表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼の進む道  作者: けやき
23/63

綺麗な夕日

遂に浮上を始めた方舟。

準備の為に方舟へと戻るマゼランを追い、方舟に乗り込んだサキ。

それを笑いながら見下ろすヴァニタス。

旧世界の命運がかかった戦いが始まろうとしていた。


方舟


サキとマゼラン。

2人がにらみ合い相手の様子を伺っている。


エレメンタルブレードを構えるサキ。拳を握り構えるマゼラン。

お互いダメージを受けているため、服もボロボロである。


と、にらみ合う中サキが軸足の左足を微妙にずらした。


「!」


そこを逃さず、マゼランが先に動いた。

が、殴りかかろうとしたマゼランの右の拳をサキがエレメンタルブレードで受け止めた。


サキが受け止めた状態で、マゼランに膝蹴りを繰り出すが、マゼランは左手で受け止める。


「くっ!」


と、その状態で硬直する2人。


2人同時に距離を開けた。


今度はサキが間髪入れずに、マゼランへと距離を詰めて、右手のエレメンタルブレードを振る。


「っ!」


と、不意をつかれたマゼランはエレメンタルブレードを受ける。


サキが流れるように、回し蹴りを繰り出す。


「くっ!」


と、マゼランは腕で何とか防ぐ。


「はあぁ!」


と、足を引き一回転しエレメンタルブレードで横に薙ぎ払う。


「ちぃ!」


と、苦い顔をしてエレメンタルブレードに拳をぶつける。

その瞬間に2人を中心に衝撃波が走る。

衝撃波が舟を揺らし、2人を吹き飛ばす。


「闇の魔力なしでもやるじゃないか。」


と、手をつきサキを見るマゼラン。


「闇の魔力を使わなくてもちゃんと戦えるように訓練してきてるから。」


と、エレメンタルブレードを舟に突き刺して止まるサキ。


「…お前は何故そこまで必死に戦う。この世界の人間でも、知らない人間を助けるのか?」


と、闇の魔力に取り込まれそうになりながらも、必死に戦うサキに疑問を抱く。


「何を言ってんの?知らない人間?そんなもん関係ない。この世界の人々を守るために戦ってるんだ。この世界を滅ばせはしない!」


と、再びマゼランへと距離を詰める。


(縮地法!?)


と、目の前から一瞬で消えたサキを探すマゼラン。


「こっち」


と、マゼランの後ろに現れたサキが、エレメンタルブレードを振る。


「!?」


と、眼前でエレメンタルブレードを止めたサキに驚く。

そのままエレメンタルブレードを引き、消したサキ。


「どういうつもりだ。」


と、マゼラン。


「あんた素手で戦ってんのに、オレが武器使うってのも何かな、と思ってね。」


と、拳を構えるサキ。


「…後悔しても知らんぞ」


と、マゼランも拳を構える。拳の格闘にはかなりの自信があるマゼラン。


「それはオレが判断する事だから。」


と、サキ。


「…いいだろう。」


と、今度はマゼランが縮地法をする。


サキの後ろに現れたマゼランは、拳を思いきり振る。


「!?」


が、サキに円を描くように受け流された。


「ふっ!」


と、そのまま肘をマゼランの溝おちへと突く。


「ぐっ!」


と、呻き膝をつくマゼラン。


「格闘はできなくはない。」


と、サキ。


「…とんだヤツがまだ旧世界にはいたんだな。」


と、ゆっくり立ち上がるマゼラン。


「たぶん、まだいると思うけどね。」


と、サキ。


「…あんたの本当の目的は何だ?」


と、サキ。


「何だと…?」


と、マゼラン。


「旧世界を滅ぼし、魔法世界を支配するにしては兵数や兵器の数が多すぎる。そう思っただけ。」


と、サキ。

旧世界の援軍が来ていないにしても、報告のあった兵数を遥かに越えて、魔戦車の数も多かった。

そのため、旧世界の軍勢はかなり押されている。魔戦車はサキの雷で、戦場に出ているのは全て破壊された。

が、兵士の数は減った気がしない。


「…なかなかキレる。さすがだな、サカイトシキ。」


と、マゼラン。


「!気づいてたのか」


と、サキ。


「“旋風の雷”という賞金稼ぎは、60年前から存在する。年齢的に言って、今は老人だ。それなのに、最近の目撃では若い女、が一番多い。“普通”に考えたら、別人が名乗ってる、て事だ。」


