第百十四部 第四章 奇跡
壁の破壊されたところから、ニ十メートル級のカマキリやドラゴンが次々とこちらの世界に乗り込んで人を襲い始めた。
「まずい」
「なんて事だ」
神族の長老達から困惑の声が漏れる。
フォログラフィーの中で次々と悲鳴を上げて人が食べられていく。
「こ、これは? 」
母さんが国王達に振り返る。
「元々、人間を食べるのが大好きだった連中を我々が封鎖していたのだから、こうなるのは当然だ」
国王が首を静かに振った。
「まずいな。封鎖区域は食料が少なかったから、あまり繁殖はしていはずなのだが、こちらの世界の人間を食べて食料が増えるのなら、間違いなく繁殖するぞ」
カルロス一世が呻く。
「ど、どうすれば良いんだ? 」
「とりあえず、我々も協力しよう」
困惑しているレノー・エドガール・マティアス・ローチルドさんに国王が提案した。
その時だ。
悲鳴を上げている子供が食べられようとした時に奴が来た。
軍曹である。
軍曹はドラゴンや巨大なカマキリをものともせずに捕食していく。
それも続々と軍曹が現れて、戦いを始めた。
「「「「「「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお! 」」」」」」」」」」」
流石、僕らの軍曹だ。
カマキリを捕食しながら、ドラゴンを足で突き通したり、大活躍だ。
「何という事だ。あの巨大蜘蛛が救ってくれるとは」
ジョン・F・ロックフォードの親父さんが感動している。
「はっ、まさかっ! <終末の子>はこれを予想して蜘蛛たちを巨大化させて送り込んだのか? 」
中国の神族の長老が叫ぶ。
「何という事だ」
「恐るべき慧眼」
神族の長老達に称賛の輪が拡がっていく。
「ど、どうなのだ? 」
ジョン・F・ロックフォードの親父さんが聞いてきた。
「あのバッタも実はあの封鎖区域のバッタだったんですよ。それで私が警戒して軍曹を大量にばら撒いて置いたんです」
俺がきりりと適当な大嘘を答えた。
「そ、そうだったのか……」
「我々は君を誤解していた」
「素晴らしい」
軍曹が次々と迎撃するのを見て、神族の長老達が感動している。
ちなみに、俺の周りの皆は無表情だったが。
「ふふふふふふ、分かったか」
親父がポンと俺の肩を叩いた。
「え? 」
俺が不思議そうに聞いて、はっと前回の話を思い出す。
悪人正機。
まさに、それだ。
本当の意味は違うけど。
「皆から悪い評価を得ているものが、良い事をすると百倍返しだ。この凄さを見ろ」
親父が俺にさわさわと囁く。
「凄いや親父……。本当だ」
俺が目をウルウルさせた。
だって、皆が褒めちぎっているんだもの。
母さんが小さなため息をついてたが。
それは無視しよう。




