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彼の進む道  作者: けやき
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闇の化身

旧世界 トバ火山付近


「将軍!魔、魔戦車が出てきました!」


と、1人の兵が慌てた様子でガイに報告した。


「くっ!このタイミングでか!?全兵に魔戦車に気を付けろと伝えろ!できれば破壊せよ、ともな。」


と、向かってくる兵をねじ伏せるガイ。

敬礼をして兵が走っていった。


「…あいつの姿が見えない。ハンパない魔力を持ったヤツと、魔戦車が来たというのに何をしているんだ…!」


と、今の厳しい状況に苛つくガイ。ガイの探しているのはサキ。きづいたら姿が見えなくなっていた。その代わりに、魔力の凄いヤツと魔戦車が出てきた。


ピンチな状態に冷や汗が流れる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アイギス サイド


アイギスはクロエの“ブレイブ”に苦戦を強いられていた。リーチの違いがあるにしても、アイギスにダメージが偏っていた。そこら中に切り傷ができている。


「ヤバイなぁ…」


と、何処か余裕を残しつつも焦りを感じるアイギス。


「はぁ!」


と、目の前をクロエの剣が掠める。


「あぶなっ!!」


と、アイギス。少しでも気を抜けばやられる状態を何処か楽しんでいた。


「流石は鬼族のハーフ。戦うのが楽しいのかい?」


と、剣で斬りつけながらも喋りかけるクロエ。

クロエの言う通り、鬼族は好戦的な種族で知られており、性別関係なしに強い者は強いと、恐れられている種族の1つだった。


「ほっ!」


と、突然アイギスが反撃に出た。

クロエが剣を振った直後を狙って、腹に拳で殴る。


「ぐっ!」


と、振った直後を狙われ、ガードできずに喰らい、腹を抱えるクロエ。


「よっ!」


と、アイギスはその場で軽く跳んで一回転し、踵落としを腹を抱えるクロエの頭に喰らわせた。


クロエは頭から地面に衝突した。

その隙に、背中を狙って拳を振り下ろした。


「くっ…甘い!」


と、手だけで拳を受け止めるクロエ。

ゆっくり顔を上げるクロエ。

口と鼻から血が出ている。


「今のは効いたよ…」


と、アイギスの手を掴んだまま立ち上がる。


「…今のは普通だったら死ぬ一撃だよ」


と、クロエに少し引くアイギス。


「この“ブレイブ”は、使用者の力、守り、速度を上げる私が編み出した術式よ。通常時とは違うわ。」


と、血を拭うクロエ。


「…サキの“旋風の雷”と同じで一種のドービングってわけかぁ。」


と、納得するアイギス。


「例えば…」


と、アイギスを思いきり空高くぶん投げた。


「うわわ!」


と、いきなり投げられ焦るアイギス。


「速さはこんな感じ。」


と、アイギスの頭上に現れたクロエ。


「っ…!」


アイギスが振り向き様に回し蹴りをする。


「守りはこんな感じ。」


と、腕で防ぐ。


「!?」


アイギスは足に伝わった衝撃に驚く。攻撃したアイギスよりも、防いだクロエの方がどことなく余裕がある。


「力はこう!」


と、衝撃でしびれた足をかばうアイギスに、クロエが背中を思いきり拳で打ち付けた。


「あぅ!」


アイギスはすごい勢いで地面に降下していく。


「っっ!!」


と、痛む背中をおして、体勢を空中で立て直す。


足に魔力を集中して衝撃を減らし、何とか着地して上を見た。


「速いなぁ…。勝てるかな…」