と、マゼラン。


「でも、それだけじゃ…」


と、サキ。


「決定的な事は、今のお前だ。その“目”と、基本的な戦闘スタイル。目の色で戦闘スタイルが変わり、戦い方がそっくりそのまま、サカイトシキなんだ。」


と、マゼラン。


「…」


「何故そうなったかは知らんがな。」


と、マゼラン。


「…」


と、何も答えないサキ。


「で、私の本当の目的だが、来るべき“戦闘”のために邪魔な物を消し、下準備するのが目的だ。」


と、マゼラン。


「来るべき戦闘?」


と、訳のわからないサキ。


「私を倒せたら、教えてやる!!」


と、再び縮地法でサキの目の前に現れるマゼラン。


「っ!」


と、驚き隙ができたサキに拳を唸らせるマゼラン。

腹に一撃もらい、船首へと吹き飛ぶサキ。


「くっ!」


と、マゼランが目の前に現れる。サキは縮地法で甲板の方へと移動する。


サキはマゼランへと反撃に出るため、縮地法で距離を詰める。

その勢いのまま、マゼランの目の前に現れ、右足を踏み込み、両手でマゼランへ打ち付ける。


「ぬっ!!」


と、筋肉質な胸で受けた。


「な、何!?」


と、全身に痺れが伝うマゼラン。

サキの一撃に雷が付加されていた。


体勢を低くした後から、思いきり上へと拳を振るサキの一撃を腹に受け宙に浮くマゼラン。


「吹き飛べ!」


と、サキがマゼランに右手を向ける。


「暴風の雷閃光!!」


と、雷と風を融合させたオリジナル魔法を放つサキ。


「くっ、しまった!!」


と、気づいた時には遅く太い雷のレーザーが鎌鼬を纏いマゼランに直撃する。


マゼランを貫き、上空へと向かう一本の柱となり戦場を見下ろした。


・・・・・・・・・・・・・・・


「あ、あれは!」


と、神楽が空を上がっていく柱に気づく。


「…トシキの勝ちじゃな。」


と、カガリが笑う。


「うん!」


と、アイギス。アイギスも神楽に治療してもらっていた。


「ウチのボスの負けか…」


と、クロエ。アイギスの頼みで仕方なく神楽が治療した。


「じきに戦闘は終わる。」


と、カガリ。戦っている兵士がチラホラと空の柱に気づく。


「…トシキ」


と、霊紗が微笑む。


・・・・・・・・・・・・・・・

方舟


暴風の雷閃光をくらって空に飛ばされたマゼランが方舟の甲板へと落ちてきた。


「…オレの勝ちだ。」


と、サキ。


「…そうだな、ろくに動けん。止めをさせ。」


と、マゼラン。


「何で?」


と、キョトンとするサキ。


「自分で殺してやるって言ってただろ。」


と、マゼラン。


「確かに言った。でも、頭が覚めたし、あんたを死なせると、“来るべき戦闘”が不利になる、と思う。」


と、サキ。


「あんたのやり方は気にくわないけど、あんたらは強い。それで、あんたらと一緒に戦えば何とかなるんじゃないの?」


と、サキ。旧世界を滅ぼし、魔法世界を支配して準備を整えたって、逆に人手を減らすだけで何の意味もない、と思っていた。


「共闘か…確かにその選択肢もアリだな。」


と、吹っ切れたように笑うマゼラン。


「初めからホントの目的を言って、旧世界人が気に入らないからって滅ぼそうとしなければ、こんな事にはならなかったのだろうな。」


と、マゼラン。

今戦場では完全に戦いが止まっており、空に浮かぶ方舟を見上げている。


「あぁ、あんたはやり方を間違えたんだ。」


と、サキ。


「…お前のようなヤツばかりなら、そんな風に思わなかったんだがな。」


と、顔に手を置き表情を隠したマゼラン。

サキが静かに後ろを向いた。


「…この方舟、壊すけどいい?人員は絶対に死なせないから。」


と、後ろを向いたまま聞くサキ。


「…」


が、サキの問いかけに返事が帰ってこない。何か思うことがある、と思いしばらく待ってみたが、一向に返事がない。


「聞いてんの…!」


と、後ろを振り向き驚くサキ。

