第百十四部 第六章 スリムなドラゴン
その巨大な猛爆攻撃の猛煙の中から、切り抜けるように肘に刃のついたスリムなドラゴンが爆龍王ゴウオウに斬りこんでくる。
背のサイズは同じだが、異様に早い。
爆龍王ゴウオウがすんででその肘からの刃のエルボーによる切りつけを避けるが、そのスリムなドラゴンは畳みかけるように華麗にジャンピングしての立蹴りを爆龍王ゴウオウを食らわせた。
「「「「「おおおおおおおおっ! 」」」」」」」
全員がどよめく。
確かにゴ〇ラのようにむっくりとした爆龍王ゴウオウも悪くないのだが、しゅっとしたドラゴンの素早い動きを見ていると、向こうの方がカッコいい。
爆龍王ゴウオウが体重を乗せたストレートを打ち込むがスリムなドラゴンは回し蹴りで捌いた。
「マジかよ」
「カッコいい」
「すげぇぇぇぇ」
俺と国王達狂乱。
爆龍王ゴウオウが尾を使って横なぎするが、それすらジャンプして避けると、ドロップキックのような攻撃をスリムなドラゴンが爆龍王ゴウオウに食らわせる。
「よっしゃあああ! 」
「いけゃああああ! 」
あまりの見事な攻撃に俺達は拍手喝采である。
「あ、あれ、敵だよね」
レノー・エドガール・マティアス・ローチルドさんが動揺して俺達に突っ込む。
だが、あまりにもスリムなドラゴンの高度な格闘能力を見て俺達は止まらない。
「行けっ! その鈍重なドラゴンを潰せっ! 」
スリムなドラゴンが爆龍王ゴウオウの裏拳をしのぐとバックドロップをスリムなドラゴンが仕掛けて爆龍王ゴウオウを投げ倒した。
「よっしゃああああああ! 」
皆がガッツポーズだ。
「いや、敵だよね」
「敵を応援してない? 」
他の神族の長老達が動揺している。
「ちよっと、いい加減にしなさい」
母さんが俺達全員に注意を即す。
仕方ないので俺達が黙った。
「あの……」
アオイが俺達に話しかけて来た。
「どうしたの? 」
俺がアオイに聞くとアオイがもじもじとした。
「爆龍王ゴウオウさんが何となくお前等喜んで無いかって言ってますが……」
流石だ、爆龍王ゴウオウ。
こちらの空気を読むとは。
「いやいや、まさか。皆で応援しているよ」
俺が笑顔で答えると国王達が頷いた。
「ええと……」
「そんな事を気にせず頑張ってくれと言ってくれ」
俺がアオイに微笑みかけた。
「さっきまでのお前を褒め称えていた雰囲気が消えるんですけど」
スカーフェイスが突っ込んできた。
長老さん達、引き気味。
悪人正機が台無し。
仕方あるまい。
だって、あのスリムなドラゴンがカッコいいんだもの。