と、背中を擦るアイギス。

「アイギスには悪いが、死んでもらう…!」


と、剣を自分の顔の前で構える。


「…そうはいかないよ。トシキの為にも死ぬわけにはいかない!!」


と、アイギス。魔力が集中している。


「…アイツは死んだんだろ?生きてるなんて報告は聞いてないぞ?」


と、クロエ。


「生きてるよ。性別が変わっちゃってるけどね。」


と、アイギス。


「何だと!?…性別が変わってる…!旋風の雷!!」


と、アイギス達の周りにいる女で、サキの事に気づく。


アイギスがニッと笑う。

その瞬間、アイギスが目の前から姿を消す。


「何…っ!」


クロエは腹に痛みが走るのを感じた。


「うあぁぁ!」


と、クロエは後ろに吹き飛ぶ。

アイギスがいつのまにか、懐に入り込み、腹へと一撃入れていた。

クロエは海岸の方へと吹き飛び、ヤシの木に激突して止まった。


「つ!…何だ?何が?」


と、クロエは頭を振り、目の前を見た。アイギスが走って向かってきていた。


「!?」


クロエは驚いた。

アイギスの目が変わっていた。


「…鬼族の目!?」


と、アイギスの目が鬼族の目になっているのに気づく。

普段のアイギスの目は人間と同じだが、ハーフであるため鬼族の目にすることもできるのである。


「鬼族の力を出してきたのか!」


と、クロエが立ち上がり、剣を構える。

そろそろ間合いに入る、と言うところでアイギスが視界から消えた。


「なっ!?」


と、クロエが戸惑った瞬間に横から衝撃が走る。


「おりゃー!!」


と、アイギスがクロエの顔目掛けて蹴りをして、クロエは直撃した。


「ぐあっ!」


と、吹き飛び地面にぶつかるクロエ。


「くっ!」


と、すぐ体勢を立て直して前を見た。アイギスはまたこちらに向かってくる。


目の前で剣を振るがアイギスに当たらない。

それどころか、再び打撃を受けて地面に叩きつけられる。


「“ブレイブ”が、敗れるのか…?」


と、ゆっくり立ち上がるクロエ。


「鬼族の力を甘く見ちゃダメだよ。って言っても、コントロール難しいし、クロエと一緒でドーピングみたいなもんだしね。」


と、アイギス。


「ふぅ…最後の一撃。付き合ってくれるか?」


と、クロエが剣を構える。


「そだね、私も長時間鬼族の力を使えないから、最後の一撃付き合うよ。」


と、アイギスも拳を構える。

周りには戦う音が響くが、2人の間に沈黙が訪れる。


そして、2人同時に動き出し、すれ違う。


「私の…負けだ」


と、クロエが倒れる。


「…へへ、引き分けだよ」


と、アイギスも倒れる。


アイギスとクロエの戦いに幕が降りた。

だが、戦いは未だ収まらない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

霊紗サイド


シュバルツがゆっくりと、霊紗の方へと歩く。

魔力が弱くなっていても生きていては、再び生涯となる。止めをさすために近づいていく。


「縛!」


と、シュバルツが霊紗の方へと近づこうとした瞬間に魔符が周りを囲んだ。


「雷陣!」


と、魔符が雷を放つ。


「ぐっ!」


と、シュバルツが障壁を張るが、全ての雷を防げないため、ダメージを受ける。


「まだよ!」


と、雷が弱まった頃にボロボロになった霊紗が出てきた。


「炎陣!」


次は炎に包まれたシュバルツ。


「…防ぎきれん」


と、苦い顔をするシュバルツ。


「風陣」


今度は鎌鼬に切り刻まれる。


「くっ…」


「最後はコレよ!炎氷風雷陣!」