そこには、瀕死のマゼランの首を掴み持ち上げるヴァニタスがいた。


「ヴァニタス!!」


と、エレメンタルブレードを構えるサキ。


「甘いんだよ、お前もあんたもな!!」


と、嘲笑うヴァニタス。


「共闘…?さんざん旧世界人を殺しといてか?笑わせるぜ。あんたの計画でどれだけの犠牲が出たかわかってんのか?」


と、ヴァニタス。

だが、マゼランは首を捕まれているため話せない。


「わかるわけねぇよな。幹部が幹部に消されていってるってのに気づきもせずに、悠長に計画を実行していこうとするあんなにはな!!」


と、ヴァニタス。


「な、何だと!?」


と、力を振り絞って声に出すマゼラン。


「アイツは誰も殺しちゃいない!幹部を殺し、自分の力として取り込んだのは、オレだ!!」


と、不気味に笑うヴァニタス。


「き、貴様!!」


と、ヴァニタスの腕を掴むマゼラン。


「安心しろ、すぐ一緒の場所に連れてってやる!!」


と、笑うヴァニタス。


「!」「な!?」


ヴァニタスがマゼランの腹に腕を突き刺し、腕が貫通する。

その瞬間に、マゼランは黒い霧を纏った球になってしまった。

それに間に合わず、サキが空をエレメンタルブレードで斬った。


「マゼラン!」


と、サキ。


「クク、残念。もうオレの物だ。」


と、マゼランだった黒い球を取り込んだヴァニタス。


「っ!」


と、エレメンタルブレードを方舟へと突き刺すサキ。その衝撃で方舟に亀裂が入る。

上を見上げていた兵士達がざわざわ騒ぎ始めた。


「そんなことしてもオレには関係ないね。旧世界がどうなろうと知らん。」


と、ヴァニタス。マゼランを取り込んだ事で、圧倒的な魔力を手に入れた。


「自分のリーダーを…」


と、苦い顔をするサキ。


「悪いが、俺は組織の連中を仲間だと思ってはいない。利用できるただの虫けらだ。」


と、笑うヴァニタス。


「お前…!」


と、怒るサキ。仲間を仲間と思わず、虫けらだと言い張るヴァニタスに腹がたった。闇の魔力が怒りに反応して溢れでてくる。


「なんだ?闇の魔力で戦うのか?今のお前じゃ取り込まれるだけだぞ。」


と、笑うヴァニタス。


「そんなもん!!」


と、闇の魔力を溢れさせるサキ。サキの周りに闇の魔力が渦巻き空へと細く伸びていく。


再び戦場にざわめきが起こる。


「気力でいつまで持つかな。その状態が。」


と、余裕を見せるヴァニタス。


縮地方で後ろへと回り込むサキ。

が、ヴァニタスが後ろへと拳を振る。


「っ!?」


と、完全に不意を突いたはずが、逆に不意をつかれて部屋のある方の壁に打ち付けられた。


「ふん、弱いヤツめ!」


と、笑うヴァニタス。


「くそ!!」


と、壁を壊して出てくるサキ。口と腕、足から血が出てきている。


「…、そうだな。大将の意を汲み旧世界を滅ぼしてやる。」


と、船首から巨大な大砲の様な物が出現した。


「な!?」


と、驚くサキ。


「コレを火山にぶっ放せば、旧世界は壊滅って訳だ。」


と、嘲笑うヴァニタス。


「やらせるか!!」


と、魔力を高めるサキ。闇の魔力がサキの姿を変えていく。頭に角、鋭利な爪と尻尾、黒い翼、まるで、悪魔の様な姿へと。


「自ら闇の魔力に喰われるか、“破壊神”!」


と、笑うヴァニタス。


「グウゥゥ…」


と、呻き頭を抱えるサキ。

必死に理性を保とうとする。


「ククッ、その状態でどこまでできるのやら。」


と、ヴァニタス。


「…」


サキが急に海の方へと手を向けた。

その瞬間に、強い風が吹き、方舟が海の方へと流されていく。



「ただ暴走しているだけなのか、自分の意思なのか、まぁどうでもいいがな。」


と、海上に浮かぶ方舟から、空に浮かび上がり、サキを見下ろすヴァニタス。

サキが暴れだした。鋭利な爪を振り回して、方舟を壊していく。甲板は爪痕でボロボロである。


