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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ
Angel

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エナドリ中毒ッ! 

自覚はあった。そしていつか、止めよう、辞めようと思っていたんだ。本当さ、本当だよ。だけど、もう気づいたときにはもう、後戻りのできない場所に足を踏み入れてしまっていたんだ。


初めて、私がそれを呑んだ時のことは、今でも覚えている。たぶん、忘れることはないのでしょう。だって私は初めてそれを呑んだ時、その刺激の多さに吐いてしまったから。そう、だから私は、これは私にはあわないなぁ、なんて思っていたんだ。そしてもう呑むことはないだろうって、そう思っていたんだ。


その夜、私は夢を見た。それは現実と遜色ない夢だった。その夢の中で、その私は階段の前に立っていた。その階段はどこまでも続くような階段だった。その私はその階段を一段一段確かめるように、丁寧に登っていた。


「どうして、そんな遠巻きの視点で話しているの?」

それは、その夢を私は、第三者の視点で見ていたからだよ。そう、私はその夢の中で、私がその階段を登っていく姿をただ黙って見ていたんだ。その時の私は、階段を登っている私の考えていることがわからなかった。どうして私はこんな階段を登っているんだろう。どうして、そんな幸せそうな顔をしているのだろう?そんなことばかりが頭をよぎる。そしていつしか、私は、その階段を登っている私を、私だって思うことができなくなってしまっていた。そう、それはまるで私の皮を被った誰かだったんだ。


「現実と遜色ない夢?何が現実だっていうの?あなたの言葉を聞いていれば、それはただの夢のように聞こえてしまうけれど?」そうだな。今の私の説明なら、貴方はそう思ってしまうかもしれないね。だけど、違うよ、あれは、あの夢は。だって、その夢を見ていた私は、その階段を登っている誰かの姿を俯瞰するような、そんな視点で見ていたから。そして私の心は、それがまごうことなき現実だって思ってしまったんだから。「まごうことなき現実?」


私は、あの夢を見るまで、夢は一種の創作物なんだって、夢はその口に語られたその瞬間、まごうことなき芸術、フィクションに成り果ててしまう。だから、自然な夢、そのありのままの姿は存在しえないって、私は思っていたんだ。例えば、痛みなんてわかりやすいんじゃない?私たちにとって身近な感覚なのだけれど、その自然な感覚を、痛いなんて言葉の裏にある刺激のその実態を、そのまま捉えるなんてことはまるで雲をつかむことのようにやりきれないことでしょう?


私たちはその刺激の刹那的な流れを一言に省略して、その痛みの感覚をまとめてしまうから。そしてまとめられた結果、私たちの記憶には、私たちが創り出した創作の痛み、そのまとめられた感覚、その記憶しか残らないのよ。そう、まさにそれはメタファーのように私たちの記憶に残るけれど、その痛みは、もう二度と私たちがそんな痛みを受けないように、私たちのこころが創り出している防衛機制の小説家が描き出した空想じみた解釈、言ってしまえば、自然な痛みなんて到底及ばない痛み、痛みに対しての空想じみた解釈でしかない、だから、夢で出てくる痛みは、そのまとめられた痛みという空想の産物でしかないんだ。だから、もし実際に夢でこの私の瞳が心が捉えたなら、そして感じたならば、その痛みはお粗末だって感じることができる、そんなまがい物なんだって私は思っていたし、今までの私が見てきた私の夢は、その夢の中で味わってきた痛みは、実際にそのまがい物、解釈じみた痛みだったから。


だけど、私はその夢の中で感じてしまっていたんだ。まさに自然的な痛みを、解釈でない、誤魔化しの効かない、そんなまごうことなき痛みを。私はその夢を、階段を登っている私の姿を見ているとき、これは夢なんだろうな、なんて、これは明晰夢なんだって感じていたんだ。そう、だから私は、その夢を、ただの夢だって徒然なるまま眺めていた。その時だった、まさに唐突にその誰かは仰向けで階段から滑落した。その瞬間、私の見ていたあの視線が、私が見ていた空間なんて切り取られた視線がうねる。そしてその刹那、私は私のこの視線を取り戻した。


「ぁああぁあ......」体が階段の鋭利な角に串刺しにされていく。その痛みはまさに本当の痛み。この

夢を、夢の中の今を生きていたというような、まさに自然な痛みだった。私はこの痛みの中で、私が今まで夢だと思っていた今は現実だったんじゃないか、今までが、夢だったんじゃないかなんて感じてしまっていた。だって、今までの私の過去を証明してくれるような、自然の痛みを感じたなんて記憶は、ただの記憶でしかなくて、その時の痛みを思い出そうとすれば、それはもう解釈じみた痛みだったから、そしてその解釈じみた痛みなんかじゃない、この自然な、作り物じゃない痛烈な痛みを感じている今こそ、私が息をしている、生きている本当の現実なんじゃないか、なんて考えてしまったんだよッ!


次の瞬間、私が階段に仰向けに倒れたまま、この階段上に動かないで、この痛みを感じていると。唐突に階段が、天まで続いているような、その階段が跡形もなく光のようになって消え去った。私は、落ちゆく身体、通り抜けていく風、そして地面に堕ちていく今を感じていた。そう、私はそんな実感を抱きながら、そんな今が本当に私は死んでしまうんだ、なんてことを疑いのないものにした。死を前にした私は、なんて呆気のないのだろう、と思いながら、でもそのこころはなぜか落ち着き払っていた。そして、私はその夢の最期に、私が今まで見たことのないような、雲一つない青空を見て、その美しさをこの胸に抱きながら、私はこの瞳を閉じた。


私は机にうつぶせの状態で、眠っていたみたいだった。そしてそんな私の手の中には、空になったエナジードリンクが握りしめられていた。一体、私はどうして、エナジードリンクを飲んでいたのに、この私は眠ってしまっていたんだろう?それに、あの夢は何だったのだろう?その時、そんな私に何か一つの突拍子もない思いつきが生まれた。(もしかしたら、このエナジードリンクを飲んで寝たから、現実と遜色ない夢を見てしまったのかもしれない。)私は、もう一度、エナジードリンクを飲んで、あの時のように眠ってみることにした。だけど、あの時みたいなことはもう、起きなかった。そもそも、エナジードリンクを飲んで眠ることなんて出来なかった。ただただ、眠れなくなるだけだったんだよ。だけど、私はもうやめることが、できなかった。あの感覚が、あの解放されるあの感覚が忘れられなかったから......

~~~


私が話し終えたその刹那、彼は、笑い出していた。「解放?フフフ、解放される感覚だって?馬鹿なんじゃないの?あなたが感じているのは、開放でしかないのに?」その刹那、彼は私を突き離した。私の身体は背後に、仰向けに倒れてしまう。私は受け身を取るために、私の背後を、そこにあるはずの地面を見ようとした。しかし、私の背後には地の底までつながっているような階段があって、私は今までその階段の存在に気づかなかったから、私はただ戸惑ってしまっていた。しかし、次の瞬間、その戸惑いは予感へと変わり果てた。それはすべてが終わってしまうような、そんな予感だった。


私は誰かの視線を感じる。そしてその誰かは言った。「お前はどうして生きている?なあ、どうして生きているっていうんだッ!そうだ、お前は、お前自身の快楽のために死に続けているんだよッ!何度も、何度も、死んで死んでを、繰り返しているんだッ!」


自覚はあった。そしていつかやめようと思っていたんだ。だけど、もう遅かったみたい。ごめんなさい。

~~~

そんな言い訳じみた謝罪に、どんな意味があったのだろうか?

読んでくださってありがとうございます。

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