第二十三話 そうだ、キャピリス行こう
前回の後書きで10月か11月に更新すると言っておいて何たる体たらく。申し訳ないです。あと、あけましておめでとうございます。
キャピリス、それはピールスリン周辺諸国の中でも古くからある街であり、観光名所としての人気は高い。そして、そんなキャピリスに太郎、アマラ、カルラ、ステフィーの四人は途中ウィズインの船に乗ったりしながらも到着したのだった。
「んー。着きましたねー。なんかあの山小屋を発ってから5ヶ月くらい経った気がします」
カルラは観光都市キャピリスに到着して興奮しているのか、伸びをする。
「気のせいじゃない?」
カルラの気の迷いに太郎は軽く突っ込みを入れてキャピリスの街を見渡した。
「うむ。ここは人が集いやすい。我が神託を庶民に聞かすには──」
「キャピリスのパワースポット巡りをしましょう」
「いや、その前に会談だ。色々あって今日の夕方なんだ」
カルラがガイドブックを手に入れて観光気分のようだが、公務でここに来ている。太郎の説得にアマラとカルラはどうやら納得してくれたようだった。ステフィーのことは目もくれていない。
「で、その会談場所ってのはどこなんですか?」
会談場所というのは警備が厳しい。逆を言えばそれだけ注目されやすい建物であり、少なからず近隣は栄えていることがある。アマラはそれを逆手に取ったのだ。
「えーっと……」
太郎はオットーから貰ったしわくちゃの紙を取り出した。
「うん。読めない」
結局アマラが読むことになった。代金は交渉した結果、公務が終わった後に全額オットーから毟り取ることで合意した。
「えー。キャピリス国際会館という場所ですね。街中にありますが、公園とも隣接しています。中々に良い場所ですね。ですが、ここから少し歩きますね。めんど」
「どうしようか、適当な馬車でも拾う?お金は……あれ」
太郎は自身の所持金を確認するが、入っていなかった。太郎はすられたことがあるので警戒を怠っていないはずなのだが、いくら探しても出てこない。途端に顔中から汗が吹き出し、カルラに向かって華麗なスライディング土下座を決めてみせた。
「カルラ様。どうかお恵みを──」
だが、カルラは他の方を向いているようだった。地面への接吻を止め顔を上げると、カルラは自身の金でどうやって持っているのか知りたくなるような位の大量のパンを購入していた。
まあ、パンなんて安いだろうと思い隣りを見ると、アマラが固まっていた。
「パン1斤500ネス……!?」
一体誰が買うんだと思っているのだが、実際カルラが買ってしまっている。そして、その呟きを聞いた太郎も同様に衝撃を受け、項垂れる様に体勢を五体投地に戻した。
「あれ?太郎さん。どうしたんですか?地面と接吻なんかして」
「あのだな……。ああ、カルラ様。私は──」
「うむ。我を敬うにしては中々に土下座が──」
突如現れたステフィーに太郎は華麗にボディブローをかまし、吹き飛ばすと元の体勢に戻った。
「ああっカルラさまっ。どうかどうかこの哀れな子ヤギに山吹色のお菓子をお恵みくだされ……」
「太郎さん、お金ですか?ちょうど今この超高級パンに全財産注ぎ込んできたんでないですよ?」
「……」
太郎は五体投地の体勢のまま凍りついたように固まった。カルラは何が起こったのか理解することもできずただ動かない太郎とアマラを、そして通行人に片っ端から話しかけて煙たがられているステフィーを見ていた。
「また私何かやっちゃいました?」
珍しくカルラがボケてみたが、状況は何も変わらない。五体投地をやめた太郎が、空気を変えようと提案をした。
「と、とにかくお金がないのなら仕方ない。キャピリス国際会館まで歩いて行こうか」
アマラとカルラは納得してくれたようで、歩きながら四人はキャピリス国際会館まで歩いていった。訓練を受けていたカルラには何事もないが、アマラは最近慣れてきたとは言えきつそうだ。おまけにステフィーがずっと何かを言っているため精神的な疲労もまた厳しい。
「はぁ。はぁ」と、明らかに疲れた様子のままキャピリス国際会館へと到着した。キャピリスだけではなく、様々な国際条約が締結されるということもあり立派な外観をしている。
「我が世界中から崇められるようになったとき、また来るかもしれぬな」
「取り敢えず休憩いいですか?」
アマラは太郎に確認を取ったが返事を待たず近くの木の根に腰を下ろした。そろそろ会談が始まるが、すぐに始まるわけではない。休み終わってから、会談場所へ移動するにしても決して遅くはないのだ。太郎もアマラに同調し、近くの木の根に腰をおろすが太郎が休まることはなかった。
何やら良からぬ気配が徐々に近づいてくるのだ。太郎はすぐに立ち上がると周囲を確認する。
「もしかして、君が太郎さんかい?」
太郎は自身の名前を知っている人物に対してあからさまな警戒心を出した。
「僕はピールスリン新政府より派遣された外務大臣だが残念だ。君たちは交渉の相手に対しあからさまな警戒心を向けるのかい?」
外務大臣の言ったことは正論であり、渋々太郎は警戒心を解く。
「じゃ、君たちは疲れているようだからまだここで休んでいるといい。じゃ、会談を楽しみにしているよ?太郎さん」
そう言って外務大臣は国際会館の中へと優雅に入っていった。
展開が明らかに遅いのでかなり飛ばして進めます。年内には内戦編は終わることでしょう(二度目)。