と、今まで使った符陣を合わせた術で決めにいった。


「はぁはぁ…」


と、霊紗は満身創痍の状態で肩で息をしている。


「立ち上がらないでよ…」


と、祈るように言う。術で煙が上がり、シュバルツの姿は見えない。


「…嘘でしょ!?」


と、煙が開けてシュバルツが立っているのが見える。

霊紗が使ったのは、普通の魔符ではなく、予め魔力を込めて強力になった、数少ない魔符である。言わば、切り札と言っても間違いじゃない。


「…今のは効いたぞ、小娘。」


と、レンズの割れた眼鏡をかけなおす。


「やばい…、ダメージを受けすぎて、長期戦が厳しい」


と、霊紗。


「すぐ楽にしてやる。」


と、ボロボロになってはいるが、本として原型を保つ魔法媒体を開く。


シュバルツの魔力が集中する。


「おわっ!」「…!」


と、霊紗が背中を押され地面に倒れた。


「…何よ、一体」


と、自分の上に乗っかっている物を見る。


「くぅぅ!おのれ!!強いではないか!!」


と、カガリが自分の上で前を睨み付けている。


「ちょっと、どきなさいよ!」


と、霊紗。


「む?何じゃ、霊紗か。」


と、やっと霊紗からどくカガリ。


「…ボロボロじゃな。」


と、霊紗の姿を見て言う。


「うっさいわね。あんただって、向こうから飛んできたじゃない。」


と、霊紗。


「サキが吹っ飛ばされて、化け物1人で相手しないといけないんじゃ。」


と、カガリ。


「…じゃあ、アイツ倒すの手伝ってよ。そしたら、私があれ倒すの手伝うから。」


と、霊紗。満身創痍の自分1人より、2人のが倒せる可能性があると思う。


「…ふむ、まぁよかろう。」


と、頷くカガリ。

霊紗が満身創痍で長く保たないのはわかっていたが、1人で戦わせるよりは、と思うカガリ。


「アイスニードル」


と、話のきりがついた時に氷の針が数発向かってくる。


「何じゃ、この程度。」


と、カガリが手を前に出し無詠唱でファイアーボールを放つ。氷の針にファイアーボールが当たり、溶かされシュバルツの方へと軌道を変える。


「何!?」


と、シュバルツは後ろに跳んでかわす。


「まだじゃ!フレイムシュート!!」


と、ファイアーボールよりも速く大きい火の球が数個シュバルツへと向かう。これも、無詠唱である。


「ちっ!」


と、横に跳び障壁で防ぐ。


「では、これはどうじゃ?フレイムエッジ!!」


と、またまた無詠唱で炎が爪状となり、高速でシュバルツを襲う。


「つ…!」


と、シュバルツの体を裂く。


「当たったのう。」


と、意味深に笑うカガリ。


「我が従えし炎の精 極炎を纏いて 邪なる咎人を断罪せよ 、イグニストジャッジメント!!」


と、カガリが詠唱した。


その瞬間、シュバルツの体の中心から炎の塊が顕れ、縦横に巨大な火柱を作り出した。まるで、十字架のように。


「ぐあぁぁぁぁぁ!!」


と、シュバルツ。


「すごっ…」


と、霊紗がポツリと溢す。


「ふん、こんなもんじゃ。」


と、カガリ。

完全にシュバルツは伸びている。


残る幹部はマゼランとヴァニタスのみである。


「問題はヤツじゃ…」


と、カガリが苦い顔をする。


マゼランがゆっくりこちらに近づいてくる。まだ距離はあるのに、魔力と気迫がビリビリと伝わってくる。


「…あんなのと戦ってたの?あんた」


と、苦笑いする霊紗。

マゼランに気迫負けしてビビり気味だった。


「うむ、戦っていたがどうも私だけじゃ無理なんじゃ。」


と、カガリ。


「…でも、今の私じゃ足しにもなりゃしないわね」


と、満身創痍の霊紗。


