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『僕が死んだ日の君は』  作者: 黛 栫ヰ
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彼女と僕と。

 初めて彼女と話したのは中学校2年生にあがったばかりの時だ。偶然隣の席になり、「名前、なんて言うの?」と話しかけられた。「梶ヶ谷(かじがや) 颯希(さつき)だよ。君は?」そう答えると、「篠崎(しのざき) (かなで)、すごく気に入っている名前なの」と微笑(ほほえ)まれた。きっとそこからだろう、彼女を見ると気持ちが高鳴るようになったのは。

 僕はその気持ちがなんなのか知っていた。そう“知っていた”んだ。彼女と話すたびにこの気持ちがなんなのか分からなくなっていった。休みの日には遊びにも誘ってみた。快くOKの返事をしてくれて、一緒に遊びに行ったのだが、楽しそうに笑う彼女に少しの影が視えた。全てをその色に染めてしまうような影の色は彼女を(むしば)んでいくようだった。

 それから時間が過ぎ、新学期がはじまって半年が過ぎようとしていた頃、僕は、彼女の事を「笑顔が素敵な素直な子」と思っているのだが、不意にクラスのみんなから彼女はどういう風に見えているのか気になって聞いてみた。僕の親友と言える存在である(はる)は、「なんかちょっと冷たいとこあるよな」と、他の男子は「大人しくね?」や「真面目だよな」などと僕のイメージとは違う答えが返ってきた。逆に女子からは「篠崎?元気だよ!なんか元気過ぎて手に負えないっていうか…」「なんかお母さんって感じ!」そんな答えが返ってきた。みんなからの印象が違うものばかりで、篠崎奏という人物が何人もいるかのような錯覚に(おちい)ってしまった。

 それでも彼女はいつもと変わらず、「おはよう」と笑顔で話しかけてくる。


僕は本当の彼女が知りたくてたまらなった。一体どんな人物なのか。どんな生活を送っているのか、友好関係はどのようなものか。




果たして彼女は僕と同じ人間なのだろうか。


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