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三頭と二十三人への転生記  作者: 水渡
第二章 人類登場
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第37話 ミストの女王プロトス

本日二話目。

プロトス視点


 その日、私はいつもと特に変わらない日常を過ごしていました。いつものように、国のこれからの事について部下と議論したり、壁の内側に作られたわずかばかりの田畑を耕したり、その時ふいに聞こえる小さな子供の笑い声になごんだり、本当にいつも通りに過ごしていたのです。


 そんな時に、彼らはやってきました。


 私が彼らに気づいたのは、やけに防壁の上が騒がしくなったことに気づいたからです。

 その時に、私はまた魔物が攻めてきたのではないかと思いました。

 先日の魔物の襲撃の折、かなりの兵士が魔物との戦いにより負傷してしまいました。

 

 ですが、この小さい国ではたとえ女王という立場であっても、皆と同じように農作業に従事しなければいけないほど余裕はないのです。もちろん、それが嫌ということではないのですが、とにかく余裕がない中、けが人といえど、長い間休ませておくことができず、今は防壁の警護の任務に戻っていただいております。

 女王として、彼らに対して十分な休息を与えることすらできないことに、今も責任を感じています。

 そんな出来事があってすぐの事だったので私は、また魔物が襲ってきたのではと思ったのです。

 

 しかし、それは半分はあっていて、半分は違っていました。


 私が騒がしくなったと思った次の瞬間、凄まじい衝撃が襲ってきました。

 その揺れはすぐに収まりましたが、私は防壁の方で声を上げていた兵士の声がまったく聞こえないことに気づきました。


 まさか、今のは魔物の攻撃で、それによって兵士の皆さんが全滅したんじゃ……。そう思った私は、住民の避難を側近たちに任せ、防壁の方へと駆け出しました。もちろん、女王としてその判断は間違いなので、後でこっぴどく叱られましたが……。

 とにかく、防壁のほうへと急いで向かったのです。

 そこで、私は……


 「人間達、聞いてください。私たちは敵ではないのです」


 この言葉を聞いたのです。


 初めは戸惑いました。

 だって、言葉を話す魔物なんて見たことも聞いたこともなかったんですもの。

 今、この国に攻めてきているのは、魔物ではなく同じ人間だったと言われた方が何倍も納得できます。……もちろん攻められるのは納得しませんが。


 さらに、


 「皆さんいきなりで混乱しているかもしれませんが、私たちは敵ではありません。あなたたちに魔法というものを与えるために来たのです」


 という言葉を聞き、私はさらに混乱しました。魔法? なんですかそれ?

 そんな疑問を抱きながら、進んでいた私は、ふと上を見上げました。


 そして、絶句したのです。


 そのあまりの巨大さに、そのあまりの存在感に……。


 私は、震えました。ああ、無理だ、こんなの勝てるわけがない、と。


 でも彼らは、言っていました。自分達は敵ではないと。

 なら、もうそれを信じるしかありません。だって、信じようが信じまいが彼らがその気になった瞬間に、私たち全員が終わることは残酷なほどに明らかなんですもの。

 だから、信じました。

 彼らを信じて、私は止まっていた足を再び動かし、防壁の方へと歩き出しました。


~~~


 防壁まであと少しの所に来ると、防壁の上にいる兵士達が私に気づき始めました。


 「プロトス様!? 何故こんなところに!!」「お逃げ下さい!!」「ここは危険です、早く!!」


 兵士達は、次々と私に向かって逃げろと言ってきます。

 ですが、彼らも心の底では分かっているでしょう。私たちに逃げ場などもう存在しないことくらい。それくらい相手が強大だということも。

 

 だから今この時に、私は懸けるのです。見れば目の前の怪物達は高い知性を持っている様子。

 それならば、話し合う事も不可能ではないはずです。そして、話し合いが出来るなら、このまま何もせず帰ってもらえるかもしれません。いや、帰ってもらわなければなりません。でなければ、私たちは滅ぶ。


 そう覚悟を決めた私は、兵士達の制止を振り切って防壁の上へと登り、彼らと正面から相対しました。


 そして、これが‶原初の竜王"との出会いでした。

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