「…サキが居ればちょっとは違うんじゃがな」


と、カガリ。

吹き飛ばされたまま帰ってくる気配のないサキ。


「そんなこと言ってらんないわよ。もう来ちゃってるし…」


と、苦い顔の霊紗。

マゼランが2人の前で止まる。


「シュバルツ…私の仲間を次々と倒してくれたようだな」


と、マゼラン。その場にいる幹部はマゼランただ1人。後は、皆やられてのびている。


「まさか、幹部が全滅か…しょうがない。私がまとめて消すしかないようだな。」


と、マゼランが拳と拳を打ち付けた。低い大きな音を鳴らせ、空気がビリビリと振動して、霊紗達を襲う。


「くっ!」


と、霊紗達は顔の前に腕を持って防ぐ。


「…行くぞ!」


と、マゼランが一瞬で消える。


「!?」


2人はマゼランを完全に見失った。

辺りを見回そうとした瞬間にカガリが吹き飛んで、地面に倒れ少し地面を擦る。


「カガリ!」


と、霊紗。

カガリがゆっくり立ち上がる。


「くっ…!」


と、口から出る血を拭うカガリ。


「…あ、当たれ!」


と、霊紗が光の球をマゼランへと飛ばす。


「その程度…」


と、マゼランが右手を前に出し、勢いよく右に振る。


「!?」


その瞬間に、数個あった球は一瞬で消え去った。


「ふん!」


と、霊紗が戸惑う隙に懐まで入り、腹に拳を唸らせる。


「あがっ!」


と、霊紗が上に吹き飛ぶ。

マゼランが霊紗の吹き飛ぶ先へ回り込み、両手を合わせて振り上げる。



「ふん!」


と、霊紗が飛んでくるタイミングを合わせて思いきり振り下ろす。


「!」


と、霊紗の声にならない悲鳴と共に地面へと一直線に落下する。


「れ、霊紗!!」


と、やっと立ち上がれたカガリが叫ぶ。


「っ…」


と、何とか体勢を立て直して、衝撃を和らげようとした。


「甘い」


と、いつの間にかマゼランが落下点にいた。


「!」


と、霊紗が絶望したが、物理障壁を展開する。


「はあぁ!」


と、霊紗へと拳を打ち込む。


「!」


障壁を簡単に破壊し霊紗を地面に叩きつける。


「霊紗!!」


と、カガリが叫ぶ。


「…終わりだ。」


と、マゼランが霊紗の髪を掴み持ち上げる。

まだ、かろうじて生きているが、次を喰らえば本当に死んでしまう状態だった。


「やめろ!霊紗が死んでしまう!!」


と、急いで霊紗へと駆け寄ろうとするカガリ。


「安らかに眠るがよい」


と、意識のない霊紗に止めをさすため拳を握り魔力を集中するマゼラン。


「やめろー!!」


と、カガリが叫ぶ。

マゼランが拳を振ろうとした時、


「ぶっ!?」


と、マゼランが急に吹き飛んだ。地面に手をつき、すぐに体勢を立て直して前を見るマゼラン。

そこには、霊紗を腕に抱いて立つサキがいた。


「…サキ!」


と、カガリが泣きそうに駆け寄ってくる。


「…霊紗、こんなにボロボロになって…、ゴメンね、遅くなって。」


と、霊紗の顔につく土や血を拭い、治癒魔法を使う。簡単な応急処置程度しかできないが、ないよりはマシである。


「ん…?」


と、霊紗がゆっくり目を開けた。


「サ……キ…」


と、霊紗がサキの頬を触る。手に力を感じず、震えている。


「もう、大丈夫。神楽が治してくれるから」


と、遅れて神楽がウンディーネを連れて走ってきた。

サキも神楽に治療してもらったのである。


「サ…キ……」


と、涙を流す霊紗の意識が途切れる。


「霊紗…」


と、サキが霊紗の涙を拭い、抱く腕に力を入れる。


「サキ…」


サキが体を震わせる。


「生きていたのか、旋風の雷。そのままね」