サキが右手に魔力を集中させ、思いきり振り抜いた。風を斬り、巨大な黒い一閃が飛ぶ。

その黒い一閃により、方舟のマストと船長室や船員の部屋が粉々に吹き飛ぶ。



「急に海の方に行ったと思ったら、今度は壊れ出したぞ!」


と、地上の兵士達があわてふためく。

次々と海へ、方舟の破片が落ちていく。


「!」「なんだありゃ〜?」


と、神楽達と兵士達は空に伸びる一筋の黒い線を見上げた。


「やっぱりまた、サキが闇の魔力を…」


と、苦い顔をするカガリ。


「あんなところじゃ止めに行けないよ…」


と、神楽。


「トシキを信じてればいいわ。私達には何もできないんだから。」


と、方舟の方を見つめる霊紗。


「うん、そうだね…」


と、頷き方舟の方を見る神楽達。




サキが思いきり空に掲げた手を思いきり振り下ろした。それに合わせて、手から伸びる黒い一閃も振り下ろされる。

船尾から一気に斬れる方舟。

斜めに傾き、船尾が海の方を向く。海に物がドンドンと落ちていく。


サキが拳を振り上げた。今度はかなりの魔力が集中している。


その振り上げた拳を、思いきり方舟へと振り下ろす。

方舟全体に衝撃が走り、亀裂が入る。

そして、バラバラに砕け海へと落ちていった。大砲だけ無傷で。


「ククククッ!まるでただの獣だな、サカイトシキ!!」


と、宙に浮くサキの前に降りてくるヴァニタス。


「グウゥゥ!」


と、呻くサキ。


「さて、“来るべき戦い”は必ずくる。それまで、闇をコントロール出来るようにしておくんだな。」


と、サキの後ろに現れたヴァニタス。

が、サキはそれに反応し尻尾でヴァニタスを薙ぎ払う。


「ちっ!」


と、舌打ちし尻尾を受け止めるヴァニタス。


「!」


尻尾を受けられたが、右手でヴァニタスを打ち付け、そのまま攻撃に出るサキ。


「うっ!」


と、呻くヴァニタスを気にせず、両手で海へと叩きつける。


水柱を上げて海に沈むヴァニタス。


「…」


と、海を見下ろすサキ。

右手を空に掲げた。

その瞬間に、サキの足元に魔方陣が顕れる。

右手に魔力が集中し、巨大な黒い剣を作り出した。


「あ、あれ…!」


と、神楽が空に浮かび、巨大な黒い剣を持つサキを指差した。


「闇の魔力で姿が完全に変わってる!!」


と、カガリ。


「トシキ…」


と、心配そうにサキの方を見る霊紗。


兵士達も騒ぎ始めた。



急に海からヴァニタスが飛び出して、サキの目の前まで上がってきた。


「…お前とはまだ決着をつける時ではないんでな。」


サキが、黒い剣を投げつけるが、目の前から消えるヴァニタス。


「命拾いして良かったな。」


と、いつの間にか後ろに現れたヴァニタスが、サキへと拳を唸らせる。


「がっ!?」


と、障壁無しでサキは海へと落下していき、水柱を上げた。


「ククッ!じゃあな!」


と、嘲笑い姿を消すヴァニタス。


・・・・・・・・・・・・・・・


海へと神楽達が入っていった。サキが落ちていったため、安否の確認しようとしていた。

それ以外にも、兵士達が数十人海へと入っていった。方舟に乗っていた人たちの捜索である。


「…トシキ!」


と、カガリが海面に顔を出して浮かぶサキを見つけた。気を失っているようで、波に揺られて少しずつ流されていく。


「だ、大丈夫か!?」


と、カガリがサキを腕に抱き顔を叩く。が、反応がない。


「…」


口に耳を近づけてみるが、息をしていないようだ。


「早く陸に上げないと!手伝ってくれ!!」


と、カガリが神楽達に言う。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

旧世界 簡易治療所


サキはベッドの上で落ち着いた呼吸をして眠っていた。

サキが、海から引き上げられ、すぐに治療所に運ばれた。

ベッドに運ばれ、呼吸と心拍を確認したが、呼吸が止まり、心拍が弱まっていた。


