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道順組立S

前回、2パスを中心とした”道順組立”の注意点である。

他にも色々注意があるのだが、それらはあくまで”誤配”や”道順組立”にはさほど関係がないという、作者の基準である。

今回は



プルルルルル



「あーっ、これアレなんだよ」


念のため、電話で確認。別に配達員は分かっているんだが、差出人がAMAZONであるため、100%受取人が頼んでいる商品。困った事に受取人の住所が存在しないのだ。記載されている電話番号に電話しているところの、木下。

本人も、目星は付けている。

郵便局には名前を検索するだけで、”配達原簿”に登録された者に限るが、住所を特定・絞れる便利なデータベースがあるのだ。

もっとも、それに頼らずとも把握できる配達員は何人もいるのだが。



ピッ


『もしもし』

「私、郵便局の木下と申します。弓岡さんの携帯ですか」

『ええ』

「実は弓岡さんにAMAZONが届いているんですけど、住所が西砂流町1-22-1なんですけど。ここ、家がないってか、駐車場なんですよ」

『あっ。あー、ごめんなさい!北です!北砂流町です!半年前、西砂流にいたのでそっちを直し忘れちゃった!』

「!あー、やっぱり。郵便番号は北砂流町だったんで……」

『それ、すぐ持って来てくれませんか?今、家にいるんで!』


こーいうのあるから、電話ってのは嫌なんだよな。

まぁ、俺は北砂流町の担当じゃねぇから


「最速で北砂流町の配達員に行かせます」


ガチャッ


「客が待てないから急いで持ってこいってよ、矢木」

「木下、殺すぞぉっ!!(今日は北砂流町担当)」

「可愛い姉ちゃんの要望だったぞ」


相手と自分達の都合を合わせて、配達時間を決めましょう。

ただ、弄りとして、こーいう悪ふざけをしたりもしてます。


というわけで、今回はお客様へのフォローを意識する、”道順組立”の小話とコツである。


◇       ◇


「んー?」


山口の手が止まった。ある郵便物を眺めていた。なんてことない定形の封筒だったのだが、宛名の位置がオカシイ。2パスでやってきたこの郵便物は、確かに正確にこちらへ流れているのだが。


「矢木さん。この郵便物、差出人がこいつですよね?ウチのところから郵便出してしますよね」

「あー。……そーだな。なーにやってんだ、こいつ」


今は多少、減った感じなのだが。それでも珍しくないのが、郵便物を送るための形式を誤っている郵便物がある。

山口が手を止めて、矢木に確認をとった。分からない郵便物、処理に困った郵便物は、近くの人達に確認を取ってから処理した方がいい。自分の判断でやるとミスになりやすい。

ちなみに山口が矢木に相談した郵便物は、以下のように。


横向きの定形封筒で、受取人の住所と名前が右下へ。差出人の住所と名前が左上に来たという、この手の事で間違えているポピュラーな形式だ。

いくらFROMやTOを付けているといっても、2パスや他の機器はそれらの英語を認識しているわけではなく。郵便物が送られてくる形式に沿って判断している。


「お客様のミスを何気なく気付いてやらないとな」

「そっすね」


ところで、こーいう間違った形式で送られた郵便物を、正当住所に届けるためにちょっと面倒。手っ取り早くするのは、受取人の住所の方に大きく赤いペンで囲ってあげるとか、差出人の方をシールで隠してあげるとかである。

機械でも判断できない郵便物は、人間が判断するルートを通るため、確実にそっちへ流すため。



◇        ◇


『誤配しないでください!!』

「すみませんでした」


お客様目線。……というより、人基準のもの。他人のミスはベラベラと、語ってしまうのは致し方なし。気にすんな、近くに似たような苗字がある奴が悪いとか、テキトーな事を客がいないところでほざいておくのがいい。

スーパーで安売りセールしている豚肉に、お客様が選ぶのは自然のこと。セールが終わった事に対するお客様への対応なんてやりたくもない。簡単に終わっちゃいました、それで済むことだろう。済んでくれやって思う。



「あーーーっ」



こっちはサービス。大甘な大サービス。

仕事をしている側にとっては、お客様が指摘するなんちゃらの数や質よりも、お客様がやらかすミスの数と質がハンパじゃない。これはどんな仕事でもそうじゃないだろうか、残念だけれど。

郵便配達において、この手のサービスの問題。もとい、お客様がやらかしやすいのが、転居届の話である。とはいえ、この話は個人情報に関わりかねないのでスルー。

というので、差出人と受取人の間でやらかして、なんでか知らんが郵便局が執り成しする事。



ドンッ



机を蹴とばしてしまうくらい、イライラする。

矢木にはこの郵便物がどの家なのかが、分かっている。しかし、


「何度も言ってるだろうがっ!!」


お客様が直してくれない!