「黙れ!!」


と、サキがマゼランの言葉を遮った。優しく霊紗を地面に寝かせた。


「サキ…?」


と、霊紗に駆け寄る神楽が今までに見たことも聞いたこともない状態のサキにビビる。


「…ぇ……さねぇ…許さねぇ!!」


と、みるみる間にサキの魔力が高ぶっていく。


「!ダメじゃ、サキ!そんなに魔力を上げたら“戻ってこれなくなる”ぞ!!」


と、サキへ叫ぶが、聞いていない。


「許さねぇ、許さねぇ、絶対に許さねぇ、殺してやる、殺してやる、殺してやる!!」


と、次第に闇の魔力が混じり出す。


「闇の魔力!」


と、マゼラン。


「よくも霊紗を…、絶対に殺してやる」


と、サキ。魔力がサキを取り囲んだ後、サキは構えもせずにただ立っていた。


「が!?」


と、マゼランが腹に痛みを感じる。いつの間にか、サキが目の前に現れていた。が、次の瞬間にはいなくなっていた。


「な!?」


と、マゼランが身体中に痛みが走るのに戸惑う。

サキが目に見えない速さで、マゼランに攻撃を続けていた。ふいにサキが目の前に現れた。

右手に魔力が集中しており、雷と風が付加されている。


「くらえぇ!!」


と、マゼランの顔面を思いきり殴り付けた。


鈍い音をたて、頭から地面に倒れ周りの地面をへこませた。


「我が従えし 闇の精 吹きすさぶ嵐纏いて 敵を斬り裂け」


と、距離を開け詠唱するサキ。足元に魔方陣が顕れる。


「デモンズサイクロン!!」


巨大な黒い剣が竜巻を纏い、周りに黒い剣が四本浮かんでいる。


「くっ…、全く見えないだと!?」


と、驚きつつも立ち上がるマゼラン。

だが、その時には小さな剣がマゼランの足元に四本とも突き刺さっていた。


「なんだ、これは?」


と、剣を手に取ろうとした瞬間に魔方陣が顕れた。避けようと、後ろに避難しようとするが、魔方陣から外に出れない。


「く…!旋風の雷」


と、自分に向かって来ようとするが、無情にも巨大な剣が向かってくる。


途中から一気に速度を上げ、マゼランへと突き刺さる。

突き刺さり、竜巻がマゼランを襲う。


「…」


神楽達は呆然と目の前で起こった事を見ていた。

さっきまで戦っていたカガリまでもが言葉を無くしていた。


「…立てよ!まだ死んでないんだろ?殺してやるから速く立て!!」


と、右手に黒いエレメンタルブレードを持ち、挑発するように左手を出す。


「く……ふん!」


と、刺さった巨大な剣を打ち消し立ち上がるマゼラン。


立ち上がる頃にサキはもう消え、マゼランの真後ろにいた。


「散れ」


と、マゼランの後ろから前に歩いた。


「何?」


と、マゼランは何が起こったかわからなかった。

が、次の瞬間にはマゼランに無数の切り傷ができた。


「何なのだ…一体」


と、戸惑い地面に膝をつくマゼラン。


「す、すごい…」


と、神楽が感嘆の声をもらす。


「!し、しまった!!ダメじゃ、あのままじゃ闇に呑まれてしまう!!トシキ!力を抑えるんじゃ!!」


と、叫ぶカガリ。呆然と見ていて、途中でハッと我にかえった。


「ど…どういうこと?」


と、神楽の治療でかろうじて喋れる様になった霊紗。


「どうもこうも、あの姿を見てみるのじゃ!」


と、サキを指差した。神楽達は指差された方を見た。


「!」


サキの頭、腕、手、背中、膝、つま先に黒い魔力が集中している。

まだ薄くだが、赤のメッシュが、黒色に染まって腰まで伸び、腕から手にかけ黒く染まり爪のように伸びる。背中からドス黒い翼の様な物が生え、膝からつま先にも腕から手と同じような状態になっている。