水を吐き出させ、人工呼吸で呼吸を戻すのに時間を喰ったが、無事に呼吸が戻り、安定して眠り始めた。


「良かった…呼吸が戻って。」


と、胸を撫で下ろす神楽。


「うむ、流石に焦ったのじゃ。また死なれては困るしの。」


と、サキを見つめるカガリ。


「にしても、戦争が終わって良かったね。」


と、アイギス。


「そうね、敵側に異変が起こりだしてから戦闘が止まったから、助かったわね。」


と、霊紗。


「…結局私達幹部を倒しただけで特に何もやってないよね」


と、苦笑いする神楽。


「まぁそうだけど…」


と、頷く霊紗。


「サキは活躍してたね。」


と、アイギス。


「うむ。敵を纏めて吹き飛ばしたり、魔戦車を破壊してくれたし、方舟を壊してくれた。」


と、カガリ。


「それで充分だ。君たちは兵士ではないのだからな。」


と、ガイが部屋に入ってきた。


「お疲れさまです。」


と、神楽が頭を軽く下げた。皆もつられて頭を軽く下げ。


「よくやってくれたよ、君たちは。援軍が来る前に片付くとは思ってなかったがな。」


と、笑うガイ。


「ん?まだ目覚めんか、君たちの御主人は。」


と、サキの寝顔を覗くガイ。



「かなり無理して戦ってましたからね…」


と、神楽。

闇の魔力を酷使して戦い、最後には海に叩きつけられていた。


「まぁ、今回の戦いの肝はやはり、コイツだったわけだ。」


と、ガイ。


「目覚めたら教えてくれ。」


と、そう言って出ていこうとするガイ。


「…話なら今聞きますよ。」


と、サキが目を覚ましガイを止めた。


「トシキ!」


と、神楽達が声を上げる。ガイも戻ってきた。


「もういいのか?」


「はい…」


と、ガイの問いに頷くサキ。


「…。先ずはお疲れ」


「お疲れ様です」


と、2人。


「それで、戦争は終り、被害を報告する。」


「死亡104人、重傷者200人、と中々の痛手だ。」


と、自軍の被害を言う。


「相手の方は、死亡、重傷者多数、魔戦車全壊。幹部を2人捕縛した。」


「ヤツラの主犯が姿を消した。何か知っている事は?」


と、ガイ。


「死にました。仲間に裏切られて、仲間に殺されました。」


と、うつ向くサキ。


「…そうか、最後にお前と戦っていたヤツがそうなんだな?」


「はい。」


と、頷くサキ。


「そうか、わかった。指名手配にしておこう。名前は?」


「ヴァニタスです。」


「ふむ、わかった。…帰りたくなったら帰ってもいいぞ。後は、我々の仕事だ。」


と、笑うガイ。


「はい、わかりました。もうちょっとしたら帰ります。」


と、サキ。


「…最後に、旧世界を守ってくれた事、感謝する。」


「オレ達もです。」


と微笑むサキ。


ガイが部屋から出ていった。


「中々いいヤツだろ?」


と、外で待っていた少女に言うガイ。日本刀を抱いた、黒い髪を後ろでしばるポニーテイルに、ローブを羽織っている。


「はい…、ただ優しすぎるかと」

と、少女。


「確かにな。」


と、苦笑いするガイ。


「覚えておいて損はないぞ。お前と同じくらい強いだろうからな。」


と、本部へと歩き出すガイ。


「…」


と、サキの方をチラッと見てから、何も言わずにガイの後に着いていった。

今、スマトラ島には戦争の騒がしさではなく、戦争が終わり落ち着きを取り戻し、無事だった事を喜ぶ声に溢れていた。


次の日から、壊れた建物などを直す為、再び戦争と違う騒がしさが戻ってくる。


旧世界は救われた。


海に沈む夕日が、外にいる人々の影を伸ばしていた。


こんにちは。

初めましての方も、いつも読んでくれている方もありがとうございます。

ちょっと間が空いてしまい、すいませんでした。

これで、第一部は完と言う事になります。次から第二部になります。

では、これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