その上、どうして届かないのかを説明して欲しいということ。


「テメェっ!!新人の教育をちゃんとしろぉっ!!ぶち殺すぞ!!」

「ひぇっ」

「なんで俺がこいつの対応しなきゃいけねぇんだよ!!テメェ等のミスの癖してよぉ!プロ意識あんのか、コラァ!!」


矢木がブチ切れていること。そいつは本来、転居してきた人の郵便物が届いていないという申告を受けたからである。

元いた場所は、この局の別の地域なのだが……。つい最近入ってきた新人くんが担当しており、誤って転送をしないで元いた住所に入れちまったと。お客様からしたら、転居がまだ続いているのにそれを怠った郵便局を責めるのは、当然の事であるが。

色んな会社のサービス。どんな人間がやっているのか、色々あるものだ。寛容になってもらいたいものだね。差別だ格差だ、そんなのを謳う者達並に。


「落ち着きなさいよ、矢木さん」

さね~」

「他班にご迷惑ですよ。いえいえ、こっちで解決したんで。今後は気を付けてくださいね」

「解決したのは俺だろうが!」


お客様が捜していた郵便物が追跡郵便であったため、それを配達・処理を行った人間が記録されている。”だから”という意味ではあるが、大切なモノを送って欲しいのなら、住所は自分の正当な住所、誰が配達を担当するのか、どの時間に配達したのか。それが分かる追跡郵便を使用して欲しい。



お客様の配送トラブルで非常に多いのが、定形・定形外の通常郵便である。追跡郵便が届かない事例も珍しくはないけれど、7割ほどは通常郵便である。そして、お客様が思っている以上に解決する確率は6割以上はあります(地域差は当然ありますが、ウチの局はそれくらいの確率はある)。


「一つの局で通常とされる1日の物数が7万くらいで、そこにゆうパックや書留、追跡郵便などを考慮すりゃあ、5000通を+して……、4,5件が不着申告をするくらいだな。それでも多くてだ」


木下の長い勤務実績からの経験。


「2件くらいは木下さんですよね?」

「だははははは、そんじゃあ、1日で2,3件しか起きねぇよ!そんくれぇの確率だ!数字の話だがな!」


実際、お客様が郵便局に問い合わせしないで解決している誤配もあるため、ホントに正確な数字は存在しないけれど(+20は増えるかな?)。欲しいモノのだいたいは届いているはずである。お客様やネットの声が出している数よりも届いている。そうでなきゃ、通常郵便なんかで出すわけがない。

不着申告の話は今回においてカンケーはないが、省くけれども……。



”発送日を間違えているOR発送していなかったOR実は黒猫、佐川を使ってました”

”記載した住所を間違えているOR昔いた住所を記載していたOR住所書き忘れ”



主にこの6つの結末。……他に”誤配”や”誤送”、”誤転送”、”誤還付”など、郵便局側のアホとしか言いようがないミスもあるため、一概には言えないけれど。

”道順組立”という作業において、2番目の差出人様・受取人様が記入されるご住所の間違いは、とても影響する。

そもそも、”道順組立”の前作業の話。”仕分け”や”区分”といった業務になるのだが、この業務の段階から郵便物の住所を機械や人間がチェックし、分けているのである。

そして、各地域に分けられた郵便物が、配達員や組立さんによって”道順組立”をしている。それが一日分の業務量に当たる。住所そのものを間違えられると、”区分”で間違う事になる。

覚えて頂きたい事でありますが、



郵便課の連中は、配達地域の事は一切知らないからね。

あいつ等、マジで仕事がテキトーだぞ。機械もそこそこアテになんねぇし!

ちゃんと区分しねぇから!ちゃんと区分してねぇから、誤配や誤送、遅延を生んだりしてるからね!しかも、責任とかはポストやお客様に渡す、配達員に全てを賭けてやがるから。マジでやってらんねぇ。配達員になるより、郵便の区分けの方が責任なんかほとんどねぇから楽だよ(ゆうパックやEMSの重たい奴を運ぶのは、ちょっとキツイけど)。それは募集があったら、狙った方がいいですよ(給与で納得いかないとかなければ)。



「これ作者の愚痴じゃねぇか」

「お前も郵便課に迷惑をかけてる側だろ」


オホン。私情を挟みました。


「ようは届かない原因の一つに、住所間違いはあって、住所を間違えると担当の配達員のところまで郵便物が来ないのもある」

「”通常郵便”はそれをしないんだよ。1日、2日遅れたところで文句なんか、集配課の連中は聞く耳を持たない。『今日届きました~(2日前から届いてたけどな)』とか、すっとぼけしてる事もあるからな」

「けど、”追跡郵便”だと、局内に到着している事が差出人と受取人も把握できるから、その日の内に配達する事になりますよ。だから、料金がちょっと乗っているのも、ご理解してください」



挿絵(By みてみん)





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