「あれがハッキリしてくる前にサキを止めないとマズイのじゃ!我を無くして暴れる化け物と化す!!」


と、カガリ。


「でも、どうやって止めるの!?」


と、神楽。


「…前はお婆が止めてくれたのじゃが、お婆は死んでしまった。」


と、カガリが俯く。


「お婆さんはどうやって止めたの?」


と、神楽。


「お婆はサキよりも強い魔力でねじ伏せて落ち着かせておった。」


と、カガリ。


「…手段はともかく、落ち着かせて我に返せれば良いのね。自我があるうちに。」


と、霊紗。


「うむ、そういうことじゃ。しかし、あの状態になっているって事は自我がかなりなくなってきているのじゃ。」


と、カガリ。


そうこう言っているうちに、立ち上がったマゼランをサキがボコボコにしている。


「や、ヤバイのじゃ!」


と、カガリ。闇の魔力が濃くなり始めている。


「ウガアァァァァ!」


と、サキが雄叫びを上げた。

その瞬間、周りの魔戦車が次々と壊れていき、敵味方関係なしに雷が降り注いだ。


「自我が無くなってきた…!」


と、神楽。

そんな時に、地面が光る。


「ま、まさか!?」


と、雷が3人にまで降ってきた。3人は思わず目をつむる。


「……?」


と、 何も起きないのにゆっくり3人が目を開けた。

雷は降り注いでいるが、さっきと違い、味方には降っていない。


「まだ、自我がある!私が行ってくる!!」


と、カガリが走り出した。


「カガリ!」


と、神楽が叫ぶが、カガリは聞いていない。


「トシキ!!」


と、カガリが叫びながら走る。


「…!」


と、サキがカガリの方を見た。


「落ち着くのじゃ!そのままじゃ皆死んでしまう!!」


と、カガリ。


「!…うっ」


と、サキが頭を抱えた。


「ふん!!」


と、その隙をつきマゼランがサキの腹を殴り付け、サキが宙に浮く。

そのまま、両手を合わせて組み、思いきりサキの腹へと振り下ろした。


「うっ!!」


と、サキが呻き地面に叩きつけられ、周りを陥没させて倒れた。


「サキ!!」


と、カガリが近寄る。闇の化身となりかけたままサキは気を失っている。


「くっ…全てが予想を遥かにこえてしまった。」


と、周りを見ながらマゼランが呟いた。その時、赤い信号弾が方舟から放たれた。


「!やっとか。」


と、信号彈を見たマゼランが方舟へと走り出した。ボロボロなはずなのに、余裕がまだ残っている様だ。


「あんなにダメージ受けたのに、まだ動けるなんて」


と、カガリが唖然としていた。


「マズイぞ!方舟が離陸準備に入った!空へ出られたら手が出せなくなる!!」


と、カガリの方に来たガイが言う。


「でも、もうまともに動ける者が殆どいないのじゃ…!」


と、カガリ。


「…オレが行く。」


と、サキがゆっくり体を起こした。


「!無理じゃ!そんな状態では!」


と、止めるカガリ。


「行くよ。オレがやらないといけないんだ。」


と、立ち上がり方舟へと歩き出すサキ。


「サキ!!」


と、カガリ。だが、サキは振り返らずに方舟へと一直線に向かう。


「!…」


と、体の傷がちょっと回復したのにきずくサキ。


「無理しないでね」


と神楽が遠くから回復魔法をかけてけれた。


「…」


そのうでに抱かれて此方を見ている霊紗。

サキが、微笑みその場から消えた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

方舟


マゼランがズタボロの状態で舟へと戻ってきた。


「マゼラン様!」


と、中に残っていた兵たちが近寄ってくる。


「…問題ない。舟を離陸させろ。」


と、マゼラン。


「は、はい!」


と、兵が離陸のため、操舵室へ向かっていった。


「…ふぅ、まさかここまで傷を負わされるとはな」


と、マゼランが全身を見た。そこら中に傷があり、服もボロボロである。


「…闇の魔力無しで戦ってみたかった」


と、マゼラン。

舟全体が揺れ、動き出す。

舟が離陸した。


「…なら続きやるか?」


と、後ろから声をかけられた。


「…いつのまに上がってきたのか知らんが、闇の魔力が消えた様だな。」


と、マゼラン。


「あぁ、おかげさまでね。」


と、嫌みっぽく笑うサキ。


舟はドンドン高度を上げる。


「もう戻れん。ここに来たことを後悔させてやろう!」


と、マゼランが拳を構える。


「オレはあんたに、後悔以上に絶望を味わわせてやる!」


と、サキが両手に黄色のエレメンタルブレードを持ち、構えた。左目が赤、右目が黄色の二重換装。


今、サキとマゼラン、旧世界の生死をかけた最後の戦いが起ころうとしていた。

こんにちは。

やっと執筆できました。新作も制作中になっているので、しばらく更新が遅れます。新作の方にも力を入れていくので、よろしくお願いいたします。


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