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幅です

「――幅です」

 ドアの向こうから静かな声がした。あの貼り紙の幅、か? 声色的に男性に思える。

「え、マジでキッチリくるんだ。どうしよう。気にしないで、って言ってたし」

「アレは幅となった(・・・・・)人の末路にゃ」

 グイがネタバラシをしてくるものだから、気まずくなった。

「幅となった、って?」

「幅にゃ〜〜」

「へー」

 とりあえず無視しているといなくなった。隣の部屋に訪ねていったのだろうか。

「この世界はいとも簡単に変質を起こさせるのニャぁ。リバーシブルに、負のエネルギーが存在の主体となる。いづれお前も幅のように、何かに成り果てるのだに」

「負のエネルギー……」

「妬み嫉み、あるいは悲しみ、そうして生や死への渇望。人によって様々ニャ。それが肉体を突き破って変えてしまう、お前、やっと理解したか? にゃ」

 フンと彼女は鼻を鳴らす。

「ここは罪人の墓場、罪人というよりも引かれ者や憎まれっ子の虫籠なのにゃ」

「……あ、ハァ、なるほど。グイさんは優しいんですね、説明してくれるなんて」

「あの腐れ三つ編みを食う手伝いをしてもらうからにゃ〜〜」

(うわああ)

ニャ〜〜

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