うと僕と鷺の首を掴んでベッドに引っ張り倒す。そのまま僕たち3人は暫くの間、平和な時間を過ごした。

井口「最近めっきり出番が無くなった。」

作者「…誰だっけ?」

井口「担任だよ!」

作者「そう言えばそんなの居たな。」

井口「解せぬ。」

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