昼終わり前の再びのお客さん
さてさて時計の針はもうすぐ13時に
なろうとしていたその頃、
小料理屋アコの店内では祭りを終えてお腹いっぱいの子供達と役員達が
全員【ごちそうさまでした~】と
そういって店のドアをガラガラ
と開けて暖簾をくぐって
店を後にしていく
広志【ありがとうございました~
またどうぞ~】
アコ【ありがとうございました~】と
お客が見えなくなるまで見送る
広志【それじゃあ、ぼちぼち閉める
かね】と後片付けしながら
話している
そうしていると反対側から
矢野【こんにちは~
まだ、大丈夫ですか?】と
暖簾をくぐり抜けて店のドアを
ガラガラと開けて、
店の中の様子を伺っている
アコ【大丈夫ですよ?どうぞ】
矢野【ありがとうございます】と
店に入りカウンター席に
座っていく
それに続いて…
桜木【こんにちは!まだ大丈夫ですか?】
と続いて暖簾をくぐり抜けて
店のドアをガラガラと開けて、
店の中の様子を伺っている
矢野【大丈夫ですよ!
自分もこれからですから】
広志【いらっしゃい!てか拓海~
お前さんが言うなよ】と
ぼやきながら調理を始める
矢野【まあまあ良いじゃないですか】
とたしなめている
アコ【それにしても今日は
どうされたのですか?】と
コップに入れた水とおしぼりを
手渡す
矢野【友人の結婚式の打ち合わせの
帰りですよ】
広志【その妹を狙い続けてるヤツが
何を言うか】
アコ【お父さん!】とたしなめている
桜木【妹?】
広志【忘れてたよ隼坊いるの】
桜木【隼坊って】と驚いている
広志【拓海は友人の妹を狙い、
隼坊はウチの娘を狙っている
じゃないか!】
アコ【焦れったいのよね~
いい加減に告白しなさいよと
思うんよ~どこかの馬の骨も
知らゆヤツに取られても
ええんかいな】と言いながら
桜木におしぼりと水の入った
コップを手渡している
広志【アコ!アコ!口調が口調が】と
落ち着くようにアコの肩を
叩いている
アコ【あらら…すみませんね~】と
落ち着きを取り戻す
矢野【いえいえ事実ですからね、
それにしても日曜日は
休みではなかったのですか?】
アコ【今日は地区のお祭りでね
特別に開けたんですよ】
桜木【日曜とか稼げそうなのに
不思議な感じですね~】
アコ【宵闇の金は持たずに限るのよ、
それに健康でないと
いけないからね】
広志【アコ!あがったよ‼】と
出来上がった料理を
盛り付けている
アコ【は~い‼よっこらしょ】と
おぼんを持ち上げて運ぶ
アコ【はい、お2人さんお待ちどおさま
めしあがれ】とカウンターに
置く
桜木【はい!いただきます】
矢野【いただきます】と割り箸を
割り一口食べると…
桜木【美味い!】と満面に笑みを
浮かべている
矢野【さすがです】
アコ【それは良かった】
桜木【それでは今日はなかなか
珍しい事なんですね】と
モグモグしながら話している
広志【確かにな~後は盆踊りの時に
話が来なければな】
矢野【盆踊り?】
アコ【来月はどの地区でも
盆踊りはあるのよ】
矢野【時間あれば行きたいですね~】
アコ【その時は例の方も連れてきて
ほしいんだけとね~】
広志【あの時の叫びのような歌声は
なかなかないわな~
酒飲めない人間がわずかでも
酒飲むとああなるという事を
実感したよ】と思いだした様に
振り返っている
矢野【そんなにひどかったですか?】と
少し苦笑いしている
初めてこの店に来た矢野は
ベロンベロンに酔っぱらい
突然号泣しながら歌い出したのだ
悲しげに咲く花に 君の面影を見た
大好きな雨なのに
何故か今日は冷たくて
淡く儚く 夜に揺られて
溜め息一つ 堕ちた花びら
月の欠片を集めて 夢を飾り眠る
時の砂散りばめても
あの頃へ 還れない
ふと見上げた星空
また君をさがしてた
いくつ夜を越えれば
涙は“強さ”になる?
季節は巡り 森は染められ
風は奏でて 想い溢れて
逢いたくて 愛おしくて
触れたくて 苦しくて
届かない 伝わらない
叶わない 遠すぎて
今はもう 君はいないよ
散り逝くと知る 花はそれでも
強く生きてる 色鮮やかに
月の欠片を集めて 夢を飾り 眠る
時の砂散りばめても
あの頃へ 還れない
逢いたくて 愛おしくて
触れたくて 苦しくて
届かない 伝わらない
叶わない 遠すぎて
今はもう 君はいないよ
広志【確かグループ名は忘れたけど
月光花っていう曲だった
ような】
矢野【ジャンヌクルマの歌ですね~】
桜木【そんな歌あるんですね~】
アコ【桜木さんがこういう歌を
唄う事がない事を祈るわ】
広志【それで幸の所には行って
いるんだろう、幸から店に
来た~って興奮して
電話来たぞ~】
桜木【行ける時には行かせて
もらってます】と少し
照れながら話している
広志【果たして夏に進展はあるのか
だな】
アコ【早く食べちゃいなさい
冷めちゃうわよ】
桜木【ありがとうございます】
矢野【頑張ります】と
2人は再び箸を動かして
みんなでたわいのない話を
しながら、食べ終えたので
あった




