表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/30

第十七遭遇

「ぶほっ!」


怜奈は女の子らしくなく声を出して、後ろに倒れた。


「「あ……」」


雄夜と金髪の女は声をあわせて、思いもよらない出来事に驚いていた。


「えーっと、どうする?」


雄夜が頬をかきながら、金髪の女に問いかける。


「ど、どうもしねぇよ!な、殴るぞ!」

「まてまて、なぜ暴力になるんだよ」


雄夜は両手をあげながら言った。


「笑ったのは本当に悪かった。でも、なんであんなことしてたんだ?」


すると、金髪の女は頬を朱色に染めながら俯く。


「いや…実は……アタシさ…宇宙人信じてんだよ…変な人だろ…?」

「いや、俺の近くにいる人よりは全然まともだ」

「は?なに言ってんだ?」

「だから今ここに、誰かに殴られてのびてるやつのこと」

「こいつのことか?」


金髪の女が怜奈を指差す。


「まぁな…」

「なんで?」

「こいつは自称異星人の娘だ」

「………はぁ?」


金髪の女はそのあと、溜め息をした。


「そんじゃあその女の持ってる袋の中身は?」

「お前と同じ宇宙人のグッズ」

「ぷっ、アタシより変だな」


雄夜は「そうだろ」と言って、怜奈に目を落とす。その目は憐れみの目だった。


「やっぱり、笑っちまうよな」


金髪の女はクスクスと笑い始めた。しかし、その笑いはすぐ止み、溜め息をして、雄夜のことをみる。


「まぁ、そんなことはいいんだよ。なんで、前にわざと殴られた」

「なんでそっちの話しになった!?」

「覚えがあるのか。そんじゃあ続きをしようか」

「まてまてまてまて!!なんで喧嘩になんだよ!」

「うざいのは全員潰す」


金髪の女は指の間接をポキポキと鳴らし、さっきまでの雰囲気が変わり、雄夜すら寒気がした。普通なら雄夜は喧嘩で寒気はしない。むしろ、楽しくてラリってしまう。


「おい、こいよ」


静かに、そして、どす黒く、金髪の女は声を発した。


金髪の女はゆっくりと構えにはいる。その構えはどの格闘技の種目にあてはまらず、そして、隙の無い構え。


「俺は喧嘩するつもりはない」

「お前がどうあろうと、アタシは苛つくんだよ」


雄夜は逃げようと思ったが、怜奈をおいていけないと思い、その場に立つ。


「出来れば喧嘩はしたくない」

「うっせぇよっ―――」

「ストーップ!」


気絶していた怜奈はいつの間にか起き上がって、雄夜と金髪の女の間に割り込んでいた。


「まずは、拳を下げなさい」


怜奈が金髪の女の顔の前に片手をかざしながら言った。金髪の女もなにも悪くないやつを殴るのは気が引けて、拳をゆっくり下げていった。


「よしよし、あなたは私と同じだと」


怜奈の「同じ」は金髪の女も自分が異星人と言いたい、と思っていた。


「自称異星人の娘と同じにされたくねぇよ」


怜奈の顔が怒りに少しだけ歪み、金髪の女を強い視線で見た。


「自称じゃない!本当に、本当に、本当よ!さっきも殴っておいて、謝りもなしで、いきなり相手に不快感を抱かせようとするなんて、どんな神経してんのよ!」


さすがに金髪の女も少しだけ後ずさる。


「なんだよ、こいつ」


金髪の女はゆっくりと雄夜に目をやるが雄夜は関わりたくないので空をみていた。


「そもそも、あなたは宇宙人のことについて信じてるんでしょ?なら、その愛情を聞かせてよ」

「え…あ…え?」


金髪の女は怜奈が何を言ってるのか分からなかった。


「早く愛情を聞かせてよ!」


なぜか怜奈が切れだす。


「えっと…」


金髪の女がいいよどんでいると、怜奈が金髪の女の胸ぐらを掴む。


「早く!聞かせろ!」


怜奈の口調がどんどん変わっていく。怜奈が金髪の女の胸ぐらを揺らして、問いかける。


「こうなると、止められない…」


雄夜が空を見ながら、一人呟いた。


雄夜もこういう状況は何度も経験していた。


「早く!早く!早く!早く!」


よりいっそう怜奈は胸ぐらを強く掴み、思いっきり振り回す。金髪の女は吐き気が込み上げてくる。


「もういい加減に止めとけ」


雄夜がこれ以上は命の危険だと判断して、怜奈を止める。


「はぁ、はぁ…いってみなさい」

「分かった分かった」


金髪の女は怜奈の手から一旦逃げ出し、呼吸を整える。


「アタシの宇宙人に対する熱い思いを伝えるよ」

「言ってみなさい、私が全て受け止めてあげる」


雄夜はなんとなくこの空気には入れないと思い、体育座りをしながら見ることにした。




短い&更新が遅くなって申し訳ありません。部活が大変なんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